令和2年度公営企業決算意見開陳

(水道会計・病院会計・港湾事業会計)

2021/11/22

 

都民ファーストの会東京都議団を代表して、令和2年度公営企業会計決算について意見開陳を行います。
 公営企業は、地方公共団体が住民の福祉の増進を目的として設置し、独立採算制により、主にサービスの対価である料金収入によって維持されることとされています。
 しかし、新型コロナウイルスが本格的に流行する中で、都民の生活様式に大きな変化が見られ、公営企業にも多大な影響を及ぼしています。


未だ厳しい状況下にある都民生活を多方面から支えていく使命があると同時に、東京の基幹インフラを担い、都民に対して質の高いサービスを提供し続けるためには、これまでの事業モデルの構造改革も視野に入れた見直しや経営基盤の強化が不可欠です。また、地球規模での気候変動に対する社会的責任の遂行や地震・風水害等、災害対策も求められています。


新型コロナの第六波に備えると同時に、ポストコロナを見据え事業の執行状況を正しく検証することで、次年度以降の予算編成につなげられることを求めます。


以下、各会計について申し上げます。


次に、水道事業および下水道事業です。


一、水道・下水道料金の支払い猶予について、分割支払いや個別の状況を踏まえた対応を図るなど、都民・事業者に寄り添って進められたい。


 一、水道・下水道事業において、最新デジタル技術の活用により先進的な取組を進め、都政のDXをリードされたい。


 一、2030年カーボンハーフ、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、水道・下水道両事業の新たな計画を策定されたい。


 一、コロナ禍においても水道事業の理解を促進するため、広報活動に工夫をし効果的な取り組みを継続すると同時に、小学生に対しても感染拡大を防止するための水道への理解促進につながる事業を展開されたい。
 一、政策連携団体である東京水道株式会社が、監査等委員会設置会社として機能するよう、監査等委員の意見を速やかに事業運営に反映させるとともに、局としてさらなる業務運営の質の向上を図るべく、グループ全体で取り組まれたい。


 一、水道局が保有する土地や建物等、活用予定のない資産については、地元自治体の意見等を考慮し、積極的に有効活用を図られたい。


 一、下水道幹線の再構築にあたっては、SPR工法等を活用し、計画に沿って着実に進められたい。


 一、大地震で停電が発生しても下水道機能がとまることのないよう、区部水再生センターやポンプ所における非常用発電設備の増強を進めるとともに、燃料調達の確保を図られたい。

次に、病院会計です。

一、病院会計決算は、国庫補助金の交付により黒字となったものの、医業収益は前年度比マイナスで、赤字基調が続いており、独法化を機に、経営上の課題となっている各種契約や人事制度を見直しするとともに、医業収益の改善に向けて取り組まれたい。
 一、独法化によって、特に感染症発生時における医療人材確保をより機動的に行えるような雇用制度の創出に取り組まれたい。

一、医療人材の確保に向けて、育児等で離職していた医師を対象にしたオーダーメード型復職支援研修等、長期休職中の医療従事者の復職支援事業に長期的な視点で取り組まれたい。


一、第六波に備え、妊婦や親子の感染、透析等合併症患者など、民間の医療機関では対応困難な患者の受入れを図り、引き続き、行政的医療の役割を担われたい。


 一、広尾病院において、福祉保健局、東京消防庁との連携を図り、島しょ地域における疑い症例を含むコロナ患者の受入実施されたい。


一、島しょ地域の医療機関とは、画像伝送による遠隔の診療支援を行っているが、高度な専門医による助言を実施するとともに、研修機会の限られる島しょの医療従事者等に対して、最新の医療知識等、情報提供の機会を拡充されたい。


 一、身体的拘束の人数が大幅に減少してきた松沢病院では、コロナ禍で精神症状が重篤で病室を出歩き回ってしまう患者への対応等、拘束患者数が増加に転じたが、医療現場と都民のさらなる理解向上とともに、身体拘束ゼロに向けて取り組まれたい。


 一、病児・病後児保育については、墨東、駒込病院に次いで多摩メディカル・キャンパスにおける整備を進めており、区市のニーズ等を踏まえながら、取組を進められたい。

最後に、港湾事業会計です。


一、港湾事業において、都民の生命や財産を自然災害から守るため、基盤施設の整備を着実に行い自然災害に備えられたい。
一、環境負荷低減のため、港湾局における施設を含め都立施設への太陽光発電設置を着実に進められたい。


 以上で都民ファーストの会東京都議団の意見開陳を終わります。