令和5年10月5日
       ミライ会議 幹事 米川 大二郎
 
令和5年第3回都議会定例会を終えて(談話)
 
1.令和5年第3回都議会定例会は、10月5日を持って終了しました。

この都議会で、私たちは、小池都庁体制が、都民に情報を隠し、都民との対話を拒み、都民よりも都庁組織を優先した縦割り行政が展開され、現場での本質的な議論が許されず、本当の情報や重要なアイデアが中枢に伝わらないなど、「日本軍の失敗」と重なり、このままでは、1,400万人都民の命を預かる都庁組織が衰退の一途をたどることを指摘し、「都民と決める政治」の初心を貫き、都政の改革を実現するため、活動しました。

東京都の知事室と都議会は、二元代表制の地方自治制度の下では、議会と知事は対等であることを示すため、向かい合って設計されています。私たちは、有権者によって、都議に選ばれました。都議は知事に従属する存在でも、知事や都庁官僚、特定の大企業のために働く存在でもありません。
 
2.「小池都庁体制」の「他人に厳しく、自分に甘い」服務規律を改革しなければなりません。
 練馬区立中学校の校長の性加害行為や、小池知事が重用してきた幹部職員が教育委員会勤務期間中の「懇親会の場」でのセクハラをとらえて、3カ月の停職処分を受けたことは、衝撃的な事件でした。
 性加害やセクハラの被害者は、二次被害にさらされることを恐れて、被害を申し出ないことがあります。加害者は、被害者の「泣き寝いり」に付け込んで、性加害やセクハラを繰り返します。一つのセクハラ・パワハラの後ろには、多くの事件と被害者がいます。
 区市町村の校長、教員は、東京都教育委員会が任命しています。都庁幹部は小池知事が任命しています。任命責任を果たすとは、懲戒処分を行うことにとどまらず、「被害者」に寄り添って、被害実態の調査、被害者への謝罪、心のケアを行うことにあります。
 ところが、小池百合子知事は議会答弁に立つこともなく、浜佳葉子教育長の答弁も「加害校長への厳正対処」の答弁だけで、被害者に寄り添う心のかけらも示すことはありませんでした。
 
3.小池百合子知事の「思い付き」政策は成果がなく、PDCAも停止しています。

(1) 国際金融都市ランキングは、小池知事就任時3位だったのが、2020年9月に上海に抜かれて4位、その後7位、去年の3月は9位、9月は16位、今年3月は21位と、凋落が続いています。小池知事は答弁に立てず、政策企画局長が「都は様々な施策を展開しています」としか答弁できませんでした。

(2)1260億円もの予算を投入する018サポートは、全国最低の東京都の出生率への効果を説明することも、一時金か手当かの性格付けも、「2月・3月分の前払い給付」が本邦初演の仕組みであるかどうかも答弁できない、バラマキ政策であることを証明しました。

(3)東京都教育委員会は、レイマンコントロール(民主的統制)が全く行われない組織になっており、形がい化した教育委員会の同意人事に反対しました。
また、浜佳葉子教育長の「学校給食無償化」への冷淡な態度は、支援学校など都立の学校と給食無償化に尽力している区市町村立学校との間の格差を生んでいます。

さらに、英語スピーキングテストです。昨年度のESAT-J受験対象者の公立中学校卒業生7万8,493人のうち都立高校の英語科目を受験したのは3万4,578人で卒業生の44.0%であり、都立高校の英語科目を受験しない56%の中学3年生の経費は「無駄な支出」であることを指摘しました。

(4)卵子凍結についても、女性がキャリアを損なわないよう労働慣行を改革することが先決で、卵子凍結を税金で支援するからキャリアアップして働けというのは本末転倒であることを指摘しました。

(5)「国際スポーツ大会への東京都の関与のガイドライン」も、東京都が世界陸上を財政的に支援する上での、「契約上の義務」にしなければ、「絵に描いた餅」にしかなりません。実効性を確保する担保措置が必要です。
 
4.小池知事が9月15日の記者会見で、明治神宮内苑護持の資金捻出のために、JSCや、三井不動産、伊藤忠商事が協力して外苑再開発をしている旨の発言をされたことは、憲法20条に関わる重大発言です。
 宗教法人である明治神宮と土地交換する予定のJSCは独立行政法人であり、職員は「みなし公務員」、所有地は国有地です。また、宗教法人明治神宮の内苑護持のためのプロジェクトの「協議」、「確認書」に東京都が参加し、都市計画決定を行ったことについても、憲法20条との関係を明らかにしなければなりません。

 さらに、都市整備局長の答弁で、2014年3月の恒久サブトラック中止の理由が、「関係地権者などとまちづくりの調整を進める中で、恒久サブトラックを設置する空間余地がないことなどから、整理されたもの」と明らかにされました。これは、2015年4月の「神宮外苑地区まちづくりに係る基本覚書」以前に、都民の知らない密室で、都と事業者との間だけで、「スポーツクラスター」から「明治神宮内苑護持」のための「高層ビル・にぎわい施設建設」へと転換していたことを表しています。
 
5.監査委員と教育委員の同意人事案に反対しました。

(1)監査請求の対象には、監査委員が直接の利害関係がなくても、都議として賛成又は賛成した政策にかかわる事案があり、中立的な立場での監査ができない案件があるため、都議を監査委員とすることには、反対です。「李下に冠を正さず」です。

(2)教育委員会は独立行政機関と位置付けられていますが、教育委員は、独立行政委員会の委員として、「行政」としての政策決定を行っていません。東京都教育委員会は、職員の分限処分や懲戒処分を行っているだけ、政策は教育長及び教育庁の職員が決定し、教育委員会には報告されるだけ、という状況です。 政策である英語スピーキングテストへ教育委員候補者の考え方も示されていません。

教育委員会の正統性は、「住民が専門的な行政官で構成される事務局を指揮監督する、いわゆるレイマンコントロールの仕組みにより、専門家の判断のみによらない、広く地域住民の意向を反映した教育行政を実現する」ことにあります。
しかし、教育委員会の名のもとに行われている浜佳葉子教育長の教育政策の決定及び執行は、「業者の声は聴くが、都民の声は聴かない」、「議員提出条例は独立行政機関に対する介入だから、法律違反である」という、「都庁官僚にすべてをゆだねてしまう」民主主義の危機の見本となっています。
 
最後に、本来、東京には困難を突破する力があります。ミライ会議は、小池都知事をはじめ都庁幹部の独善的で閉鎖的な都政運営を改めるよう求め、引き続き改革に邁進してまいります。