【令和5年第4回定例会閉会】物価高対策等、803億円の補正予算を含む27議案可決。会派を代表して米川都議が討論を行いました。

12月20日 令和5年第4回定例本会議が閉会しました。
補正予算として、物価高騰に対する支援策等、総額803億円の補正予算ですが、多くは国庫補助金によるものです。
コロナ禍を経て、東京都財政は過去最高に迫る増収となっておりますが、多くの都民は、その実感を得られておりません。

物価高対策として、100億円の予算で、都内の小売店や飲食店でQRコード決済での支払いに、還元率最大10%、上限3000円分を付与するものですが、

Paypayの手数料は、小売事業者の負担となっており、2%は手数料でキャッシュレス事業者に支払われるため、事業の手数料1億円、手数料2億円が事業者に行く点、高齢者は利用しずらい点など、物価高騰対策として不十分です。

また、今定例会において、小池都知事は、私立高校授業料の所得制限910万円を撤廃し、実質授業料の無償化、公立小中学校の給食費の負担軽減に踏み出す事を表明されたのは前進ですが、
あくまでも「負担軽減(1/2程度)」では、財政が厳しい未実施の自治体にとって負担増となり、

都内全ての区市が給食無償化となるよう、都が10/10予算を組むよう求め、『公立学校の学校給食を無償化する条例案』を提出しましたが、
自民党、都民ファーストの会、公明党、「自由を守る会」の反対多数で否決。
(共産党、立憲民主党、ミライ会議、生活者ネット、「グリーンな東京」、東京維新の会の6会派は条例案に賛成)

現行の紙の保険証の存続を求める陳情・意見書、
有機フッ素化合物PFASの水源汚染は深刻であり、都民の命と暮らしを守る対策強化を求める特別委員会の設置に、ミライ会議は賛成しましたが、
自民、都ファ、公明、維新、自由の反対多数で否決されました。

また、1日も早い戦争終結を願い、パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘について、停戦や人質の解放などを求める決議案を全会一致で可決しました。

これからも、都民の命と暮らしに寄り添い、都民の視点で改革に邁進して参ります❗️ぜひお声をお寄せください。

以下、討論】



ミライ会議を代表して、知事提出の全議案及び議員提出議案第16号・第17号に賛成し、議員提出議案第15号に反対の立場から討論を行います。
 
まず、補正予算に関する第187号議案についてです。
知事は、12月5日の所信表明で、「物価高騰対策」として「補正予算案」を提案すると述べられました。しかし、補正予算案の説明を受けたのは、12月7日です。
第4回定例会は、12月5日に開会され、20日には本会議で議決して閉会するというわずか16日間の議会です。「予算」という重要案件についての議会審議を行うには、議員・会派に対して十分な検討時間が必要です。
「物価高騰対策」の補正予算案だから議会は反対することもないだろうと、審議など必要ないという態度・考えであれば、それは「専決処分」に等しいものであり、「議会軽視」と言わざるを得ません。
 
次に、所信表明での「高校授業料の実質無償化」についてです。
12月は中学3年生が希望する高校、進路を決める時期にあたります。高校授業料の実質無償化は、子どもやその保護者の進路選択に大きな影響を与えます。「所信表明」で明らかにされるからには、既に、その制度設計はできているものと受け止められますが、示されませんでした。
知事の所信表明は、財政が潤沢な東京都が「国に先駆けて政策を行っている感」を印象付けようとするものであって、質疑もできないような所信表明は「議会軽視」です。
都民であれば、どこの高校に通っても授業料は無償化という考えなら、国立の高校も無償化すべきです。子どもを差別するいわれはありません。
私学については、授業料無償化に伴って、税金の使われ方の透明化を高めるため、私学自らインターネット等を通じて、これまで以上に経営に関する情報の外部への公開を行うことが必要です。
また、都立高校については、私学の魅力のひとつである多様な能力や考えを持つ生徒がひとつの学校で学べる環境を整備していかなければ、かつての「学校群制度」のように都立高校から私立高校への生徒の流出を招きかねません
高校授業料の無償化の制度設計については、都民や関係者の意見を聴き、かつ、議会の審議を十分にできるように、オープンな議論、時間的余裕を持った議論を行うよう、求めます。
また、東京の高校教育を担う、都立と私立のあり方も大きく変わることが、想定されます。だからこそ、有名無実・形がい化し、教育行政を行わない「独立行政機関である教育委員会」や公私で所管する部局が分かれている地方教育行政の在り方の抜本的改革も必要です。
 
次に、「学校給食費の負担軽減」についてです。
 東京都が、ようやく学校給食費の負担軽減に乗り出すことは評価します。
しかし、私たちが決算委員会での質疑を行ったわずか2週間前に、浜佳葉子教育長は、「給食費無償化は国が行うべきこと」と言って全く取り合っていませんでした。
 「政策転換」について浜佳葉子教育長には説明責任があります。この2週間に何があったのか、質問に答えず、すれ違いにもなっていない答弁をし続けるのは、「議会軽視」です。引き続き、浜佳葉子教育長には説明を求めてまいります。
 また、学校給食費の負担軽減についても、制度設計が明らかにされておりません。多摩地区の市町村の実態を直視すれば、区市町村の学校給食費の10分の10補助、すべての義務教育の学校の給食費無償化が必要です。
 
次に、中村倫治副知事の同意人事案件における経歴問題についてです。
東京都は、令和5年都議会第1回定例会の副知事の同意人事案件において、都議会に提出した中村倫治氏の経歴「名古屋大学法学部研究生 修了」というのは「誤り」だと認めました。
しかし、もり愛議員の質問、及び再質問に対して、まるで正誤表を出せば済むことだと言わんばかりの答弁に終始しました。副知事の同意人事案として都議会に正式に提出された経歴が「単なる事務的ミスでした」との対応で済ませるという都の対応は、「一事が万事」、「議会軽視」に貫かれています。
これは防げたミスです。
私たちの指摘に対して、担当者は、率直に誤りを認めました。その次は、30年以上前に文字を入力した事務担当者のミスであるとも説明しました。
また、中村倫治氏は名古屋大学法学部の研究生として在籍していたから、そのことを同意人事案に「経歴」として記載したとの説明もありました。研究生については、カリキュラムを修めたという意味の「修了」ではなく、研究期間を終えたという意味の「終了」が正しいという説明も、ありました。
しかし、最終的に、議会での答弁は、謝罪もしない「居直り答弁」です。
データの入力は、人が行います。当然間違いもあります。だからこそ、データを使用する際、妄信せず、ご本人に、確認をすれば良かったのです。
令和5年都議会第1回定例会の同意人事提案の場には、当事者である中村倫治氏は、政策企画局長として同席し、自らの経歴が、実際には存在しない「名古屋大学法学部研究生 修了」と書かれていることを認識していなかったのでしょうか。
なぜこの様な文書が、都議会に提出されるに至ったのか、総務局総務部文書課長としての勤務経験もあるからこそ、中村倫治副知事自らの弁明が不可欠です。
 
次に、知事の経歴についてです。
知事就任後の都議会議事録の知事答弁を確認しました。しかし、小池知事は、「知事の著書『振り袖、ピラミッドを登る』によれば、1年目は落第、その後の4回の試験には合格したと、進級試験を5回受けていますが、それで1972年9月入学・1976年10月卒業と4年間でなぜ卒業できたのか」ということに一度も答えていません。
議会外でご説明されているのかもしれませんが、仮にそうだとしても、都議会で議員が質問しているのですから、答弁しないのは、「答弁拒否」と言わざるを得ません。「答弁拒否」は、「議会軽視」を超えて、「議会無視」であり、重大問題です。小池知事自らの答弁が不可欠です。
 
私たちは、知事と議員は、ともに有権者に選ばれた代表であり、議会で議論を尽くすことが、地方自治体における民主主義だと考えています。東京都が議会を軽視し、知事が「答弁拒否」をするに至っては、東京都の民主主義は崩壊してしまいます。
そのようなことがないよう、知事及び都庁の官僚の方々に対して、共に都政の民主主義を育てていくことを求めます。
 
 【最後に】神宮外苑再開発についてです。
 神宮外苑の146本の銀杏をどう保存するのか質問しましたが、東京都が事業者に保存を求めているのは4列の銀杏並木のみで、秩父宮ラグビー場への銀杏並木18本は保存の対象に含まれないことが明らかになりました。私たちは、これからも146本の銀杏がすべて保存されるよう取り組んでいきます。
 
以上で、討論を終わります。