エネルギー供給系②-3:恐るべしATPのエネルギー… | プロフェッショナルコンディショニングマスター森部塾長 獅子奮迅!

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筋収縮(に限ったことではありませんが)の直接のエネルギー源であるATPは元々体内に貯蔵されています。下の図はATPの構造を示したものですが、アデニンという物質は遺伝子の中にある核酸を構成している塩基の一つです。アデノシンに繋がっているリン酸のうち外側の2つは高エネルギー結合をしています。これを利用して筋収縮をするのですが、その解説はまた後日、『ATPの再合成回路』の項で、行います。
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:ATP%E6%A8%A1%E5%BC%8F%E5%9B%B3.svg

さて、体内に貯蔵されているATPの量は骨格筋100 g当たり0.4 g程度です。
ということは、例えば体重70kgで骨格筋率が35%の一般成人男性であれば、70×0.35×1000=24500gの骨格筋量となり、これにより98gを保有していることになります。

では、これでどれ位の仕事(運動)ができるかと言うと、フルパワーを発揮したとすると何と‼️1〜2秒しかもちません(涙)。

何だATPって大したことないな!と思うなかれ。ATPのエネルギー量について考えてみましょう。私達が人間の形になる一番最初は受精卵から始まりますね。ではその前は?

そう。精子と卵子です。精子は受精卵となるために卵子に到達しないといけないのですが、これが恐ろしく過酷な生存競争を勝ち抜かないといけないわけです。その度合いについては、詳しく書くと本論から逸脱が過ぎますので割愛しますが、約1〜3億個(諸説ありますが何しろ多い)の精子のうち、卵子に到達して受精卵となるのは1個だけです。

この1個の精子が卵子に到達するまでの距離を、精子を1人の人間に置き換えて考えてみましょう。必要な数値をおおよその平均値で示しますと…
・精子のサイズ:60μm=60× 10m
・子宮と卵管の距離(卵管膨大部で受精する部位まで精子が到達しなければならない距離):17cm
https://192abc.com/21798
・日本人成人男性の身長:170cm
です。これらの数値を基に計算すると、酸性の液体の中で約5kmもの距離を、水球の密集したゴール前の激しい攻防を展開しながら移動しているようなものです。

https://www.sankei.com/smp/sports/photos/160511/spo1605110033-p1.html


それを最短5〜6時間から最長3日間も。当然ですがその間、栄養補給は無しです。不眠不休で絶食。とても信じられませんが、その究極の奇跡を生み出しているものが精子の持つATPのエネルギーなのです。