「#渡る世間は鬼ばかり」(#渡鬼)
レギュラー放送の頃は、夜トラックに乗ってたり、テレビを買うお金がなかったり……で見ていなかったのだけど、年1のスペシャルドラマになってから、割と頻繁に見ている。そして、昨日(2018/09/17)も見た。
それにしても、#橋田壽賀子 さんと #石井ふく子 さんって、改めてすげーなと思う。このコンビが作ったドラマで、私の記憶にある最も古いのは、#水前寺清子 さんがテーマ曲を歌う「#ありがとう」だったと思う。以来、約半世紀に渡って、ホームドラマを作り続けているのだから、本当にすごい。
しかも、橋田ドラマには、スーパードクターも名探偵も、変人警部ドノも出てこない。日常の些末な出来事、どこの家庭でも大なり小なり起こるような事件、嫁姑の確執やら兄弟喧嘩やらを、丹念に描いていく。これで数字が取れるから、年1のスペシャルドラマになっても、延々と新作(の脚本)があがる。
橋田さん自身は、もう渡鬼の新作をつくるのは辞めたい……と思う時もあるようなのだが、視聴者さんから「橋田先生、そろそろまた渡鬼を」というリクエストが来るのだとか。
橋田ドラマの特徴はもうひとつ。「ありがとう」の時代から、舞台は必ず「食べ物屋」、しかも、家族経営と家族同然の少数の従業員が働く零細の食べ物屋が描かれる。
今回の渡鬼はなかなか良かった。
ちょうどお台場の局で「健康で文化的な最低限度の生活」が放送されていることもあるが、勇さん(幸楽の主)の台詞のなかに、『「育ててやったのに」と、親の面倒を見るのが当たり前のように言ってはダメ』みたいなのがあって、それが、生活保護の扶養義務の話と、私の中ではリンクした。
両親の介護のために離職した人のエピソードも描かれた。
全体として公助を切り捨て、自助(家族介護)を強いる国の施策に対する、橋田さんの静かな怒りを感じた。