令和

ミライ会議 幹事 米川 大二郎

 

令和年第回都議会定例会を終えて(談話)

 

令和年第回都議会定例会は、日を持って終了しました。


この都議会で私たちは、知事及び都庁官僚の「議会軽視」を指摘し、改革とは政策ではなく、都政の仕組みを変えるものであり、

「東京大改革」とは、「隠ぺいファースト」ではなく「情報公開の都政」

都民や専門家の声を聞かない「排除ファースト」ではなく「オープンに話し合う都政」

「官僚ファースト」ではなく「都庁と民間の役割を峻別して協力する都政」これらを実現することだと主張し、活動しました。

 

中学校英語スピーキングテストについて


私たちは、中学校英語スピーキングテストに反対です。公立中学校の3年生に対する英語スピーキングテストを、都立高校の入試に活用することは、国立・私立、県外の中学生との不公平を生むことなどから不適切です。

また、公立中学校の1・2年生に対する英語スピーキングテストも中学校における英語指導にどう生かされるのか、全く現場の声が聞こえてきません。

都立高校入試活用するスピーキングテストへの「慣れ」のために、多額の予算を使うのは、「無駄」です。

アチーブメントテストは、区市町村教育委員会、または各中学校の自主的判断に委ね、都はその補助を行うなど支援に徹するべきです。

 

専決処分について


原加工機訴訟事件は、偽計を用いた取り調べ等もあったとされ、起訴が取り消しとなった冤罪事件です。

都は、まず原告への謝罪を行い、そして、検証を行い、再発防止や警視庁の信頼回復に努めるべきであり、控訴すべきではありませんでした。控訴を行う権限は小池知事にあり、議会の議決を経て知事が決定することが原則です。知事は政治家として、自らの考えを述べた上で控訴しない判断をすべきであったと考えます。

 

小池都政ついて

2016月、小池百合子都知事が初当選した時は、いよいよ都政が改革に動き出すと胸を膨らませました。

今まで出来なった政策が実現しましたが、都政の仕組みを変えなければ、再び、都政は停滞します。

現に、中学校英語スピーキングテスト、神宮外苑再開発や築地市場跡地の再開発など、都民が当然に知ることができる情報が公開されていません。議会での質問に対しても、改革を嘲笑うかのような答弁が繰り返されています。

ミライ会議が、知事の経歴を質問した理由は、都民14百万人を代表する都知事として、小池知事が本当に信頼できる人なのか確認が必要だったからです。小池知事からは、答弁はありませんでした。

国会では、統一教会や政治資金など大臣の資質に関する質問であっても大臣自らが答弁しています。知事の政治家としての資質に関わる、知事の認識を聞く質問に対して、職員に答弁させるべきではありませんでした


また、予算特別委員会での桐山都議の質問に、中村倫治副知事は地方自治法第153条を持ち出しましたが、「知事が北原百代さんを知っているかどうか」、そのことが「知事の権限に属する東京都の事務」とは考えられません。

総務省への確認が必要です。仮に知事の権限に属する事務なら、知事がカイロ大学を卒業しているかどうかについて調査することも都の事務になります。この場合、東京都が知事の経歴について調査する義務が生じますが、自ら招いたこの矛盾について説明が必要です。

 

行財政改革について

東京潤沢な財政であるがゆえに、無駄が生じています。例えば、令和5年度から6年度で37億円が費やされる都庁舎をはじめとするプロジェクションマッピングは、観光振興で イベントを打つこと自体が目的なり、東京のさまざまな課題解決にはつながりません。

国の法人2税の4割が本社のある東京都に納められる地方税の構造によって、都は潤沢な財源が裏打ちされ、国も首都圏の他県もできない多くの無償化政策が打ち出されていますが、ビジョンの裏付けがない施策は長続きしません。

東京の施策が国に影響を及ぼすことを鑑みて、全国の道府県が抱える問題解決の突破口を作る覚悟と、首都圏の連携を視野に入れるなど、今の都政を改めるべきです。


給食費の2分の1補助は、税収構造による財政難に苦しむ多摩地域への配慮がなく、多摩格差が顕在化しました。

多摩格差をなくし、首都圏の他の県と協調しつつ、福祉、教育政策を進めるべきだと考えます。


 また、国で行われた様々な行政改革、審議会改革、情報公開改革、天下り規制の公務員改革に取り組むべきであり、「都庁グループ」というあいまいな集団への「公私のけじめの厳格化」必要です。

 

明治神宮外苑、築地市場跡地再開発などの東京の再開発について


明治神宮外苑は、当初の「スポーツクラスター」構想から、現在では、三井不動産主導のスポーツ施設、イベント施設、ホテル、商業施設、高層ビルからなる「ミッドタウン」へと変質しています。

その転換の契機が、20147月、恒久サブトラックの設置断念、商業施設化への転換、そして新神宮球場が銀杏並木側に大きく寄せられる計画に変更されたことであり、真相究明が必要です。

 201312に創設された「公園まちづくり制度」は、都市計画公園・緑地を大手開発業者に渡していく制度です。この時期は、猪瀬知事が辞意を表明し、舛添知事が就任するまでの都知事不在の時期に当たりいわば、都知事不在の時に創設された制度であり、恒久サブトラック建設断念し、神宮外苑再開発を準備するものでした


さらに、都市計画法に何らの根拠規定も持たな都が勝手に作った要綱に基づく「公園まちづくり制度」が法律を動かすという、まさに下克上の法律秩序であることも明らかになりました。


そして、「公園まちづくり制度」を適用するために、都市計画公園の区域内のJSCが管理する新国立競技場と秩父宮ラグビー場、都が管理する東京都体育館などの施設のうち、秩父宮ラグビー場だけを「未供用地」とした根拠はいまだに明らかになりません


築地市場跡地再開発のプロセスは徹底した秘密主義です。1兆円近くの案件であり、70年もの長期の地上権の設定案件です

私たちは、5万人収容の多機能施設中心案」と「アニメ・ゲームなどに特化したエンタメ施設案」を公表して、都民や識者の意見も聞くことによって審査にも多様な意見が反映され、応募者間の公正な競争が促進されると考えます。

誰がどのような内容の応募をしているのか、誰が審査をするか、「秘密」で執行機関だけで決めるのであれば、これまで議会でも質疑されてきた青山の子どもの城跡地も、密室で、議会抜きで使い方を決める恐れがあります。都民を信頼し、「都民が決める。都民と進める」という原則を貫くべきです。

 

 

ハラスメント対策について


法律が対応していない空白領域のハラスメントやいじめについて、条例で対処することに賛成です。「政治は最高の道徳」という言葉もありますが、法やその執行に携わる議員や都庁職員が、率先してその規制に服するべきだと考えます。


都議会も他人事ではありません。都議会では、2014月、都議から女性都議に対する「セクハラヤジ」が飛び交い、「学級崩壊」状態ともいわれていました

他の地方自治体では、議員による議員へのハラスメント、議員による職員へのハラスメントの条例も制定されています。学校での教員による指導死を含め、ハラスメントもについて条例化し、法の下の平等を確保することが、都民の信頼を得るうえで重要です。

今回の条例案を受けて、ハラスメントやいじめについて考えを巡らせました。いじめは、いじめを受ける人、いじめる人、いじめを囃し立てる観衆、傍観者の4層で構成され、「観衆」はいじめを積極的に是認し、「傍観者」はいじめを暗黙的に支持し、いじめを促進する役割を担っているという、「いじめの4層構造」理論があります。

いじめやハラスメントは、密室でおこりやすいため、議会でも理事会を原則公開とすることや、議論の経過を公開することなどをルール化し、透明化を図ることが肝要だと考えます。

 

3月26日の予算特別委員会で可決された議員の発言を議事録から削除することを求める動議について


平成24年5月の中津川市議会代読拒否事件の名古屋高等裁判所の判決では、

「地方議会の議員には、 憲法の表現の自由及び参政権の一態様として、 地方議会等において発言する自由が保障されていて、 議会等で発言することは、 議員としての最も基本的・中核的な権利というべきである」とし、「各議員の発言の自由や権利そのものを一般的に阻害し、 その機会を奪うに等しい状態を惹起することは、 市議会の自主性、 自律性の範囲を超える」とされています。


「小池知事は、北原百代さんを知っていますか」という質問や「カイロ大学1年生の時に落第したのに4年で卒業できたという大学の指導とは何か、追試はいつ何科目受けたのか」との質問は、小池百合子都知事以外に答弁できない質問であるにもかかわらず、知事が答弁に立たないことは、答弁拒否以外の何物でもありません。

憲法に違反し、民主主義の根幹である「議会での発言の自由」を封殺する、今回の都民ファーストの会、自由民主党及び公明党が提出した動議は、民主主義への挑戦であると断じ、強い抗議の意を示し、反対しました。

なお、ミライ会議結成後、これまでの間、ミライ会議の議員は、小池知事に対し様々な質問を行ってきました

しかし、小池知事が、ミライ会議の議員の質問について答弁したのは、令和5年3月9日の予算特別委員会で、知事にしか答えられない質問について」の一度だけです。

 

本来の都政には困難を突破する力があります。東京が改革を成し遂げることが、全国へ波及し、国全体の改革に繋がります。都民はもとより、都庁職員、報道関係者、そして都議会議員から、改革の志のある方々が立ち上がることを願っています。

ミライ会議は、引き続き改革に邁進してまいります。