少し前ですが、映画「オッペンハイマー」を公開初日に鑑賞しました。


原爆というパンドラの箱を開けるに至った過程を、息が詰まるほどの緊張感で見せていく様は、圧巻と言える内容でした。


ただ、被爆者の方々も指摘されているように、被曝の実相に触れる部分はほとんどなく、主軸はオッペンハイマーとストローズの対立というサスペンスであり、広島への原爆投下への悔恨より、世界が核爆弾で崩壊するかもしれないという警鐘が色濃く出ていた作品でした。


それでも、いやそれが故に、原爆を落とされた街や人々に、あまり思いを馳せることなく計画が進む様子が、被爆地に住む者として恐ろしく感じられました。


事実を調べると、映画は事実からかなり脚色されているのが分かりましたが、当時のアメリカの雰囲気を知る一助になりました。


オッペンハイマーを作り上げたクリストファー・ノーラン監督が、加害側の、被害側に関心を払わない無頓着ぶりをも表現したかったのだとしたら、本当に凄まじい監督だと思います。


大傑作であるダークナイトを作った監督なので、そこまで考えているのだろうと私は思います。


だからこそ、映画を観た方は、広島に来て平和記念資料館を見て欲しいと思います。

私からすると、平和記念資料館や原爆ドームなどを見て、初めてこの映画は完成なのではないかと感じます。


今日、平和記念資料館に行きました。

朝だったので、ゆったりと館内を回ることができましたが、売店の方に聞くと毎日来館者が多すぎて「しっかり見て回れなかった」との声も聞くそうです。

広島市もWeb予約などの対策をしていますが、さらなる対策が必要だと感じました。

「オッペンハイマー」やG7広島サミットで、世界から関心を得ているこの時を逃さないよう取り組まねばなりません。




写真は平和の軸線上、平和記念資料館の逆側からの原爆ドーム。

こちら側からの写真はあまり見かけないので。

右の商工会議所が移転、解体されると、こちら側からの景観も改善されそうです。