【財政委員会事務事業質疑】
都財政の公金管理について質疑を行いました。

財政委員会 令和4年 事務事業質疑
都民ファーストの会 もり愛

 会計管理局は、都財政において適切な会計事務の確保・リスク管理を徹底した公金管理の実施・新公会計制度の推進という大きな3点を重点事項として取り組んで頂いております。
 
今般の新型コロナウィルス感染症拡大やウクライナ危機といった国際情勢の影響により、不透明な社会経済動向や金融情勢にたいして公金管理はとても重要です。
そこで、【公金管理】について質問いたします。



  都が発表している令和4年度公金管理計画によると、今年度の都の公金の平均残高見込みは、歳計現金や基金など合わせ、全体で5兆円に迫る額の公金を管理しています。
この極めて多額の公金は、都民が納付した税金など一時的にお預かりしている資金が積み重なったものであり、それがどのように管理されているか確認していくことは重要です。
 公金の管理にあたって、都は、「安全性の確保」、「流動性の確保」、「効率性の確保」の3つの原則を掲げています。
 そこでまず初めに、

Q1 安全性、流動性、効率性の確保、それぞれの具体的な内容についてお伺いします。

A1(管理部長)
 安全性の確保は、最も重視しているものであり、健全性に優れた金融機関への預金や、
信用力の高い債券で、保管、運用するなどにより、資金元本の毀損を避けることである。
具体的には、金融機関や債券発行体について、財務分析や格付等による評価を行い、
一定水準を満たすと判断したもののみを、預金や債券購入の対象としている。

 流動性の確保とは、支払いや想定外の資金ニーズに備え、必要となる資金を予め準備することである。具体的には、常に適正な支払準備金を確保しておくことであり、関係各局と緊密に連携し、収支見込を精緻に把握するなどして、歳入歳出管理を徹底している。
 効率性の確保とは、安全性及び流動性を確保した上で、運用収入の最大化を図ることである。具体的には、金額や期間など様々な条件で変動する預金等の利率などについて、きめ細かに把握しつつ、日々、最適な運用商品等を選択している。
 
もり 愛〉 都の公金管理における3つの原則について、内容とそれらの優先順位について、確認させて頂きました。

昨今の円安ドル高を受け、つい、「都ほどの巨額な金額をドル建てで有していたら、物凄い額での利益が出ていたのでは」との思いもよぎりますが、都の基金や公金でドル建てのものや株での運用があるか確認したところ、ドル建てでの運用は行っていないとの事でした。

また、かつて小池都知事以前には、株での運用の議論も上がったとの事ですが、基本的に安全性を第一として、万全に政権者にお支払いするよう、利回りが第一では無いが、安全性・流動性・効率性の中で、安全性を最も重視しているとの旨のご答弁を頂きました。
 近年は、特にマーケットの動きも激しく、この3つの原則を、貫徹していく難度も高まっているのではないかと推察します。そのため、継続的に、この3原則を達成していくには、まず、組織面からの裏付けが重要であると考えます。
 そこで、
Q2 都における公金の管理は、どのような体制で行われているのか、お伺いします。

A2(管理部長)
 都では、金融分野における最前線の知識や実践的なスキルを活用し、公金管理を行う為、特定任期付き職員として、金融機関在籍者を任用していると共に、キャリア活用制度で採用された高度な知見や経験を有する

現在、現役の金融機関在籍者を想定した特定任期付職員の管理職を公募するとともに、キャリア活用制度で採用された高度な知見や経験を有する職員を複数名配置しており、金融分野における最前線の知識や実践的なスキルを活用し、また組織内で共有している。
 また、外部有識者である専門助言員から金融機関の経営分析に必要な情報や助言を得るとともに、金融分野の専門家等で構成される「東京都公金管理アドバイザリー会議」の委員から、タイムリーに、リスク管理や運用手法などについて意見を聴くことができるようにしている。
 都の公金管理は、このような体制により、継続的に、最新の経済金融情勢の動向も踏まえた的確な判断を行いながら、安全性、流動性、効率性、それぞれの確保に向け、万全を期している。

もり愛〉ありがとうございます。只今ご答弁頂き、外部有識者である専門家助言員と専門家からなる「東京都公金管理アドバイザリー会議」に加えて、局内にも金融の専門家がいる事はとても心強いです。
 都は、変化の大きい経済金融環境にあっても、継続的に、組織として適切な対応を行えるよう、万全の体制を整えていることが確認できました。

 しかしながら、発生以来2年半以上続いている新型コロナウイルス感染症拡大の影響、また足元では、ロシアによるウクライナ侵攻がもたらす、資源価格の高騰やサプライチェーンの不安定化による影響など、経済の先行きには懸念材料が山積していると言わざるを得ません。そこで、

Q3 金融・経済環境の先行きに不透明感が増す中、公金管理の今後の方向性についてどう考えているか。お伺いします。


A3(管理部長)
 新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢の影響が、今後の企業業績、ひいては金融機関の健全性などに、どこまで影響を与えていくか見通すことは困難である。

 こうした中、日本銀行は先日発表した「金融システムレポート」において、エネルギーや原材料価格の上昇などを、金融機関の貸出先企業に対する追加的なストレスとして、そのリスクを試算するなど、金融機関経営の先行きに対し警鐘を鳴らしている。

 このように、公金の保管、運用を行う先である金融機関の健全性の懸念が高まる中においては、これまで以上に公金の安全性確保のため、信用リスク等の管理を更に徹底していくことが重要である。

 今後とも、公金管理を取り巻く環境がいかに変化しようとも、資金元本を毀損することのないよう、顕在化するリスクを早期に把握すべく、多角的視点から金融機関等の健全性を分析していくとともに、金融情勢等の突発的変化にも適切に対応できるよう、株価や債券スプレッド等、経済金融指標などの日常的な監視も、より充実させていく。


 もり愛〉繰り返しになりますが、これだけの莫大な公金について、継続的に安全性を確保していくことは、都にとって、極めて重要なミッションであると考えます。

また、公金の保管、運用を行う先である金融機関の健全性も求められる中で、金融ダイベスティメント 金融機関においても企業倫理が問われ、世界ではその流れが顕著ですが、

日本では都の指定金融機関であるみずほ銀行も含め日本の3大メガバンクが石炭産業への融資総額で未だ世界のワースト3を独占している事が国際環境NGOからも指摘をされております。

都はESG投資を推進しておりますが、東京都という巨大なインパクトを持つ行政が、金融機関を選ぶ上でもダイベスティメントの視点を持つ事で企業側の意識変革を促すと考えますので、併せて要望致します。

 経済金融環境は、近年特に、様々な要素が複合的に影響し合い、複雑化していることから、予測困難な変化が生じることも十分想定されます。
 
 都は、今後とも、どのような環境変化があろうとも、万全な公金管理の実施に向け、引き続き、緊張感をもって取り組んでいただくことをお願いし、質問を終わります。