決算質疑【下水道局】 
都民の生活を支える下水道事業・合流改善、エネルギー環境政策を質疑

10月21日公営企業決算特別委員会「下水道局」質疑を行いました。
10月26日は、都市整備局と病院会計について質疑を行います。



 下水道事業は、都民生活に欠かせないインフラであると共に、豪雨から都市を守る浸水対策・首都直下型震災に備える震災対策、良好な水環境と環境負荷の少ない都市の実現に貢献する合流式下水道の改善、東京湾などの水質改善に貢献する処理水質の向上等、重要な役割を担っております。

 今決算においては、令和3年度における下水道局のコロナ禍の都民の生活に寄り添う支払い猶予の取り組み、
私が区議会議員時代より取り組んできた、地元吞川の水質改善にについて合流式下水道の改善、エネルギー・地球温暖化対策を中心に質疑をさせて頂きました。

〇 下水道局事業会計における令和3年度決算について伺います。
初めに、新型コロナウィルス感染症に対する下水道局の取り組みについてお伺いします。
下水道局では、我が会派の要望を受け、水道料金と共に、下水道料金の支払いが困難な方に対し、支払い猶予を実施して頂いております。
Q1,令和3年度末までの下水道料金の支払い猶予の受付実績と猶予金額について伺います。
A1,下水道局答弁〉
下水道局では、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、一時的に支払いが困難な23区のお客さまに対し、最長1年間を猶予期間として、支払い猶予を実施している。
制度を開始した令和2年3月24日から令和4年3月末までの受付実績は、20,252件、支払い猶予金額は、約6億3,500万円となっている。

もり愛〉 今年度に入り、海外からの観光客も見受けられるようになり、人々の行動制限も緩和されつつあるものの、都民や事業者への影響は依然として大きく、厳しい状況が続いています。
支払い猶予の受付については、先月末までとしていた受付期間が、先般、来年3月まで延長されましたが、猶予期間終了後の支払いにあたっても、引き続き、分割払いなど、都民の個別の事情に配慮した対応をお願いいたします。
次に、下水中の新型コロナウィルスの分析について伺います。
東京都下水道局では、新型コロナウィルス感染症が拡大する中、感染実態を把握する為の下水の調査研究が行われました。これは、下水から新型コロナウィルスを検出するための研究が欧米をはじめ国内外で行われてきました。
下水道局でも、日本水環境学会のタスクフォースメンバーの東京大学に、水再生センターの流入水を提供し、分析手法の確立に協力するなど、様々な取り組みを行ってきたと伺っています。そこで、
Q2,下水中の新型コロナウィルスの分析について、これまでの下水道局の取り組みについて伺います。

A2 下水道局答弁〉
下水道局では、令和2年度に、下水道関係者の安全確保等のため、都内全二十か所の水再生センターの流入下水及び放流水を調査し、感染性のある新型コロナウイルスが検出されなかったことを確認するとともに、この情報を広く発信した。
令和3年度には、関係局と連携し、都内の教育施設周辺や大学の学生寮等の下水を調査し、ウイルスが検出された場合には、感染拡大の早期防止に寄与するよう、速やかにPCR検査の実施につなげた。
また、こうした取組から得た知見をもとに、施設管理者が自ら下水の採取等を行う場合の参考となるように、政策連携団体である東京都下水道サービス株式会社とともに下水採取の手順書を作成し、公表した。
もり愛〉 ありがとうございます。
ポストコロナ禍の社会経済活動を安全に再開をさせていく段階において、感染症の流行状況を把握する下水免疫学調査が注目をされております。昨年度の事業では、大学や教育施設の周辺とのご答弁を頂きました。医療施設や介護施設といったより感染リスクの高い施設の下水を調査する事により、院内感染の発生を極初期の段階で検出することが出来れば、早期に対策を講じる事ができるとの指摘もありますので、令和3年度の知見を今後の対策に活して頂く事を要望します。

次に、合流式下水道の改善について伺います。
地元の吞川の会に所属し、合流式下水道の水質改善については、区議会議員時代より取り組んできたテーマです。区部の下水道は、明治初期の衛生環境と浸水被害を早期に改善するため23区の8割で合流式下水道が採用されましたが、雨天時の放流水質には課題があり、改善を図る必要があります。そこで
Q3 改めて、合流式下水道の改善に向けた下水道局の取組内容について伺います。

A3 下水道局答弁〉
合流式下水道は、汚水と雨水を一つの下水道管で集めることから、強い雨の日には、まちを浸水から守るため、汚水まじりの雨水を川や海などに放流することになる。
合流式下水道の改善の主な取組としては、雨水吐き口やポンプ所からのごみなどの流出を抑制するために、当局が民間企業などと共同開発した水面制御装置などの整備、雨天時の下水をより多く水再生センターへ送るための下水道管の整備、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設の整備の3つがある。

もり愛〉 近年、台風の激甚化、集中豪雨の頻度も増えており、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する整備には効果があります。
合流式下水道の改善について、3つの取組について確認させて頂きました。そこで
Q4 区部における、各取組の実施状況について伺いします。

A4 下水道局答弁〉
これまでに、ごみの流出を抑制する水面制御装置などの整備及び雨天時の下水をより多く水再生センターへ送るための下水道管の整備については、全て完了している。
現在は、下水を貯留する施設の建設を進めており、令和3年度末までに累計で、150万立方メートルの整備を完了している。

もり愛〉合流式下水道の取組について、着実に整備が推進されている事を確認させて頂きました。しかし、令和6年度からは、下水道法施行令の雨天時放流水質基準が強化されると聞いており、確実に対応することが必要であると考えます。
○ また、良好な水環境を創出するためには、より一層の対策が必要だと考えます。
Q5 今後の「経営計画2021」における合流改善事業の進め方について伺います。

A5、下水道答弁〉
下水道局では、「経営計画2021」において、令和6年度から強化される下水道法施行令の雨天時の放流水質基準を達成するため、170万立方メートルの降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設の整備を進めている。
また、施行令対応以降も、更なる水質改善を図るため、呑川など潮の干満の影響により水が滞留しやすい河川区域や水門に囲まれた運河等の閉鎖性水域である14水域において、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設の整備を推進していく。

もり愛〉ありがとうございます。合流式下水道の改善に関する取組について確認させて頂きました。只今のご答弁にもありました通り、大田区の下流では、潮の影響を受けて水が滞留しやすく、夏場は依然とスカムが悪臭の原因となるなど、降雨の後は影響を受けやすく、貯州施設の整備が望まれます。今後も、着実に対策を推進していただく事を要望いたします。

水量の少ない河川などの水質を向上させるためには、合流式下水道の改善に加え、環境用水の導水なども有効な手段です。
東京都では、関連局や区が河川の流れを取り戻すために、再生水を供給する清流復活事業を行っており、私の地元を流れる呑川などの城南三河川にも、再生水が供給されております。
Q6 令和3年度における、城南三河川の清流復活事業の下水道局における具体的な取組内容と再生水の供給実績について伺います。
A6 下水道局答弁〉
潤いのある水辺空間の創出に向けて、水量の少ない都市河川に対し、気象情報などを確認した上で、清流復活用水として、下水処理水にろ過等を施して更にきれいにした再生水を供給している。
区部では、新宿区内の落合水再生センターから、渋谷川・古川、目黒川及び呑川の城南三河川に再生水を供給している。
令和3年度の、再生水の1日あたり供給量は、渋谷川・古川に
約1万9千立方メートル、目黒川に約2万7千立方メートル、呑川に約3万4千立方メートルであり、三河川への供給量の総量は、1日あたり約8万立方メートルである。

もり愛〉 下水道の再生水である高度処理水を活用し、多くの水量を日々、城南三河川に供給して頂き、地元でもこの事業の開始により、水質が改善された事を高く評価しております。
下水の再利用は、都市の良好な水環境の創出や、公共水域の水質改善に重要な役割を果たしており、地元吞川の上流では、カワセミの姿も見られるなど、美しい水環境の創出は、生物多様性の保全にも寄与しております。
高度処理水は、費用面での課題は承知しておりますが、引き続き、安定的な供給をお願いします。

 次に、エネルギー・地球温暖化対策について伺います。
都では、2050年ゼロエミッション東京の実現に向け、2030年までに温室効果ガス排出量を50%削減する「カーボンハーフ」を表明しております。
下水道事業では、日々下水を処理するとともに、そこから発生する汚泥を処理しておりますが、
これらの処理では、多くの温室効果ガスを排出しており、下水道局は都庁全体で最大の排出者となっている現状があります。
このため、温室効果ガス削減に向け、積極的に取り組んでいく必要があります。
Q7 まず、下水道局におけるこれまでのエネルギー・地球温暖化対策について伺います。

A7 下水道局答弁〉
下水道局では、地球温暖化防止計画「アースプラン2017」を策定し、温室効果ガス排出量を2030年度までに2000年度比で30%以上削減する目標を掲げ、排出量の多い水処理工程や汚泥処理工程等で対策を行っている。
令和3年度、2021年度には、温室効果ガス排出量を2000年度比で約27%削減した。

もり愛 〉下水を処理するうえで、水処理工程と汚泥処理工程で温室効果ガスの排出量が多いとのことですが、
Q8 水処理工程における温室効果ガスの削減対策についてお伺いします。

A8 下水道局答弁〉
水処理工程においては、下水をくみ上げるポンプの運転や、下水をきれいにする微生物に空気を送風するときなどに大量のエネルギーを消費している。
このため、水処理に必要な空気を小さな気泡にして水に溶けやすくすることで送風量を少なくし、電気使用量を削減する微細気泡散気装置を導入するなどの取組を進めており、令和3年度までに約7割の散気装置で導入が完了した。
もり 愛〉
Q9 続いて、汚泥処理工程における温室効果ガスの削減対策について伺います。

A9 下水道局答弁〉
汚泥処理工程においては、重力を利用してろ過濃縮することで電気使用量を削減できる省エネルギー型汚泥濃縮機の導入や、電気や燃料使用量を大幅に削減できる省エネルギー型焼却炉を導入するなどの取組を進めている。
省エネルギー型汚泥濃縮機については、令和3年度までに約4割の汚泥濃縮機で導入が完了した。
また、省エネルギー型焼却炉については、令和3年度までに約2割の焼却炉で導入が完了した。

もり 愛〉ありがとうございます。温室効果ガスの排出量が多い事業ですが、設備の高効率化、省エネ化を進めて頂き、令和3年度2021年度には、温室効果ガス排出量を2000年度比で約27%削減を行ってきたとのご答弁を頂きました。

私の地元の大田区には、日本最大の水再生センターである森ヶ崎水再生センターがあります。
規模が大きいがゆえに、使用する電力量も多く、電力使用量の削減やエネルギーの創出に向けた取り組みが必要であり、これまでも再生可能エネルギーの利用拡大に取り組んで頂いている様子を、区議会議員時代に視察させて頂きました。そこで、
Q10 森ヶ崎水再生センターにおける具体的な取組状況についてお伺いします。

A10 下水道局答弁〉
森ヶ崎水再生センターでは、省エネルギー型機器の導入や維持管理の工夫により電力使用量削減の取組を進めるとともに、再生可能エネルギーの利用拡大を図ってきた。
具体的には、送風量を少なくできる微細気泡散気装置と、使用電力の少ない高効率型送風機を組み合わせた最適化運転により、電力使用量を削減した。
また、下水道施設の上部空間を使用した太陽光発電のほか、放流落差を利用した小水力発電や、バイオマスエネルギーを活用した消化ガス発電を導入するなど、様々な再生可能エネルギーを利用することで、センターで使用する電力量の約2割をまかなっている。

もり愛〉森ヶ崎水再生センターでは、電力量の削減に向けて様々な取組を実施している旨のご答弁を頂きました。
また、コロナ禍以前は、毎年「ホタルの夕べ」を開催して頂き、ホタルの鑑賞を通じて、多くの子ども達が水再生センターを訪れ、実際に水再生センターの役割と共に、1人ひとりの家での食器洗いや行動で、下水を汚さない事が、美しい河川と海にもつながっているという環境学習を学ぶ機会にもなっていて、とても素晴らしい取り組みであると考えますので、引き続き、子ども達や都民への周知の取り組みもよろしくお願いいたします。

下水道事業は、都民の安全で安心な暮らしを支え、良好な水環境の創出に必要不可欠な事業ですが、一方で、安定的に事業を運営していくために、多くの温室効果ガスを排出しています。今後、2030年までに温室効果ガス排出量を50%削減する「カーボンハーフ」の達成には、これまで以上の取組が求められると考えます。そこで、
Q11 下水道局の温室効果ガス排出量の削減の取組についてお伺いします。

A11 下水道局答弁〉
下水を処理する過程では、多くの温室効果ガスを排出していることから、2030年までに温室効果ガス排出量を2000年度比で50%削減する「カーボンハーフ」を達成するためには、これまでの取組をさらにレベルアップしていく必要がある。
そのため、更なる省エネルギー設備等の導入拡大や再生可能エネルギーの利用拡大を図るとともに、新たな技術開発を推進していく。
また、本年4月に外部有識者による検討委員会を設置し、2030年カーボンハーフ実現のための方策や2050年ゼロエミッション東京を見据えた下水道事業のビジョンなどについて、検討を進めている。
もり愛〉 都民の生活に欠かすことが出来ない下水道事業において、
2030年「カーボンハーフ」を達成するために、大変意欲的なご答弁を頂きました。
今後の下水道局の率先的な取組に大きな期待を込めて質疑を終了します。
ありがとうございました。

「東京都下水道事業経営計画2021」において、令和3年から令和7年度までの5年間の施設の再構築、浸水対策、震災対策、合流式下水道の改善などの主要施策を着実に推進し、都民サービスの向上と経営効率化に努めていくとしています。
安定した都民生活を維持していく上で、いつ来るともしれぬ首都直下型震災への備え、防災対策は喫緊の課題であり、老朽化した下水道管の再構築事業は重要な課題です。

東京都では、区部を3つのエリアに分けて再整備に取り組んで頂いており、大田区を含む第2期エリアにおいて、老朽化対策と併せて、雨水排除能力の増強や耐震性の向上などを図る再構築を行っています。

2019年の台風では、地元大田区でも田園調布地区で大規模な浸水被害があり、約600世帯が浸水し、大きな被害となりました。
矢沢川からの内水反乱でしたが、近年の集中豪雨の頻発や台風の大型化に伴い、1時間50ミリを超える豪雨が増加しており、都としても、1時間75ミリに対応する下水道施設を整備し対策を強化して頂き、
地元大田区では、「大森西」と「大田区田園調布」が対策重点地区に指定され、令和3年には田園調布の整備が完了しました。
引き続き、再構築事業の計画的な推進を求めて参ります。