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※以下以前の投稿内容と全く同じ物です。
英国ユダヤ同祖論

前回(下段)内容の「ユダヤ朝鮮(韓)同祖論」と双子の存在である「日ユ同祖論」について書いたが、それと同じ引用本、コンビニで売っていた「別冊歴史読本特別増刊11ユダヤ/ナチス」という本に「日ユ同祖論は、英猶同祖論への憧れから生まれた」という内容がある。

え?みたいな感じで歴史で習う大英帝国の内容からすれば、ユダヤ同祖論が入り込む隙は無いように感じるが、イギリスという、粉飾しなくともそれは立派な大国なのに、何故かやっぱり宗教的な「起源」を求める動きは古くから存在するようです。

コンビニで売っていた「別冊歴史読本特別増刊11ユダヤ/ナチス
P31~英猶同祖論への羨望(p22物語としての同祖論の<起源>英猶同祖論から日猶同祖論へ内)
・イスラエルの失われた十支族がイギリス人の祖先だとする説の支持者を「ブリテンのイスラエルびと」と呼ぶ
・十二世紀の歴史家マームズベリのウィリアム
「ヨセフはガリアを経由してアヴァロンの島に到来、最初のキリスト教教会を設立した」
・文人ウォルター・マップ
「ヨセフはイエスの血の入った聖杯をブリテンに運んできてグラストンベリに埋めた」
・十七世紀、清教徒革命時、一部の過激な清教徒たちは英国民こそ精神的、霊的な意味においてイスラエルびとの後裔、神に選ばれた民であると確信
・E・ハイン 1874「英国民とイスラエルの失われた十支族の四十七の同一点」発行
英国民はユダ族及びレヴィ族(現代のユダヤ人)と再び合体して、キリストの再臨を実現すべき事等をとく
・ユダヤ王国のゼデキヤの娘は、予言者エレミヤに伴われて、アイルランドへと逃亡、先にアイルランドに辿りついていたダン族の王子と結婚した
・ヘブライ人はアイルランドからスコットランド、イングランドへと移動、スチュワート王家はダビデにまで遡る事が可能。
・サクソン人の語源も族長イサクの息子である。

→関連 祇園祭タペストリー「イサクの嫁探し」

こうした「物語」がのちに日ユ同祖論に影響を与えたと説く。しかし色々と面白い部分があるが、さすが同じキリスト教文化圏だけあって、「日本にはイエスの墓があり、処刑されたのは弟のイスキリ」とか絶対白人には来て欲しくない謎スポットとは荘厳さが違う。とは言っても信憑性が低い事は同じだが。

注目すべき点は、ヨセフ(のちのエフライム族)という日ユ同祖論で多用される支族がイギリス王家の始祖となっていたり、それがイギリスの神話である、アーサー王伝説や聖杯伝説と融着していたりする。自分はこうした行動は、日本の神仏習合(本地垂迹)となんら変わらない事だと思う。将来七福神にサンタクロースが加入して八福神になってもなんら不思議では無い。

王家王族の始祖と言えば、最近?でも大ブームになった、なんとか言う映画で、ある欧州王家の始まりはユダヤ人だったてな内容の物があった気が・・・。

さらにかつてのいにしえのユダヤの民同士が合体すれば、キリストが再臨するという発想は、非常に宗教的であるが、一歩間違えば覇権主義や逆に「地球市民主義」にも転向する可能性を持つ。

ついに南米の先住民やチベットまで!!

引用本のp12~13には「失われた十部族(まま)ミステリー地図」が掲載されており、信憑性が高い(と書かれている)物から一方的に一部が主張している物まで地図上に書かれているが、例えばシバの女王伝説があって有名なエチオピアのような国から、中東の「山地ユダヤ人」だとかベルベル族、等は地理的要因や歴史的経緯からある程度理解出来るのですが、南北アメリカの各先住民、「メキシコインディアン」「ペルーインディオ」まで失われた十支族だというのは無理があるのでは?

実際に歴史的にアメリカにはユダヤ系移民の方が多く活躍されているが、そうした事とこうしたオカルト系の「同祖論」は明確に区別すべきだろう。

世界中の失われた10支族を探すユダヤ人の団体によれば・・・
アミシャーブの調査結果wikipedia
イスラエルの十支族調査機関アミシャーブ(アミシャブ)によると、十支族である可能性があるものとして、以下が挙げられている。
    西アフリカ
        セネガル、ガンビア、シエラレオネ、ナイジェリア
    南アフリカ
        レンバ(ボツワナ)
    西アジア
        パタン人(アフガニスタン、パキスタン)
    中央/南アジア
        カナン人(インド)、カシミール人、チベット
    東アジア
        メナシェ族(ミャンマー)、チアン・ミン族(中国)、日本
    南米
        ブネイ・モーシェ(ペルー)


見落とされがちだが、日本に国王がご訪問されたブータンはチベット族が主要な民族となっている。
ブータンwikipedia
ブータン王国(ブータンおうこく、ゾンカ語: 略)、通称ブータンは、南アジアの国家。北は中国、東西南はインドと国境を接する。国教は仏教(ドゥク・カギュ派)。民族はチベット系8割、ネパール系2割。公用語はゾンカ語。首都はティンプー。

日本のマンガ作品にもこうした「日ユ同祖論/失われた10支族」のモチーフは多用される
例えば、「もののけ姫」や「千と千尋の神隠し」等で著名な宮崎駿氏の代表作まんが版ナウシカにも忌み嫌われる「蟲使い」達が11の支族であるという場面がある。恐らくユダヤ人の排斥の歴史と重ね合わせた表現か?

 

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↑風の谷のナウシカ6巻 徳間書店

 

 

イメージ 2

↑さらに同2巻に登場する「ドルク神聖皇弟(※中盤敵リーダー)」はメノラ燭台をモチーフとした?「七つ目」模様のヘルメットを着用している。さらに自分は宮崎氏のこうした戦記物とは無関係の作品にもユダヤ同祖論のモチーフが散見されると思っている。


マイナーオカルト「ユダヤ韓国同祖論」と騎馬民族征服説は双子星(二重星)

渡来人優越史観
理念系

「在日朝鮮人来歴帳消し型」「皇国史観反発反省型」「中華華夷秩序奴隷的服従型」「中韓市場&スポンサー&集票、朝鮮在日勢力迎合型」
歴史旧説奇説系
「日本民族成立期タイムスケール混乱型」「新モンゴロイド流入、朝鮮渡来人混同型」「弥生人支配層全員渡来人型」「百済新羅高句麗歴代朝鮮王朝亡国遺臣渡来征服型」「任那日本府、日本本体説型」「応神天皇継体天皇奇説、三王朝交代説併用型」「中臣鎌足百済王子説型」「徐福伝説&呉伯子孫、大陸の倭人族型」「神仏習合無視、牛頭天王信仰&古史古伝オカルト型

かつて満州にユダヤ人の方達を移住させようとした「河豚計画」の時に多いに利用されたのが日ユ同祖論。ごく一部の人たち(※中には熱心な保守の方もいて残念だが)に非常に今も熱心に信じられているが、そもそも特に日ユ同祖論という言葉その物の定義が場合によって変転しており、何をもって同祖とするのかいまいち理解出来ない。そして自分は超能力やUFOのオカルトと同列に一切信じない。もちろん「単に文化が海外より伝播しただけ」「少数の亡命者がやって来ただけ」なんて物は同祖論とは言えない。

と言うのも昔コンビニで売っていた「別冊歴史読本特別増刊11ユダヤ/ナチス」という本にユダヤ同祖論の始まりとされる一人の明治時代の研究者の著作が一部掲載されているのですが、それを少し読んだだけでも眉唾モノのトンデモ論としか思えない内容。しかもその同著作者が「ユ韓同祖論」まで唱えている時点で非常にウンザリさせられると同時に、はや明治時代の時点で、のちの騎馬民族征服説の萌芽が見られる。

と言っても騎馬民族征服説自体が、戦前に多く作られた神道系新興宗教の教本「古史古伝」をなぞったような部分があり、これらは総じて、過去の神話時代の出来事を当時の疑似科学的な発想によって解き明かそうとした「疑似歴史学」というべき物だと思う。

N・マクレオド著
「日本古代史の縮図」(明治8年発行)長崎日の出書房

・日本の天皇はまぎれもなくエフライム家の家長
・エフライム族またはイスラエル王家はもともと半分エジプト人
・まげはユニコーンの角の表象
・天神様のミヤの二頭の雄牛はイスラエル人の二頭の黄金の子牛の祀り方に類似している


「韓国とイスラエルの失われた十支族」(明治11年発行)横浜のセイシブンシャ
「韓国古代史の概説」部分
・三国史記、東夷伝韓伝、檀君神話、日本の天孫降臨をミックスしたような歴史観
・朝鮮(韓国)はノアの息子の系統
・檀君はセム族的であり日本の神代族のようにイスラエル的
・檀君神話をイスラエルの民の流入と関連付けている

 

 

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別冊歴史読本特別増刊11ユダヤ/ナチスP118

 

 

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・王倹は最初の都の名を神武天皇の祖父の名であるヒコヤクHikoYakuと呼んだ
(※意味不明だがこう書かれてるんで…山幸彦の事か?)
・「アレクサンダー大王の将軍たちが朝鮮に侵入した記録はないが(※訳文まま)朝鮮北部に住む「サムライ」達はギリシア風の兜を使い、色白で白い肌で、薄茶色のあごひげ。
・「ジンギス・カンは、中国と朝鮮の全土を征服し、すべての者に抗するというイシュマエルと壇の予言を実現した(※訳文まま)

 

 

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別冊歴史読本特別増刊11ユダヤ/ナチスP120

「神武天皇陵で発見された花瓶」部分
・ニニギノミコトはイスラエル最後の王の息子



「何だか見た感じが似ている」というだけで日本と韓国(Korea)がともに一部ユダヤ人の末裔だと決めつけているだけで無くて、何故か韓国人の中に「サムライ」が居て、何故か「アレクサンダー大王が朝鮮に侵入した記録は無いが、ギリシア風の兜を使い、朝鮮人のサムライは色白で白い肌」(要約)とか頭クラクラする超強力に意味不明な内容が並ぶ。まさにムサ、サウラビもびっくり。つまり同祖論の一環で朝鮮にも「白い肌のサムライ」が居るという事を訴えているのか?

完全否定された騎馬民族征服史観と共通する思想

この明治時代の旅行者であり研究者の文章を読んで感じる事は熱心なキリスト教的世界観の信奉者であるという事。つまり熱心なキリスト教の信奉者である著者は、「世界は神の摂理で作られている」という前提があって、その前提の実現として「日ユ同祖論」を展開している訳である。これは過去プレスター・ジョンの伝説のように、海の向こうに伝説のキリスト教の国があって、自分達を助けにやってくるに違いないと信じた事を、疑似科学的に、当時の人類学的な発想で発展させたような事だろうと思う。

過去の騎馬民族征服説を信奉する朝鮮人側の発想の根源には「日本人は未開でウホウホ言っていた野蛮人であり、国を作るという発想が無かったので、国を朝鮮人が教えてやった」みたいな無茶苦茶な思想がある。こうした思想は現在にも朝鮮半島に広く有り、過去の教科書では古代の文化を教えたのは朝鮮人等と書かれてあったらしい。

所がその発想は大航海時代にアフリカやアジアで原住民を「教化してやる」と言っていた宣教師と同じレベルの傲慢さであり、全く賛同出来ない。実際は逆に縄文時代から多くの縄文日本人が半島に進出し、古代朝鮮半島南部には倭人の国(領土)が存在していたのだが。

世界各地にユダヤ人失われた支族の候補者だらけ

話を元に戻せば、自分が日ユ同祖論を一切信じないのは、日ユ同祖論が同時に「ユ韓同祖論」と騎馬民族征服説とセットになっている点で、日ユ同祖論のオカルト本を読めば大体が「大陸から朝鮮半島を経由して日本にたどり着いた」という文言が書かれている。

これは結局日本の権威という物をシュメール文明にしろユダヤにしろ、朝鮮東北部の騎馬民族にしろ他に求める発想であり、自分は全く魅力を感じないし、そもそも信用に足るとは一切思えない。

引用本の解説には「明治の当時、世界の劣等国としての日本が、実は世界をけん引するべき立場であったと宗教的に確信する作業」とあるが、今紛れも無い先進国である日本がそうした旧来的な発想に頼る必要性も無いと自分は思うが、「天皇は世界の統治者」だとか「地球文明の岩戸開き」だとか、本屋の神秘思想コーナーでは、一種の国粋主義とオカルトが融解したような発想が今も並ぶ。

古代の日本人は神話で日本の島々が生まれた様子をいきいきと描き、そして繰り返し繰り返し日本の国土をこれでもかっ!と言うほど歌で賛美しまくる。そうした様子を見て、どうして外国から天皇が来たとか「神道系」の研究者や宗教者が言い出すのか本当によく判らない。

どのように素直に考えても雄略天皇の上奏文を観ても、皇室も日本文化も根源は日本列島や縄文発祥としか考えられない。

で、もう一つ自分が日ユ同祖論を信じれない理由が、世界各地に候補者が多すぎだろうという点。何となくユダヤ人の方を悪く言うつもりはないが、彼らの一つのサバイバルとして、世界各地に親戚が多くいるんです的な話を流布して、仲間を増やそうとしている気が。

これは古事記の神話の端々に「これは~族の祖」とか書いているのに似ている。日本の古代氏族の多くが神話の時代に血縁者になってしまっているが、実際には各地の実力者を神話時代に結び付ける事で皇室の安定と権威を図った様な事で、例えば皇室と隼人は親戚という事になっているが、実際はどうだか判らない。近畿のヤマト政権が発展するに従って、九州の隼人の人々を神話上親戚にしてしまおう・・・のような雰囲気もする。

それが古代人だったらオッケーだけど、それと同じことを近代にやってしまったら、それは駄目じゃないか。

 

 

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七支刀(英Seven-Branched Sword)も同祖論にかかればメノラ(燭台)の象徴という事になってしまう。どこか朝鮮起源の「七支刀は朝鮮が日本に下賜した」といったトンデモ論を想起させる。

 

 

 

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ユニコーンはエフライム族の紋章等であり、これを同祖の日本皇室も継承しているというトンデモ説があるが、実際には多くの舶来文化と同じく、単に伝播し導入された物に過ぎない。