9月15日東京都都市整備委員会
【神宮外苑前開発の見直しを求める陳情について】

 私は、主権者である都民の声を都議会に反映し、都民のための都民ファーストの都政を進めるため、
 「神宮外苑地区の再開発計画に関する陳情」への思いを述べ、いくつか伺わせて頂きます。
 
 私は、昨日9月14日まで、他の委員会で質疑する準備をしておりましたが、
 急きょ、都市整備委員会所属となりましたので
当局に対する質問通告もできないまま、登壇させて頂く故、のちほどご答弁頂ければと存じますので、よろしくお願いします。

 
1.まず、令和4年、2022年3月の「東京都市計画地区計画の変更(東京都決定)」に関連して伺います。
 この都市計画の変更では、「都市景観、風致の保全を図るとともに、土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新による魅力的なスポーツクラスターと複合市街地の形成を図るため、公園まちづくり制度の適用による都市計画公園の変更の土地利用転換の動きに併せ、新たな地区整備計画の策定等に伴う地区計画の変更を行いました。」と述べています。
 
(1)まず、「スポーツクラスター」について質問します。
ここで、森喜朗さんの「遺書 東京五輪への覚悟」から、一文を引用させて頂きます。

「2011年3月10日の夜半から翌一日の朝までかけて、赤坂プリンスホテルの一室で、私と伸晃さんとで石原さんを説得しました。結果、石原さんが四選に出ると言ってくれた。都議会との関連でぎりぎりのタイミングだったのだけれども、どうやらそれで、まずはオリンピック招致再挑戦のスタートが切れました。」
私は、この森さんの一文を読んで、東京オリンピック招致と神宮外苑の「スポーツクラスター」が切っても切れない関係にあり、一つは神宮外苑の「スポーツクラスター」づくりのために東京2020大会招致に情熱を燃やされたのではないかと考えられて仕方がないのです。

 2020年東京大会の招致活動が開始された2011年の12月、東京都は「2020年の東京」で、既に神宮外苑地区を「スポーツクラスター」の地区として位置づけています。
 
Q まず、事実関係を確認させて頂きます。
1)2012年4月、東京都は、岸記念体育館に対して、神宮外苑地区におけるスポーツクラスターの形成に向けてスポーツ関連団体の本部機能の集約を図ることを念頭に神宮外苑地区への移転を提案されたというのは事実でしょうか。

2)この提案は、東京2020大会の実施を前提として、東京2020大会を実施するにあたって、
①国立代々木競技場がハンドボールなどの競技会場となり、競技場敷地だけでは大会運営のための用地の確保が難しい状況にあること、
②都市計画公園の区域内にあり、いずれは公園として整備されるべき土地であること等によると言われていますが、それは事実でしょうか。

3)2020大会の招致が決定したのは2013年9月のブエノスアイレスのIOC総会ですが、2020大会の招致が成功するかどうか分からない段階で、
岸記念体育館の神宮移転を提案することは、「フライイング」ではないかと考えますが、見解を伺います。

4)また、東京2020大会招致が決定する前の2012年5月15日、東京都の佐藤副知事と安井技監が衆議院議員会館に森喜朗氏を訪問して、
「神宮外苑の再整備について」説明されたというのは事実でしょうか。
 
(2)次に、「スポーツクラスターと複合市街地の形成」のための「高さ制限の緩和」について質問します。
 旧国立競技場の一番高い部分は、景観保護の観点から、絵画館側の地盤から23m43cmでしたが、次々と高さ制限が緩和された経緯について、伺います。
2012年7月20日 新国立競技場の募集要項では、「高さ70m」となっており、2012年11月15日には「高さ75m」の「ザハ案」が選定されています。
 
Q 東京都が、2013年6月の「神宮外苑地区地区計画」の決定で、高さ制限を、国立競技場のあるA-2地区を75mに、神宮球場のあるA-4地区を80mに引き上げたのは、新国立競技場の「ザハ案」が選定されたからでしょうか。確認します。
 
(3)次に、2022年3月の「神宮外苑地区地区計画の変更」のうち、「公園まちづくり制度の適用による都市計画公園の変更の土地利用転換の動きに併せ、新たな地区整備計画の策定等に伴う地区計画の変更を行いました。」について、伺います。

 この地区計画の変更で、東京都は、高層ビルの建設が予定されているA-8-c地区の高さの最高限度は185m、容積率の限度は10分の20から10分の90、青山通りに面したA-9地区は高さの最高限度190m、容積率の限度は10分の25から10分115にしました。
 
Q 「公園まちづくり制度を活用」というのは、都市計画法第9条第16項の「特例容積率適用地区」制度を活用して、いわゆる「空中権の移転」を可能にしたと理解して良いか、伺います。
 
Q この「空中権」の価値は巷間3000億円とも言われ、大きな利権が産みだされたとも言われていますが、「地区計画」を変更して、空中権ビジネスを可能にした東京都として、その価値を把握しているか、伺います。
 
2.本請願を提出するに至った原因は、東京2020大会を奇禍として神宮外苑地区を「スポーツクラスターと複合市街地の形成」にしようとしたことから始まっています。東京都は、まさに当事者です。

 
 8月18日に開催された東京都環境影響審議会は、私も傍聴させて頂きましたが、画期的な審議会でした。
 
 これまでの環境影響評価の手続では、審議会が答申を知事に提出すれば、知事が「評価書案・審査意見書」を事業者に示し、事業者が「環境影響評価書」を知事に提出して、工事に入っていくという流れでした。
 
 しかし、神宮外苑地区については、東京と環境影響評価条例の「第七十四条の二 審議会は、第六十九条の規定による調査審議を行うため必要があるときは、事業者その他関係者の出席を求め、説明を聴き、又は事業者その他関係者から資料の提出を求めることができる。」
 という規定を活用することを、審議会で確認し、事業者が「環境影響評価書」を作成する前に、審議会の意見が盛り込まれているかどうかを審査し、
 さらに、事業者の「事後調査計画書」や工事中の「事後調査報告書」等のついても、事業者から聴取し必要に応じて知事に意見を述べることとしています。
 これは、画期的なことです。
 
Q 環境影響評価審議会は、「答申を出して終わり」ではなく、環境保全措置が十分講じられているかを今後とも審査する体制を整えています。
審議会の意見を事業者に実施させるのが、「地区計画を変更して開発を可能にした当事者」である都市整備局の仕事だと考えますが、見解を伺います。
 
Q 都市整備局が2018年に作成した「神宮外苑地区のまちづくり指針」は、ショッピングモールも屋内競技場もなく、在の三井不動産案よりも日本イコモス案に近いのではないかと思いますが、都市整備局の見解を伺います。
 
Q 「神宮外苑地区 よくある質問と回答」を見ますと、東京都が主語となる部分と、事業者が主語となる部分が明確に区別されていないようになっています。これは明確に分けて、Q&Aをつくるべきだと考えますが、都市整備局の見解を伺います。
 
神宮外苑地区は、東京都の土地ではないので、都市計画審議会での決定を経た後では、都は出来ることが無いとのご説明を聞きましたが、

都市計画審議会の在り方そのものが、変わる時期にあると、先日の環境影響評価審議会を傍聴して強く感じました。

私は、区議会議員時代から、民有地の緑をいかに守るか取り組む中で、行政の緑化推進計画であったり、都市計画があるのであり、

本事業においても、環境影響評価審議会の審査や「神宮外苑地区のまちづくり指針」
小池都知事が事業者に対して要請した要請文の中にも、歴史や地域特性を生かした景観形成、防災性の向上、
既存樹木については、複数の樹木医の意見も聞きながら、樹木の状態などを詳細に調査・公表し、設計の工夫などにより極力保存または移植するなど、

「一本一本を大切に扱い」神宮外苑の豊かな自然環境の質の保全に努める事。
とりわけ神宮外苑の象徴である4列のイチョウ並木の保全に万全を期すこと。とあり、
都知事の要請文の内容に沿った事業である事を求めます。

本陳情については、1,樹齢約100年の木が1000本以上伐採される事実は無い点、
環境評価審議会においても、引き続き事業者に対して、環境保全措置が十分講じられているかを今後とも審査する体制を整えている点を踏まえて、趣旨はくみ取るものですが、本陳情については不採択とし、意見表明とさせて頂きます。
国立競技場建設時に伐採されたのは1545本(JSC発表)であり、移植樹130本のうち「元の樹形を保っているのは天然記念木スダジイを含め130本中3本のみ」との現状を重く受け止めねばなりません。
石川先生の報告書より「移植により、本来の樹形を維持した例は、このスダジイ1本と、ヒマラヤシーダー2本の合計3本、のみであった。
その他は何らかの不全の状態にある。」とあります。
これを決して繰り返してはならないと実感します❗️
また、都の示す枯損木のカウントにも疑問があり、樹木医・樹木の専門家の実態調査を踏まえて、正しい数をもとに保全が行われるよう求めて参ります。