日本で、盲目の少女が蹴飛ばされるというひどい事件がありましたね。容疑者がつまったとのことで、ひと安心しました。

うちの近所に、視覚障害者の自立を支援する州の機関があり、娘がそこでボランティアをしたり、何かと関わりがあります。うちのコンドにも、そこで点字の先生をしている盲目の女性とワンちゃんが暮らしているので、今回の出来事は、娘ともども、大変ショックでした。

自分は両目を開いて歩いていて、白い杖の少女とぶつかって勝手に転んで。それで怒って暴力をふるうとは、なんということでしょうか。盲導犬を刺す、という事件もありましたよね。

アメリカには「白い杖ウォーク」という、視覚障害者の安全を喚起する行事があり、ここハワイでは視覚障害者とサポーターが、ダウンタウンを30分くらい行進します。私も娘と一緒に参加するのですが、一昨年、アメリカ本土からいらした盲目の男性のスピーチが、とても印象的でした。

その方は、ある視覚障害者団体の長なのですが、若い時にアラスカでグリズリーに襲われ、視覚を失ったとか。白い杖についてはこう言っていました。

「白い杖は、障害の印ではありません。私達の自立のシンボルなのです! 視覚障害は人生の成功を妨げるものではありません!」

聴衆から大変な歓声があがり、その後の白い杖ウォークも大変な盛り上がりでしたよ。路上の車が応援のクラクションを鳴らすと、白い杖の方々もウォー! と応えて。周囲では非番の警察官がボランティアで番をしてくれていましたが、盲目の方々は、誰のヘルプもなく白い杖で歩くのにもう慣れているのでした。

その訓練をうちの近所の州機関がするわけですが、訓練内容はそれだけではなく。料理、木工、点字など何でも教えて、講師も皆、視覚障害者なのです。料理のクラスでは揚げ物もしますよ! 視覚障害者がその後、自立し、仕事にもつけるよう、多角的に訓練をするわけです。たとえばうちのコンドの盲目の女性も、ワンちゃんを除けば一人暮らし。いつもバスで、職場に通っています。

その、盲目の方々の自立の象徴である杖や、盲導犬に怒って何かするというのは、はっきり言って鬼のような仕業ですよね。私も娘と一緒に盲目の方々と関わるようになってからは、白い杖をついた方と道ですれ違う時には、こちらから「ハロー!」と先に声をかけることにしています。安全のために、です。

今年もまた、ハワイで「白い杖ウォーク」が行われる日が近づいてきました(10月中旬)。きっとまた道を行く車が、行進の列を、温かいクラクションで迎えてくれるに違いありません! (冒頭の写真は、一昨年の白い杖ウォークの一こまです)