【令和3年度公営企業決算特別委員会 病院会計について】
2022年10月26日

 都立病院は都民の命と健康を守る事を使命として、「行政的医療」の要としての役割を担って参りました。決算質疑においては、昨年度の事業効果を検証し、次年度の予算編成に活かす事が求められますが、独法化により公営企業決算としては最後の質疑となります。
独法化後もしっかりと行政的医療を担う事を質疑を通じ確認すると共に、
東京iCDCと連携したコロナ後遺症とワクチン後遺症の支援拡充について、地域医療連携について、不妊治療相談と支援拡充について質疑を行いました。
 今後も、東京都して都民の命と健康を守る行政的医療の充実に取り組んで参ります。



 

もり愛〉
〇 まず初めに都立病院の新型コロナウイルス感染症への対応についてお伺いします。

令和3年度決算においては、特に新型コロナウィルス感染症への病床を確保し、他の医療機関では対応困難な患者を率先して受け入れ、大きな役割を果たして参りました。
感染症医療など、行政的医療の提供を役割とする都立病院は、令和 3 年度の感染拡大の際も、新型コロナウイルス患者に率先して対応してきました。
そこで、令和 3 年度の患者の受け入れに関する取組や受入実績についてお伺いします。(Q1) 

答弁〉A 〇 都立病院では 8 病院全てで新型コロナ患者の受入体制を整備し、臨時の医療施設を除く確保病床数は、令和 3 年 4 月に 880 床から 1,000 床、令和 4 年 1 月に 1,050 床と拡大し、新型コロナ患者を積極的に受入れた。
 ○ 患者の受入れに当たり、各病院では、感染症科や内科の医師に加え、他の診療科の医師も応援に入るなど医師の診療体制を構築し、全診療科が協力して対応
○ また、看護師については、感染管理認定看護師による研修を受け必要な感染対策を身に付けた看護師を、他の病棟からコロナ病棟に配置転換し人材を確保 
○ こうした受入体制を構築し、令和3年度は、延べ112,205名 の入院患者を受入れ

もり愛〉都立病院において延べ112,205名の入院患者受け入れと、 多くのコロナ患者の受け入れを行って頂いた事に改めて敬意と感謝を申し上げます。
只今、病床数の推移についてご答弁を頂きました。病床数を拡充しても、医師・看護師が不足している状況では、迅速な患者受け入れが出来ない課題があり、
地元の荏原病院は公社病院ですが、コロナ禍以前より、看護師不足により、病床使用率が低い事が、地元医師会からも課題であるとの指摘がありました。

今般、独法化に伴い、自治体の定数管理の仕組みが無くなる事で、都立病院が経営効率化を優先し医師・看護師不足が深刻化するとの懸念が聞かれますが、むしろ法人独自の採用が可能になり、迅速な人員配置が可能になる事により、感染症発生時等においては、より柔軟で機動的な医療人材の確保が望まれます。
独法化後も、都立病院には引き続き行政的医療の要としての役割を担って欲しいと願い、強く要望致します。
令和 3 年度は感染拡大の大きな波として第 5 波と第 6 波がありますが、それぞれ変異株の種類も違うため、入院患者の実態も大きく異なっていた事実があります。

感染力の高いデルタ株と、より感染力の強いオミクロン株では求められる治療も異なったと考えます。
昨年8月の第5派では入院治療を必要とする方が全国で10万人を超え、保健所のひっ迫や医療機関での受け入れが困難な状況により、保険・医療提供体制が危機的な状況に陥り、東京都でも自宅療養者が、自宅で亡くなる方が居た事は決して繰り返してはなりません。

それぞれの波において都立病院で受け入れた患者像とどのように対応したか具体的な取組を伺います。(Q2) 

答弁〉A 〇 第5波とされる令和 3 年 7 月から 10 月までの期間は、デルタ株による感染が蔓延。都立病院では、中高年層で重症化し、ECMO や人工呼吸器、ネーザルハイフロー等高度な治療が必要となる患者を多く受入れ 
○ そのため、人工呼吸器等の使い方や回復後のリハビリ方法等をまとめたマニュアルを作成し、医師、看護師を対象とした研修を実施。重症者に対応できる職員の養成を図り、多くの重症患者を治療 
○ 第6波とされる令和4年 1 月から 3 月までの期間は、感染力の強い オミクロン株によって新規陽性者が急増し、都立病院では、重症・中等症の患者に加え、コロナは軽症でも基礎疾患のある高齢者等を多く受入れ
 ○ そのため、コロナの治療だけでなく食事介助や体の清拭等の介護ニーズにも対応する必要があり、患者の症状にあった丁寧なケアを行うととともに、認知症認定看護師がコロナ病棟を定期的に見回り助言や 指導を行うなど、院内で協力体制を構築し、適切に対応。


もり愛〉〇都立病院では、小児や妊産婦・精神医療につながる陽性患者等、民間の病院では対応が難しいコロナ患者を多く受け入れているが、どのように患者を受け入れてきたのか、伺う。(Q3) 

答弁〉A 〇 都立病院では、各病院の有する機能や役割に応じて、民間医療機関では対応が困難な新型コロナ患者を積極的に受入れ 
○ 具体的には、臨月の新型コロナ患者について、周産期医療を担う大塚、墨東、多摩総合医療センターで受入れ、感染対策を講じた上で緊 急分娩に対応 
○ 小児総合医療センターでは、親子がともに新型コロナに感染した場合、安心して治療を受けられるよう同室へ受入れ 
○ 松沢病院では、民間精神科病院等でクラスターが発生した際に、患者を率先して受入れ、コロナ治療に加え、統合失調症や認知症等を治療

もり愛〉これらの患者は、行政的医療を担う都立病院でまさに受け入れるべき患者であり、引き続きしっかり受け入れて頂くようお願いします。

 〇 次に、都立病院のコロナ後遺症相談窓口についてお伺いします。
令和 3 年度は、 第 5 波や第 6 波でコロナの陽性者が急増し、後遺症相談窓口へも多くの相談が寄せられています。
そこで、令和 3 年度の相談件数や相談状況について伺います。(Q4) 

答弁〉A 〇 都立病院では、令和 3 年 3 月以降、順次 4 病院でコロナ後遺症相談窓口を設置し、患者支援センターの看護師等が電話で新型コロナの後 遺症等について相談を受け、症状に応じて相談者を支援 ○ 令和 3 年度の相談件数は 4,476 件で、主な症状は、嗅覚障害が 1,251 件、倦怠感が 1,228 件、せきが 1,023 件、味覚障害が 981 件 ○ また、陽性が判明してから相談に至るまでの日数は、相談者の約3 割は陽性判明から 1 か月未満、相談者の約7割は 3 ヶ月未満

もり愛〉4千件を超えるデータが集積していることが確認出来ました。こうしたデータ は、新型コロナの後遺症を分析する上で大変貴重である。都はデータを活 用し、後遺症対策を進めるべきと考えるが、見解を伺う。(Q5) 

答弁〉A 〇 新型コロナの後遺症は、年齢や基礎疾患の有無などにかかわらず全 ての方に起こる可能性があり、診断や治療等の知見を集積し、的確に 情報を発信していくことが重要
 ○ そのため、都立病院では、後遺症の調査分析に活用できるよう東京 iCDC に相談窓口のデータを提供しており、引き続き、後遺症の実態把 握や今後の都の後遺症対策に寄与

もり愛〉現在、新型コロナの感染状況は落ち着いているが、全国旅行支援も始まり、今後の動向に注視が必要である一方で、若年者・若者における重篤化リスクは低く、今後感染症法上の分類の見直しを見据えた対応が求められると考えます。
引き続き、都立病院では、後遺症相談窓口で都民の相談に しっかり対応するとともに、後遺症の実態解明が進むよう、東京iCDCとしっかり連携することを求めます。

令和3年度は多くの都民がコロナワクチン接種を受けましたが、接種後副反応が出た方については不安を抱えており、診療ニーズに対応する必要があると考えます。
そこで、 こうした方に都立病院がどのように対応したのか、具体的な取組を伺う。(Q6) 

答弁〉A 〇 都は、新型コロナウイルスワクチンを接種した医療機関などが、接種後の副反応を疑う症状を有する患者について、専門的な医療機関の診療が必要と判断した場合に紹介する医療機関を、各二次保健医療圏に 1 か所確保
 ○ このうち、区東部は墨東病院が、島しょ部は広尾病院が、患者支援センターに副反応相談窓口を設置。令和3年度は墨東病院で 16 件の相談に対応、症状に応じて総合内科などの外来受診に繋げる
 ○ 引き続き、両病院で地域の医療機関を支援し、専門的な診療が必要な患者に対応

もり愛〉ありがとうございます。都立病院においても、2次保健医療圏に1カ所の紹介医療機関と、墨東病院と広尾病院では、副反応相談窓口を設置しているとの答弁を頂きました。

厚生労働省の専門家による
「副反応検討部会」による令和3年度の接種後の死亡報告は、昨年11月の数字で1,368名、
接種が原因で死亡した事例は、90代の方の1例のみで、「感染症・予防接種審査分科会」で
接種後に死亡した20代女性、90代女性、70代男性の検討もなされたとの事ですが、死因が明らかにされず、補償申請は昨年度約700件との事で、国策として推進している一方で、被害者への対応が十分ではないと、今月「コロナワクチン被害者遺族会」が結成されました。


実際、私の家族も1度目の接種で発熱と嘔吐、2回目の接種で心筋炎とモノが歪んで見えるようになり目の手術を受けましたが改善せず、3回目の接種で膠原病を発症しました。
70代ですが、これまで膠原病の様な免疫疾患の症状は全くありませんでしたが、医療機関も、本人も「年齢によるものだから」と、接種後体調不良を抱えていても、泣き寝入りをしているケースが多いと感じます。

コロナ後遺症については4千件のデータの蓄積がある一方で、接種後の副反応について都への相談実績16件は、接種後の体調不良や不安を抱えている方に対して少ないと感じます。

臨床現場の最前線に立つ医師からも、「COVID-19による致死率が大きく低下した今、これら副反応にもしっかり目を向ける時が来ていると考えるが、それら負の側面についての議論は医療界でも乏しい。」との課題が聞かれます。

ぜひ、東京都として、ワクチン接種後の副反応に対する相談窓口があるという事の一層の周知と共に、

東京ICDCと連携しながら、慎重に副反応疑いを拾い上げ、ワクチンとの因果関係と副反応についての原因究明と後遺症患者の支援に取り組んで頂きたいと要望致します。

新型コロナウイルス感染症への対応を通じて、限られた医療資源を効果的に活用するため、地域の医療機関や介護関係者等の多職種が一層連携を強化し、地域医療提供を確保・充実することの重要性が浮き彫りとなりました。

 そこで、都立病院では医療介護専用 SNS というコミュニケーションツールを用いて、地域の医療機関や在宅療養の関係者等と情報共有を行う取組を行っていますが、
これまでの導入状況と、令和3年度及び令和4年4~6月の稼働実績について伺う。(Q7)


 答弁〉A 〇 医療介護専用 SNS は、都立病院と地域医療機関や在宅療養関係者等が退 院後の療養計画や在宅時の問診及び投薬の状況などの患者情報を同時に共 有するためのツールであり、令和 2 年度以前に大塚病院、墨東病院が導入 し、令和3年度に導入した多摩総合医療センターと神経病院とあわせて、 4病院で稼働 
 
〇 これらの病院での稼働実績は、令和3年度は40件、令和4年4月から 6月は20件であり、地域医療連携の推進に向けて取組

もり愛〉重篤化リスクの高い高齢者が入院した際、コロナウィルスは完治したものの、入院中に体力が落ちてしまい、介護を必要とする高齢者を受け入れる後方医療機関との連携や、円滑に在宅医療に移行するための地域医療連携の一層の推進が求められると考えます。
一層の取り組みの推進をお願いいたします。

次に、都立病院における不妊治療の支援について伺います。
 東京で働く夫婦の実態を踏まえ、不妊治療の支援を充実させていくことは重要である。一方、不妊治療を希望する方が不安や悩みを周りに相談しづらく精神的な負担も大きい、という声もあげられています。
センシティブな内容 のため相談窓口が限られている中で、都立病院及び公社病院で令和4年 4 月に不妊治療の相談窓口が設置されたことは、意義ある取組であると高く評価しています。
 〇 そこで、都立病院での不妊治療の相談実績に関して、令和4年4月~6月 の相談件数と、主な相談内容についてお伺いします。(Q8)
 
答弁〉A 〇 本年4月から開始した不妊治療の相談窓口は、医療ソーシャルワー カーや心理士等が電話等で不妊に対する不安や悩みについて相談に応 じるもので、大塚、墨東、多摩総合医療センターの3つの都立病院に 設置し、6 月までの 3 か月間で38件の相談に対応 
〇 主な内容は、治療費や助成金等の費用面や、不妊治療への不安・治 療方法の悩みであり、必要に応じて不妊治療を行う医療機関を紹介

もり愛〉都立病院に相談窓口が設置されたことは都民の安心感にもつながります。
相談を必要とする人が利用できるよう、しっかりと周知を行い、すそ野を広げていくべきだと考えますが、これまでの取組と今後について伺う。(Q9) 

答弁〉A 〇 相談窓口の開設時に報道発表するとともに、病院経営本部のホーム ページに窓口の案内を掲載し、現在は都立病院機構のホームページで 掲載し周知
 〇 また、6 月には都民向け広報紙である都立病院だよりで周知 
〇 今後、事業の更なる周知に向けて、SNS 等を通じた都民への広報を 強化するとともに、地域医療機関等に対する周知も積極的に実施

もり愛〉都立病院は、都民の命と健康を守る事を使命として、「行政的医療」の要としての役割を担って参りました。
決算質疑においては、昨年度の事業効果を検証し、次年度の予算編成に活かす事が求められますが、独法化に伴い、公営企業決算としては最後の質疑となります。
都立病院が、引き続き地域の医療機関と連携し、都民の命と健康を守る行政的医療を担っていく事を強く要望し全質問を終わります。
ありがとうございました。