令和 5 年東京都議会第 1 回定例会を終えて(談話)
                         都⺠ファーストの会東京都議団
                              幹事⻑ たきぐち 学
令和 5 年 3 月 24 日 令和 5 年東京都議会第 1 回定例会が閉会しました。

令和 5 年度予算は、新型コロナウイルス感染症への対応に社会や経済が縛られた 3 年間 から大きく一歩を踏み出し、東京、そして日本の未来を左右する大きな転換点としてい く、未来につながる予算となっています。
施策の実行に向けては、あるべき東京の未来を想定し、未来への投資を積極果敢に進めるとともに、都⺠の安全・安心を確保する、効果 的でスピード感のある政策の実現が極めて重要です。

一方、政策評価については事業の無駄をなくし、見直しが必要な事業はしっかりと見直していく、ワイズスペンディングの取 組の一層の強化について、今後も継続していくことを求めました。

今後、感染症との闘いは新たな段階へと移ります。感染症法上の位置づけが変更される 中で保健、医療提供体制をスムーズに移行させることは重要です。一般の病院、クリニッ クにおける環境整備を支援し、通常の診療として原則的に患者を受入れる体制を整えていくこととともに、重症、中等症の患者を受け入れるための病床確保や、ハイリスク層への 対応を継続することを求めました。

子育て支援策について、都⺠ファーストの会東京都議団は、昨年十二月の予算要望にお いて、小池都知事に対して各分野で提案を行い、来年度予算の中で様々な形で実現するこ ととなりました。

18 歳までの子供たちに月額 5000 円の給付、第二子の保育料無償化、出産応援事業、赤 ちゃんファーストの継続と妊娠・出産・子育ての切れ目ない支援への改善といった子育て 負担軽減策について、予算化されたことを高く評価します。
引き続き少子化対策で国を牽 引するとともに、多岐に渡る専門人材と協働し、少子化への⻭止めへの作用を検証するこ とにより、社会情勢を踏まえたブラッシュアップを求めました。

加えて子育て支援については、所得階層によらず、あらゆる子育て世代が希望する人数 の子供を産み育てられ、また、将来への期待を持てるよう、社会全体で負担を担うべきです。
引き続き、都は国を牽引し、所得制限のない子育て負担軽減策を大胆に講じていくよう要望しました。

また、私たちがかねて求めてきた卵子凍結や AMH 検査について、新たに支援していくとしたことを高く評価します。
若い世代が将来の妊娠や出産に正しく向き合えるよう、新たな支援策と併せて周知していくと共に、答弁にもあった従業員の卵子凍結の支援に取り 組む企業への助成など、職場の理解や環境の促進にも一層の取り組み強化を求めました。

教育施策については、子供たちが将来国内だけでなく、国外でも成果を出せる人材にな るには、異文化への理解を持ち、現地の人ともコミュニケーションしながら、共に課題解決できる能力が求められます。予算案では「英語の東京」を実現するための様々な施策が 組み込まれていますが、今後国の垣根を越える交流ができるための使える英語の習得に向 けた取り組みの一層の強化を求めました。

さらに、私たちの求めに応じ、フリースクールに通う家庭へ、実態調査への協力金を月額 2 万円に拡充すると答弁があり高く評価します。
フリースクールを学びの一つの選択肢 とするため、認証化など、質の担保や多様な事業者参入を促す仕組みについても、検討の加速を求めました。

防災対策については、本年九月に関東大震災から百年の節目を迎えます。私たちはハード面と合わせて、ソフト面での対策の強化、コミュニティの防災力の強化が重要であると考えています。
町会・自治会において、不足する防災物品の購入費用を助成するとされて いますが、事業の推進にあたり町会、自治会への加入促進を組み合わせた施策とするよう 求めました。

都⺠の約七割は集合住宅に居住していますが、その多くが町会、自治会に加入しておらず、地域の連携不足が災害時の弱点となりかねません。
マンション防災の強化に向けて、 今後、東京とどまるマンションへの登録などを条件に、小型蓄電池など防災備蓄資器材の 整備費用を補助すると答弁がありました。
併せて、自治会・町会への加入や連携等が進む取り組みとなるよう後押しを求めました。

また、私たちの求めに対し「東京防災」と「東京くらし防災」をリニューアルする際に、マンション防災について新たに取りまとめ都内 全戶へ配布をするとの答弁があり、速やかな対応を求めました。

気候変動対策・脱炭素化については、「建築物環境報告書制度」 の施行に向けて、事 業者への支援や都⺠の理解促進を図るとともに、都自らが新築・改築時に加え、既存都有 施設に積極的に太陽光発電設備を設置し、併せて、VPP(バーチャルパワープラント) の構築に取り組むことが重要です。グリーン分野における、先進技術の活用やスタートア ップ企業等の力を活用して、環境施策を強力に推進することを求めました。

スタートアップ施策については、スタートアップ施策を大幅に強化する予算が編成さ れ、また先月には City Tech Tokyo・G-NETS Mayors Summit が開催されました。今後、拠点として Tokyo Innovation Base の整備が予定されていますが、そこで会える人の魅力 が極めて重要です。
施設のトップやアドバイザーなどには、国内外からスタートアップ創 業者や VC、アクセラレーターなどの方々を集め、スタートアップ等を引きつける拠点と していくことを求めました。
あわせて、公共調達にスタートアップを活用することは大き な後押しとなることから、各局事業においてスタートアップを積極的に取り入れるよう改 めて強く求めました。

医療・介護政策については、私たちの求めに応じ、介護度の改善を実現する介護事業者 への報奨金制度が創設されたことを高く評価します。
今後、科学的なデータなども活用し ながら、事業者の介護度低下や重度化予防につながる取組を都内全域で展開していくよう求めました。

多摩地域の振興については、来年度、多摩のまちづくり戦略を策定するとしており、デ ジタルや環境、創業やイノベーションなど、今後の新たなまちづくりに必要な切り口を関 係局で連携して戦略に取り入れていくことを求めました。
特に、多摩地域の交通ネットワ ークの強化は重要であり、武蔵野南線や南武線の南武支線の活用も含め、多摩地域から空 港へのアクセス改善について、検討を加速させるべきです。
また、公⺠学が連携して多摩 のまちづくりの促進を図る仕組みとして、地元自治体が活用できるプラットフォームを都が新たに構築し取組を支援していくと答弁がありました。
まちづくりを推進する組織の人 と資金の両面での支援の早期構築を求めました。

東京 2020 大会を巡る一連の不祥事について、私たちの求めに対し、清算法人に対し損 害賠償請求や公費返還請求等も検討することや、清算業務をサポートする組織体制も構築 するという知事の踏み込んだ答弁がありました。
こうした姿勢が示されたことは高く評価しますが、引き続き、清算法人への働きかけなど、原因究明と再発防止に向けた取組の手 綱を緩めないことが重要です。

一方で、2025 年には世界陸上やデフリンピック国際スポーツ大会の東京での開催が予定されています。こうした大会を通じ東京の都市としての活力やプレゼンスの向上につなげ ていくべきであり、また、スポーツ行政をけん引する人材が成⻑できる貴重な機会と位置 付け、都も積極的に関与していくことを求めました。

私たちはこれからも未来の東京に繋がる建設的な提案で都政をリードするとともに、これまで進めてきた東京大改革の成果が地域に波及していくよう尽力してまいります。