中央卸売市場の課題、財政健全化と地下水管理システム、大田市場の活性化について質疑を行いました。

公営企業決算(10月25日 中央卸売市場)
ミライ会議 もり愛〉
令和4年度 中央卸売市場決算について伺います。



中央卸売市場の決算報告書によれば、「経常損益」に該当する費用の決算額をみると、営業収益及び営業外収益の合計が209億6774万5591円、営業費用と営業外費用の合計が330億4552万8823円で120億7778万円の赤字となっています。

そもそも、予算段階で営業収益及び営業外収益を224億7000万円、営業費用と営業外費用を360億1831万円で135億4831万円の赤字予算とし、さらに、特別損失約74億5568万円・予備費100万円を含んで210億500万円の赤字予算となっていることから、特別損失を含めた「純損益」は188億5558万円となっています。

さらに資本的収入及び支出を見れば、資本的収入は0円、資本的支出は87億6204万円となり、合計すると276億1762万円の赤字ということになります。
これが継続するなら、10年で2760億円、20年で5520億円、30年で8280億円となります。築地市場跡地の所管替えによって、税金が中央卸売市場会計に投入されているとしても、このままでは「中央卸売市場の持続的経営」が成り立たないのは明白です。

決算の実績について
Q1, 毎年赤字を積み重ねる中央卸売市場会計をこのまま放置して、お金が無くなったら今ある中央卸売市場を売却又は所管替えして運転資金に充当すれば良いという安易な考えは、許されないと考えますが、都の見解を伺います。

A1:萩原財政調整担当部長 答弁〉
○ 市場を取り巻く環境が変化する中においても、中央卸売市場が担う重要な使命を将来にわたり果たしていくためには、強固で弾力的な財務基盤の確保が必要
○ そのため、令和3年度に東京都中央卸売市場経営計画を策定して、経営改善 の取組など、今後の取組の方向性を示している

もり愛〉Q2, 決算を踏まえて、中央卸売市場の経営健全化の見通しについて、伺います。

A2:萩原財政調整担当部長 答弁〉
○ 令和4年度は、主に、施設管理などの委託経費を削減することによる市場維持管理費の縮減や、使用料収入の確保、新規企業債の発行抑制による支払い利息の圧縮などに取り組んだ
〇 併せて、市場会計の財政状況などについて、業界との協議に向けた意見交換を始めた
○ 引き続き、経営改善の取組などを通じて、2040年代の黒字化に向けて、収支の改善を図っていく必要があると認識でございます。

もり愛〉Q3, 市場会計の健全化を図り、豊洲市場建設のために市場の再整備が遅れてしまった他の中央卸売市場をどのように整備していくか、青写真と資金計画が必要だと考えますが、都の見解を伺います。

A3:石井市場政策担当部長 答弁〉
○ 中央卸売市場経営計画では、今後の各市場の施設整備にあたり、主要な建物について劣化度調査を実施し、建物ごとに大規模改修、長寿命化改修等の方針を検討し、財政計画との整合性を図りながら、維持更新計画を策定することとしている

もり愛〉中央卸売市場の「車両置き場使用料」は、東京都中央卸売市場条例施行規則により、
「1月・1平方メートルにつき629円、ただし、売買参加者及び買出人の自動車が主として駐車するもの 339円」と定められています。
普通乗用車の駐車スペースは、長さ 6.0m × 幅員 2.5m 広さ 15㎡とされており、1月9,435円、売買参加者・仲買人は5,085円ということになります。

Q4, 豊洲市場の「車両置き場使用料」収入は、5億2357万9080円となっていますが、中央卸売市場当局は、実際に、誰から使用料を徴収しているのか、伺います。

A4:萩原財政調整担当部長 答弁〉
○ 豊洲市場において車両置場使用料を負担しているのは、条例に基づき使用許可している業界団体等でございます。

もり愛〉Q5, また、使用料徴収事務を委託しているとすれば、それは中央卸売市場当局が委託料を支払い、仲卸や売買参加者・仲買人は規則で定められた使用料を支払うだけで良いことになると思いますが、使用料徴収事務を委託しているのか、伺います。

A5:萩原財政調整担当部長 答弁〉
○ 使用料の徴収につきましては、都が直接実施しております。

もり愛〉Q6 売買参加者や買出人は、1日中車両を駐車するのではなく、短時間の駐車となりますが、その場合の駐車料金の設定は、どのようにしているのか、伺います。

A6:萩原財政調整担当部長 答弁〉
○ 車両置場の使用許可を受けております者が負担する使用料は、東京都中央卸売市場条例施行規則に規定する月額に対しまして、使用許可面積を乗じて得た額でございます。

もり愛〉Q 7,駐車場として指定された場所以外に駐車を許しているとすれば、使用料を支払って駐車している業者の方との不公平を生むこととなりますが、駐車場以外の場所への駐車禁止の徹底をどのように行っているのか、伺います。

A7:萩原財政調整担当部長 答弁〉
○ 開設者である東京都から市場施設の使用許可を受けた者は、条例に基づき許可を受けた施設を適正に使用することが求められており、駐車場においても同様になってございます。
○ 各市場では、施設管理者として、使用許可を受けた駐車場以外の場所に駐車するなどの不適正な使用を発見した場合には、条例に基づき、必要な対応を行ってございます。

もり愛〉私も地元の市場にも行くんですけれども、やはり契約以外の場所に置いている車両も見受けられます。円滑な物流はあると思いますが、事業者によって不公平が生じないよう、適切な管理を要望します。

Q8, 豊洲市場「売り場使用料」は、7億2045万3450円となっています。その使用料も規則で決まっていますが、業者の中には通路を「売り場」として使用している人もあると仄聞していますが、これは、きちんと使用料を支払っている業者の方と不公平を生じます。
指定された売り場のスペースの遵守の徹底をどのように行っているのか、伺います。

A8:萩原財政調整担当部長 答弁〉
○ 開設者である東京都から市場施設の使用許可を受けた者は、条例に基づき許可を受けた施設を適正に使用することが求められており、卸売場等においても同様
○ 各市場では、施設管理者として、使用許可を受けていない施設を売場として使用するなどの不適正な使用を発見した場合には、条例に基づき、必要な対応を実施

もり愛〉売り場スペースの遵守は、適切な利用料徴収にもつながります。引き続き、不公平が生じることの無いよう、取り組みを要望します。

〇豊洲市場の地震対策について、伺います。
地下水位を目標管理水位(A.P.+1.8m)以下に維持することは、土壌汚染対策の前提となっているだけでなく、地震発生の時の地盤の液状化対策の前提となっています。
Q9,豊洲市場においては、地下水管理が行われておりますが、そのための費用について伺います。

A9:萩原環境改善担当部長 答弁〉
〇 令和4年度における地下水管理システムの維持管理経費は約5億7,000万円

もり愛〉年間、5億7000万円の地下水管理費が、毎年かかるというのは、市場の維持管理の中で小さくない金額です。
それだけの金額を投じている中で、目標管理水位が適切に管理されているのか、
 「豊洲市場用地における地下水位測定結果」によれば、5街区(青果棟)の5-⑥、⑨、⑩、6街区(水産仲卸棟)の6-③、7街区(水産卸棟)の7-④が概ねA.P.+1.8に達しているかなと言えるだけです。
Q 10,豊洲市場開場から5年が経過していますが、この間、地下水管理が徹底されていなければ、せっかくの液状化対策の効果が無くなってしまい、大地震が起きれば豊洲市場が液状化する恐れが現実のものとなりかねません。
地下水位を目標管理水位(A.P.+1.8m)以下に維持されているのかどうか、伺います。
 また、地下水位を目標管理水位(A.P.+1.8m)以下に維持するために、どのような措置を講じているのか。
さらに、地下水位を目標管理水位A.P.+1.8m以下に維持することができるのか、伺います。

A10:萩原環境改善担当部長 答弁〉
〇 豊洲市場では、地下水管理システムの運用により地下水位の低下を図っており、令和5年3月29日時点で、地下水位は、目標管理水位であるA.P.+1.8メートルに対し、全街区平均で、A.P.+1.66メートル
〇 近年増加傾向にあるゲリラ豪雨などの大雨の影響を考慮し、令和4年度に7街区の一部に有孔管を設置するとともに、5・7街区において貯留槽の増設に着手
〇 これらの取組により、目標管理水位A.P.+1.8メートルの維持に向けて、地下水管理システム運用の効率化・安定化に努めている

もり愛〉只今、ご答弁を頂きましたが、豊洲市場の技術会議では、「地下水管理システム」について、「集中豪雨や台風時においても、A.P.プラス2.0mで地下水の管理が可能となるよう、日常的に維持する推移をA.P.プラス1.8mとするとされています。都もそのように説明されていました。全街区で、2.8

Q「全街区で日常的にA.P.プラス1.8m」を維持することが「適切な地下水管理」であると考えますが、全街区平均で、1.66メートルとのご答弁でしたが、いつ、だれが、どのような理由で、地下水管理の目標を「全街区平均でA.P.プラス1.8m」という目標に切り替えたのか、伺います。

A 萩原環境改善担当課長 答弁〉
豊洲市場の地下水管理システムの運用において、平均につきましては、令和5年3月29日時点の各街区の数値を、プラス1.66mとしましたのは、皆様にわかりやすいように、平均値でお示しした。

もり愛〉専門家会議においても、技術会議の提言でも、平均ではなく、日常的に維持管理していく数値として、APプラス1.8mとするとされており、都もそのように説明されてきました。  

貯留槽の増設に着手するとのご答弁を頂きましたが、
令和4年度の「豊洲市場用地における地下水位測定結果」を見ても、9月28日の測定値で6街区は4.52、7街区で4.48と、AP+1.8を大きく上回る結果となっており、地震が来た際に液状化から守るためにも、地下水の管理は喫緊の課題です。引き続き、地下水管理システムの効率化、安定化に努めて頂くことを強く求めます。

次に、私の地元の大田区にある大田市場について伺います。
 大田市場は、青果と花きの取扱高が国内最大の規模を誇っており、都内の中央卸売市場で唯一、青果、水産、花きを取り扱う総合市場です。
私自身も花が大好きで、花は暮らしに欠かせないものになっています。産地から市場をとおり、街のお花屋さんへと日々の物流が滞りなく行われ、その中心となる市場を直轄する東京都の役割は重要となっています。
一方で、コロナ禍で、花を扱う結婚式や葬儀、各種イベント等の縮小等により、需要が減少し、花業界全体に与えた影響は甚大だと伺います。
Q11, そこで、大田市場の花きの取引状況について、伺います。

A11、大谷事業部長 答弁〉

○ 令和4年度の大田市場における花きの取扱金額は、約571億円であり、前年度と比べ、約8.8%増加
○ これは、冠婚葬祭、イベントなどの業務需要が回復傾向にあることや天候による入荷不順等から価格が上昇したことによるものと分析

もり愛〉冠婚葬祭やイベントの需要が回復しつつあり、市場の取扱高も増加しているとのことですが、平成元年に大田市場の成果と水産が開場し、翌平成2年に花きが開場して既に30年以上が経過しており、HACCPと国際基準に対応した施設の補修や修繕等への対応が行われていることと思います。
 今後も、安定的に青果物、水産物、そしてお花を流通させていくために、市場の施設整備は大変重要になってくると思いますが、
Q12, 大田市場における施設整備の状況について伺います。

A12:萩原環境改善担当部長 答弁〉
○ 開場から30年以上経過する大田市場においては、施設や設備の更新期を迎えており、これまでに事務棟の給排水やエレベーター等の設備機器の取替え、建物の外壁などの大規模更新工事を順次実施
○ 令和4年度は、花き棟においては建具改修工事、事務棟においては換気設備改修工事、エレベーター改修工事等をそれぞれ実施

もり愛〉Q 次に、市場におけるフードロス削減の取り組みについて伺います。
日本では、年間500万トン以上のフードロスが発生しており、その中でも事業者によるフードロスは250万トン以上と試算され、形が変形しているものや傷があるなど市場流通の規格に合わない規格外野菜が、その一部を占めます。

市場では、出来るだけロスを出さないよう取り組みが進んでいると思いますが、大田市場における、規格外等の理由で廃棄される食品について、昨年の数字と、市場における都のフードロス削減の取り組みについて伺います。

A13:石井市場政策担当部長 答弁〉
○ 市場では、荷傷みや商品の小分け等により野菜くずが廃棄物として発生しており、大田市場では、令和4年度に、そのうち約72トンがリサイクル
○ また、市場における食品ロス削減に向けた取組として、規格外商品に関するECサイトを構築した事業者の例など、食品ロスの削減に寄与する取組について、市場業者と共有するための情報収集・分析等を実施

もり愛〉
コロナ禍では、連日、市場関係者の感染状況について、ご報告を頂き、多くの関係者が行き来する市場における感染拡大防止の取り組みは、大変であった事と思います。
 コロナ禍による影響を払拭して、取扱高や売り上げ高を伸ばしていくためには、施設面での改善はもとより、経営面での支援も重要であると考えます。
Q14, そこで、都はコロナ禍において感染拡大の防止に努める大田市場の市場業者の方々にどのような支援を行ってきたのか、伺います。

A14:大谷事業部長 答弁〉

○ 都では、新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた事業者の自律的な取組を促進するため、大田市場をはじめとした業界団体等の取組を中央卸売市場経営強靭化推進事業により積極的に後押し
○ 具体的には、市場の事業継続体制を確保するため、簡易検査キットを購入し、自主検査体制を整備する取組に要する経費の一部を経営強靭化推進事業により補助。
○ また、都庁などの会場で実施されているワクチン大規模接種を事業者に広く周知することなどにより、ワクチン接種を促進

もり愛〉羽田空港からも近く、全国から新鮮な食材と花きが集まり、東京ドーム8.5分の面積を誇る国内最大規模の大田市場は、インバウンド需要を取り込む観光の視点からも、大変大きな魅力と可能性があると考えます。

令和4年は、コロナ禍で大きな減収となった中で、水産部門では、年末の12月26日~30日に、新聞の折り込みチラシで大々的に告知を行い、一般のお客様を中心に買い物を楽しんでもらう機会を設けたと伺いました。大田市場には場外市場はありませんが、とても良い取り組みであると思います。
Q15 大田市場における一般客の利用の現状と、経営面での支援について取り組みを伺います。

A15:大谷事業部長 答弁〉
〇 大田市場水産物部においては、令和4年度に、地域の方々などを対象に、買い物や飲食を楽しみながら、魚食・食育への関心を高める取組を行い、多くの方々に市場を身近に感じていただいた
〇 また、市場業務の担い手である市場業者に対しては、経営革新等に向けた自律的な取組に対して、経営強靭化推進事業により支援を実施