公営企業決算特別委員会 病院経営本部決算について会派を代表し質疑を行いました。
都民の命と健康・地域医療を守る!昨年度の検証から、第6波への備えの強化に取り組んで参ります。

【令和2年度東京都病院事業決算特別委員会】
都民ファーストの会 もり愛

令和2年度東京都病院会計決算について質問をさせて頂きます。
令和2年度において、病院経営本部の皆様には、新型コロナウィルス感染症対策の最前線でご尽力を頂き、医療従事者・職員の皆様に改めて、心より敬意と感謝を申し上げます。
【1】決算概要

 令和2年度病院会計決算において、病院事業収益は1839億5600万円で令和元年度の決算と比べると179億5800万円の増収、110.8%となっています。
 収益の内訳をみると、コロナの影響を受けて、医業収益は昨年度と比べマイナス131億2700万円と大きな減収となっておりますが、国庫補助金が304億7300万円交付されたことにより全体収支は改善しています。
 こうした状況により令和2年度は105億8800万円の黒字ですが、病院会計は平成28年度から4期連続赤字決算が続いており、赤字額も年々拡大していると聞いています。その結果として、病院会計には7億8千万円の累積欠損金が計上されている事も事実です。
Q1 都立病院は、感染症医療や災害医療など採算の確保が困難とされる行政的医療を提供していく必要があり、今回生じた黒字額はこれらの行政的医療を継続的に提供していくために使っていく事も重要であると考えますが、都は令和2年度に生じた黒字額の活用の考え方について、伺います。

病院経営本部〉
A1 令和2年度決算は、前年度からの繰越欠損金を差し引いた未処分利益剰余金を98億7百万円計上
 この要因は、コロナ関連の国庫補助金の影響が大きく、コロナ対応による一般医療の患者数減などを考慮すると、中期的な経営状況は依然厳しいもの
 令和2年度は193億54百万円の企業債を償還しているが、令和2年度末の企業債未償還残高は459億66百万円となり、企業債の返済に伴う資金需要も多額
 先ほどの未処分利益剰余金については、全額を将来の企業債の返済に備えるための減債積立金として処分することとし、今後とも必要な行政的医療を継続的に提供できるよう安定的な経営基盤の構築に努めていく

もり愛〉 安定的な経営基盤の構築に向けた活用に取り組んでいく事を確認させていただきました。都民の命と健康を支える行政的医療を安定的に提供していく事が重要ですので、引き続きよろしくお願いいたします。

【2】医療従事者の確保
 この間、都立病院が中心となって、コロナ専門病床を確保し、医療提供体制の強化にご尽力を頂いて参りました。
令和2年度の病床数は、元年度4,905床から、4,816床と、トータルでの病床数は89床減少をしていますが、
 都内の感染状況、陽性患者の増加に応じて、都立病院は、いち早くコロナ専用病床を立ち上げ、大変重要な役割を果たして参りました。 
 令和2年度、都立病院では、1月29日の段階でコロナ専用病床は15床から、第一波への対応となる5月8日に441床、第2波の8月7日に534床、そして第3波1月7日に540床、2月1日820床と、令和2年度に約1000床のコロナ専用病床を確保し、医療提供体制の強化に尽力してきました。

 コロナ患者の受け入れに際して、昨年は重症化する方も多く、感染症医療においては、通常医療よりも一人の患者に対して多くの医療従事者・看護師の確保が課題となります。
病床が確保されても、医師・看護師の確保が出来なければ、患者の受け入れが困難であった実情があり、医療従事者の確保が課題となっておりました。

Q2,東京都では、コロナ専用病床の確保に対して、どのように医療従事者の確保を行ってきたのか、伺います。

病院経営本部〉
A2 
  ・ 都立病院は、一般の医療機関だけでは対応が困難な行政的医療を適正に都民に提供し、他の医療機関等との適切な役割分担と密接な連携を通じて、都における良質な医療サービスの確保を図ることを基本的役割としている
  ・ とりわけ、行政的医療の一つである感染症医療においては、重点医療機関化や専用医療施設の開設により、感染状況に応じて、コロナ専用病床を確保
 ・ そのために必要な医療従事者については、各病院の役割や機能などを踏まえ、必要に応じて年度途中の採用や一般医療からコロナ医療への転換に伴う病棟間の職員の異動などにより、都民の医療ニーズに対応できるよう適切に確保

【3】復職支援
もり愛〉 都立病院では、長期休職中の医療従事者の復職支援事業など、東京都独自に医療人材の確保に努めてきました。

Q3 この復職支援事業における実績について、何名の医師が復職につながったのか、お伺いします。

病院経営本部〉
A3 
 ・ 都立病院では、育児等で離職していた医師を対象に、オーダーメード型の復職支援研修を令和元年4月から実施
  ・ 研修開始後、これまで、駒込病院、多摩総合医療センター、小児総合医療センター、松沢病院において、8名が研修に参加し、そのうち大学病院に2名、都立病院に2名、療育センターに1名が復職

もり愛〉 本事業は、都立病院の現場において復職支援研修を受けるプログラムとなることから、コロナ対応に注力されている現下の状況では病院側の受け入れ態勢も整いにくいと思われ、事業の実施が難しかったという事も聞いております。
 一方で、長期休職中の医療従事者の復職支援事業は、離職後に復職を希望する医師の復職支援は、医療従事者の確保を行う上で意義のある事業であると考えますので、ぜひ単年度の数字で見て判断するのではなく、長期的な視点で事業の有用性をとらえ、引きつづきの取り組みを要望いたします。

【4】コロナ調整困難事例

 都立病院では、新型コロナの感染状況に応じて、コロナ病床を順次拡大し、積極的にコロナ患者の受け入れを行ってきました。
 都立病院の役割として大きな役割を担う行政的医療において、ほかの医療機関では対応困難な患者さんを積極的に受け入れ、都民や地域から求められる役割を果たして頂いており、
 都立病院が最後の砦としての役割を担い、都民に安心を与えてきたことはとても重要です
千葉県では陽性妊婦が入院できず、自宅療養中に新生児がなくなるという痛ましい事案も発生しました。
 都立病院において、広尾・大塚・墨東・多摩総合医療センターにおいて、陽性妊婦の受け入れを行ってきました。母子の健康観察を行いながら、コロナ治療にあたる為、通常よりも多くの医療人材が必要とされる事もあると存じます。
 また、家庭内感染した場合の、親が感染した場合の子どもの対応など、親子への対応についても、多くの不安の声が聞かれました。
都立病院では、コロナ患者のなかでも、妊婦や親子の感染、透析等合併症患者など、民間の医療機関では対応が困難な患者を受け入れてきたと聞いています。
Q4 そこで、都立病院において、具体的に、どのようにして民間で対応困難なコロナ患者を受け入れてきたか、いします。

 
病院経営本部〉
A4
 都立8病院全てで、それぞれの持つ機能や役割に応じて、積極的に民間医療機関では受入れ困難なコロナ患者を受入れ
 具体的には、臨月のコロナ患者については、大塚病院等において感染対策を講じ緊急分娩対応を行うとともに、分娩後も母子ともに引き続き同病院で療養していただくなど、万全の出産対応を実施
 また、親及び未就学児がともにコロナ感染した際は、別々の病院に入院することに不安を抱えるご家族に配慮し、小児総合医療センター等において、親子で同じ部屋に受け入れるなど、安心してコロナの治療を受けていただける環境を提供
 さらに、透析を扱う民間医療機関でクラスターが発生した際は、対応可能な医療機関が限られるため、都立病院に転院依頼のあった患者を翌日までに、広尾病院、墨東病院、多摩総合医療センターで受け入れるなど、迅速に対応


もり愛〉 ありがとうございます。
民間医療機関では受け入れが困難な様々なケースにも、都立病院が率先し手受け入れを行い、都民の命と健康を守ってきた事、本当に最前線でご尽力を頂いて参りました。

【5】重点医療機関化による妊婦支援

 こうしたコロナ患者を受け入れる体制として、都立・公社病院で令和2年度、コロナ病床を1700床確保しました。
 中でも、広尾病院は、都立病院で唯一の新型コロナウィルス感染症の重点医療機関として、重点的にコロナ感染症の患者を受けることとなりました。
 重点医療機関とするにあたって、産科を全面休止することから、都は当時広尾病院で出産を予定していた200名以上の妊婦に対し、転院をお願いする事となり、我が会派からも、都知事に緊急要望を行い、コロナ禍で不安を抱える妊婦さんの支援を強く求めて参りました
都は、その後の出産費用等を支援してきたと聞いております。

Q5 広尾病院で出産を予定していた妊婦の転院にあたり、都が行った支援の内容及びその実績について、お伺いします。
病院経営本部〉
A5
 ・ 広尾病院の重点医療機関化に伴う転院をお願いするにあたっては、妊婦の通常の出産に係る費用は保険診療の対象外であることを踏まえ、広尾病院で出産した場合との差額などを支援
・ 具体的には、妊婦の方が転院先で要した出産費用から、妊婦自身の希望により利用した特別室に係る料金を除いたうえ、健康保険法等に基づき支給される出産育児一時金42万円を差し引いた額を支給
また、転院先への通院に利用したタクシー代についても、あわせて支援を実施
 こうした支援の対象となる妊婦は220名であり、現在、178名から申請があり、このうち171名の方への支払い手続きが完了
転院に伴う差額補助、タクシー代支援等、我が会派からの要望が迅速に届いた事を嬉しく思います。
もり愛〉 不安を抱える都民の声に、迅速にご対応いただきありがとうございました。
 支援対象の妊婦さんが220名、支払い手続きが完了された方が171名と、差異があります。DVシェルターであったり、連絡が取れず手続きが完了していない方もいると思われます。そういった方ほど、支援が必要であると危惧されますので、引き続き、支払いを希望される方がいた際には、丁寧な対応をお願いいたします。

【6】島しょコロナ対応

 次に、島しょ医療について伺います。広尾病院は、東京の島しょ医療を担う役割も担っております。
コロナ禍において、医療資源の乏しい島しょの皆様からは、「島でクラスターが発生すれば、島は動かないクルーズ船と同じ状況となってしまう。」と、多くの不安の声が寄せられました。
ヘリ移送は、天候にも左右され、搬送先も制限がある為、治療の早めの判断の必要、
 中等症以上の場合であっても、昨年末は都内の医療機関の病床がひっ迫をして移送が困難な場合には、島しょ医療には限界がある為、現場はとても大変な状況もあったと聞いております。
 次に、島しょ地域の医療体制については、入院受入れ可能な医療機関が限られており、また、各島と本土との交通手段も限られ、移動には長時間を要します。
 このため、島しょ地域で救急搬送患者が発生した場合には、東京消防庁や海上自衛隊のヘリコプター等により搬送を行っています。
 このような島しょ地域の医療体制の状況において、新型コロナウイルスの感染患者が発生した場合でも、入院を受けられる医療機関は限られているため、都立病院が果たす役割は重要です。
Q6、コロナ禍において、都立病院がどの様に島しょ医療を支えたのか、実績と取り組みを伺います。

病院経営本部〉
A6
 島しょ地域において疑い症例を含むコロナ患者が発生し、島しょの医療機関で対応が出来ない場合には、福祉保健局が、都立病院等の受入れ病院を調整したうえで、東京消防庁のヘリコプター等で救急搬送
 令和2年度の搬送実績は17件34人となっており、うち16件33人の患者については、広尾病院をはじめとする都立病院で受入れ
 また、一刻も早い治療を要する患者については、東京ヘリポートなど通常のヘリポート経由ではなく、広尾病院屋上ヘリポートで直接受入れ
 島しょ医療は、都立病院が担う重要な行政的医療であり、島しょ地域の安心安全を支えるために都立病院としての責務を着実に果たしていく

もり愛〉 都立病院が島しょ地域で発生した疑い事例を含む新型コロナウイルス感染患者の対応において、入院受入れなど大きな役割を果たしていることを確認をさせて頂きました。

【7】画像電送システム
 また、広尾病院は島しょ医療の基幹病院として、島しょ地域の医療機関と画像電送による診療支援の機能も担っています。
 コロナ禍において、本土の病院受診も必要最小限に留めざるを得ない島民の皆様にとっても、高度・専門医療を提供できる広尾病院による遠隔の診療支援は、大変心強いことと思います。
Q7 まず、広尾病院の画像電送システムによる診療支援の取組みと、実績について、お伺いします

病院経営本部〉
A7
 東京都は、広尾病院と島しょ地域の医療機関との間に「遠隔読影機能」及び「ウェブ会議機能」を持つ「島しょ医療用画像電送システム」を整備
 島しょ地域から、インターネット回線を通じて送信したX線やCT、内視鏡等の画像を広尾病院の医師が見ながら、ウェブ会議機能を使って専門的な立場で助言を行うなど、診療の支援を実施
 また、島しょ地域からの救急搬送の際には、画像電送システムを活用して、事前の初期診断を行うなど、重篤患者の速やかな対応にも貢献
 令和2年度には1,230件の診療の支援実績があり、画像電送システムによる助言を踏まえて、253人の患者を広尾病院にて受入れてきた。

もり愛〉  画像電送システムにより、1,230件もの多くの患者さんに対して、広尾病院が島しょ地域の診療を支援し、更に島しょ救急搬送による患者受入れにも活用していることは、専門医療の限られている島しょ地域において、広尾病院の高度な専門委の助言はとても心強いと思います。
【8】WEB会議

 広尾病院を退院する患者が円滑に地域での生活に移行できるよう、医療機関だけでなく訪問看護ステーションや介護施設等とも連携する必要があります。
 また、最新の医療知識について研修機会の限られる島しょ地域の医療従事者等に情報提供の機会を提供していくことも求められます。

Q8 そこで、広尾病院における島しょ地域への支援の取組みと実績について、お伺いします

病院経営本部〉
A8
 高齢者の多い島しょ地域の患者が退院後も地域で円滑に生活するためには、医療機関だけではなく、訪問看護ステーションや介護老人施設等との緊密な連携が必要
 このため、ウェブ会議機能を活用し、広尾病院に入院中の段階から、地域の医療機関及び介護サービス施設の職員とウェブカンファレンスを開催し、現在の患者の症状等の情報を共有すると共に、地域で療養継続のためのサポートについて意見交換を実施
 また、島しょ地域の看護職員に向けて、高齢者看護等の知識や技能についてウェブ研修を開催
 令和2年度にはウェブカンファレンスを3回実施し、ウェブ研修は9回の開催で、延べ116名が参加
 今後も島しょ地域の医療機関及び介護サービス施設等と顔の見える関係を継続し、島しょ地域の医療や介護サービスの支援を行う


もり愛〉 コロナ禍において、ICTを活用したWEB会議の導入により、島しょと本土の顔の見える診療システムを構築し島しょ医療の基幹病院としての機能強化が求められ
 今回の質問に際しても、島しょ医療に従事している看護師さんからお話を伺い、引き続き実施して頂きたいとの声が聞かれますので、今後の更なる取り組みをお願いします。

 また、コロナ禍において、オンライン診療は在宅・自宅療養者の健康観察にも大きな役割を果たし、都民への医療提供サービスの質の向上に向け都立病院におけるDX推進が求められます。
 電子カルテシステムの導入は、院内の感染管理の支援や診療業務の効率化に寄与し、
都立病院では、令和4年度末にすべての都立病院で次期電子カルテシステムへの更新に向けて順次取り組んでいると伺っております。
引き続き、都立病院としてDXの推進を要望し、次の質問に移ります

【9・10】松沢病院 身体拘束ゼロの取組み

 精神科病院の身体拘束について、平成26年には1万人を超え、参議院の厚生労働委員会でも問題として取り上げられました。また、平成28年には外国人の男性が措置入院の身体拘束中に急変して死亡したことが報道され、国際的にも注目されました。
 令和2年においても、全国の身体拘束は未だに1万人を超えており、この間に大きく改善したとは言えない状況です。
 身体拘束については、急性期の患者さんの興奮を抑える、点滴や術後の安静を守る、転倒・転落を防止するなど、患者の安全を確保するためにはやむを得ない。という考えもあります。
 しかし、自分の身になって考えると身体拘束されることは苦痛であり、されたくないと思うのが当然で、出来る限り身体拘束は行わないべきであると考えます。
 東京における精神科医療の先駆的役割を担ってきた松沢病院においては、先ほどの身体拘束の問題が取り上げられる以前から、病院の方針として「身体拘束ゼロを目指す」として取り組みを行ってきたと聞いています。
Q9 まず、松沢病院の身体拘束ゼロに向けた取り組みと、実績について、お伺いします。

病院経営本部〉
A9
 松沢病院では、拘束最小化委員会を設置して、身体拘束ゼロに向けて取り組む
 まず、一日の身体拘束の人数と実施率を容易に把握できるようするとともに、身体拘束せずに対応できる技術を身に付けるために、患者視点に立ったケア技術を向上する研修を実施
 また、身体拘束しない場合の患者の安全を確保するために、医師、看護師だけでなく、精神保健福祉士や心理師などのコメディカルとも連携して、患者ケアを取り組む
 身体拘束しないことに伴うリスクについて、病院としての責任を明らかにしたことで、職員が安心して身体拘束をしない環境を整備
 こうしたことから、取り組みを始めた平成24年度の一日当たりの身体拘束数が113人であったのが、令和元年度には20.5人と一貫して減少してきたが、令和2年度は32.8人

もり愛〉 松沢病院の取り組みによって、身体拘束の人数が大幅に減ってきてことが分かりました。
 平成24年度から令和元年度の間で、8割近く減らしたということは、病院職員の皆さんのたゆまぬ努力の結果と思います。
 一方、答弁していただいた実績によりますと、令和元年まで一貫して減少してきたにも関わらず、令和2年度には一転して増加しています。

Q10 そこで、令和2年度に身体拘束の患者数が前年度に比べて増加した理由について、お伺いします
病院経営本部〉
A10
 松沢病院では、精神疾患を有するコロナ患者の入院を受け入れるため、令和2年4月に専用病棟を開設し、精神科病院等から多くの患者を受入れ
 精神疾患を有するコロナ患者の対応に関しては、統合失調症や認知症などの治療に加え、点滴などの処置も必要
 しかし、我慢できずに点滴を外してしまう患者には、治療の効果を得るために、やむを得ず拘束をする場合がある
 また、精神症状が重篤で病室を出て歩き回ったりする患者には、感染拡大防止の観点などから、やむを得ず拘束
 患者の疾患の程度に応じた治療と感染対策の両立は非常に難しいことですが、引き続き様々な工夫を重ねながら、身体拘束ゼロに向けて取り組む

もり愛〉 令和2年度に一転して身体拘束患者数が増加した理由が、新型コロナウイルス感染症の対応による、やむを得ないものであるというご答弁を頂きました。
 松沢病院の職員の方々は、これまでも身体拘束ゼロに向けて多大な努力をされてきたこと、昨年は新型コロナウイルス感染拡大のため、大変なご苦労をされたものと思います。
 一方で、実際に身体拘束を経験した患者さんの声も伺っており、未だに身体拘束や望まない投薬等、改善の必要があるとの指摘もあります。
治療の為ではあるとは言え、個人の尊厳が踏みにじられたと感じる患者さんの声も、私も実際にうかがって参りました。
 コロナ禍における経済不安・社会不安を原因としたうつ病の増加や精神科・心療内科を受診する患者さんは増えており、精神疾患への社会の理解も進んでおり、地域におけるリカバリーカレッジの取り組み等もあります。
 医療現場と都民の更なる理解向上と共に、引き続き身体拘束ゼロに向けた取り組みを進めていかれるよう、強く要望致します。

【11】病児・病後児保育

 最後に病児・病後児保育の取組について伺います。
 新型コロナウイルス感染症の拡大を契機として、テレワーク・在宅勤務の実施が浸透するなど、保護者の働き方も大きく変わった事を背景として、区内の都立病院における病児・病後児保育の利用率の減少が見られますが、都立病院立地の近隣区との提携など、地域への貢献を高く評価しております。
 しかし、こうした状況でも、共働き世帯をはじめとして、保護者が育児と仕事を両立していく上で、病児・病後児保育は大変心強い存在です。
 区部では現在、墨東病院、駒込病院で病児・病後児保育を行っていますが、令和2年度の病院会計決算書によれば、新たに多摩メディカル・キャンパスにおいても保育棟の新築工事を行っています。
 
Q11 そこで、工事の進捗状況と施設の特徴について、お伺いします
病院経営本部〉
A11
 多摩メディカル・キャンパスの保育棟は、平成30年10月から工事に着手し、令和2年度末に建築工事を完了
 当該建物は、1階に院内保育室、2階に病児病後児保育室とし、小児総合医療センターからアクセスしやすいよう隣接地に整備するとともに、バス停、病院、保育棟をつなぐ歩道屋根を設置。これにより、児童の急変時にも速やかに病院に搬送でき、また、雨天時に児童や保護者がバス停から濡れないで来園できるよう配慮
 建物の特徴としては、自然光が届きにくい内廊下などに高窓を2か所設置することで、建物内のプライバシーを守りつつ、より多くの場所で採光可能となり電力負荷を軽減するなど、環境にも配慮
 また、保育室、病児保育室ともに可動間仕切りを設置することで、年齢ごとの児童数に応じて柔軟に保育スペースを確保できるように整備

もり愛〉 病院と同一の敷地にある病児病後児室は利用する保護者からも安心して児童を預けることができる、とても良い取り組みであると考えます。
 引き続き、地域の区市のニーズ等を踏まえながら、取り組みを進めていただきたいと思います。

以上、令和2年度の決算概要と事業についての実績等、取り組みを伺わせて頂きました。
 令和2年3月、『新たな病院運営改革ビジョン』により、大都市東京を医療で支え続ける為の、都立病院を取り巻く現状と経営形態の在り方、都立病院が直面する課題と今後の経営形態について等、検討結果が取りまとめられ、独法化の準備が進められております。
 令和2年度、コロナ禍において、都立病院は都民の命と健康を守る最後の砦として、行政的医療を担って頂いた事を確認をさせて頂きました。
引き続き、都立病院が、安定的な経営基盤のもとで、都民に必要な行政的医療を担っていただく事を求め質問を終わります。