公営企業決算特別委員会 水道局】
会派を代表し、森口都議、滝口副委員長が質疑を行いました。
国の水道民営化法が可決し、全国の自治体ではコンセッション方式等、フランスの水メジャーが入る事例も見られますが、私は、都議会初年度公営企業委員を拝命し、水道民営化には反対の立場です。先の震度5弱の地震の際にも、都内22カ所で漏水が発生したむねが、深夜2時に都議会議員にもメールで届きましたが、早朝6時前にはすべて修理が完了したと、夜を徹して修理に当たって頂きました。
命と暮らしに直結する水道事業については、都営として担っていく決意も込めて、質疑されました。
都民ファーストの会 森口都議〉
現在、落ち着きを見せているとはいえ、新型コロナウイルス感染症の影響は未だ続いており、都民の生活様式についても多大な変化をもたらしています。そのような中においても、水道局は安全でおいしい高品質な水を安定して供給していく責務を果たすことで、都民の生活を支えていかなければなりません。そうしたことを踏まえて、水道局が令和2年度に行った事業運営について質疑を行います。
はじめに、支払猶予について伺います。都は、令和2年3月から、厚生労働省・国土交通省からの通知を受け、水道料金・下水道料金の支払いが困難な方に対し、支払猶予の受付を実施しています。
 
Q1 改めて、水道料金・下水道料金の支払猶予制度がどのようなものか伺います
A1
・支払猶予制度は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、水道・下水道料金の支払いが一時的に困難になったお客さまを支援するため、申込みから最長1年間の支払猶予を実施するものであり、個人、法人に関係なく、全てのお客さまを対象としている
・また、一度支払猶予制度を利用された方でも、対象料金を完済された方は、改めて申し込むことが可能である
 
新型コロナウイルス感染症の拡大により経済的な影響を受けた都民にとっては、重要な支援だと考えます。都は令和2年9月30日に感染状況を踏まえ、一旦受付を終了しましたが、依然として経済への影響が懸念されていたことから、我が会派は、支払猶予の新規受付を再開するよう要望し、それを受け、都は令和2年11月16日から受付を再開しています。
 
Q2 令和2年度末までの支払猶予の受付実績について伺います
A2
・支払猶予の受付を開始した令和2年3月24日から令和3年3月末までの水道料金の支払猶予の受付実績は、申込件数が21,688件、猶予総額が約14億9千万円となっている 
 
多くのニーズがあり、都民生活を支えるうえで、大きな効果があったものと考えられます。現在、第5波は終息傾向にあるものの、専門家からは感染拡大の第6波を懸念する声もあり、感染状況の推移とあわせて、経済への影響についても注視していくことが必要と考えます。
 
Q3 そこで、支払猶予制度について、現在どのように対応しているのか伺います
A3
・当局では、新型コロナウイルス感染症の拡大による経済への影響が依然として大きいことから、令和3年9月30日までとしていた水道料金の支払猶予の受付期間を、令和4年3月31日まで延長している
・また、猶予期間終了後も、支払が困難なお客さまについては、期間1年以内の分割支払いなど、個別の状況等を踏まえた相談に応じることとしており、お客さまに寄り添った対応をしている
・今後も、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ、適切に対応していく

コロナ禍における経済支援については理解しました。引き続き、取組をお願いいたします。
 
(手洗い)
ところで、水道事業は公衆衛生についても重要な役割を担っており、私も今回改めてその重要性を認識しました。水道局は、昨年、公衆衛生の向上などの観点から、子供たちに手洗いの重要性を啓発し、併せて、水道事業に対する理解を深めるため「うつらない!うつさない!みんなで手洗い東京水キャンペーン」を行い、都内の小学校にポスターやハンドソープを配布していました。
 
Q4 「うつらない!うつさない!みんなで手洗い東京水キャンペーン」について、令和2年度の実績と効果を伺います
A4
・新型コロナウイルス感染症をはじめ、感染症の拡大防止には、手洗いなどによる予防が効果的であることから、水道局では、子供たちに手洗いの重要性を啓発するとともに、手洗いに欠かせない水道に対する理解促進を図ることを目的として、本キャンペーンを実施した
・本キャンペーンでは、昨年9月から順次、都内の小学校及び小学部のある特別支援学校約1300校に対し、1校当たり手洗いを推奨するポスター7枚とステッカー12枚とともに、ハンドソープ500ミリリットル入りボトル14本、詰め替え用5キログラムを配布した
・この使用状況についてアンケートを実施した結果、回答いただいた学校のうち約8割から「ポスターは正しい手洗いを実施するうえで参考になった」と回答をいただいた
・また、「ステッカーが目に留まるとしっかり手を洗おうという気持ちと同時に水道水の大切さも感じている。」などの意見が寄せられたことから、水道事業への理解促進にもつながったと認識している
 
多くの子どもたちに、水道水の大切さを理解してもらうことができ、大変良い取組であると思っています。今年度も規模を拡大して実施を予定していると聞いていますが、年末にかけ、インフルエンザの流行も危惧されており、公衆衛生にとっての水道の役割を都民に広く認識してもらうことがは大変重要であり、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 昨年度以降のコロナ禍により、人々の生活は大きく変化しています。こうした中にあっても、水道事業は都民生活を支える重要なライフラインであることから、水道事業への理解を促進する活動は重要であると思います。水道局ではこれまでもPRイベントを活用した広報活動を実施していたが、人が多く集まることで感染の拡大を招いてしまうことがあってはならず、広報活動にも工夫が必要と考えます。
 
Q5 そこで、コロナ禍において、PRイベントについてはどのような工夫をし、実施したのか、伺います
A5 
・昨年度は、新型コロナ感染症拡大防止のため、三密防止やステイホームを呼びかけていたことから、これまで毎年6月に対面型で行っていた水道ふれあい月間イベントに代え、ご自宅等から時間・場所を問わず手軽に参加できる非接触型のWEBキャンペーンを8月下旬から11月下旬まで実施した
・このキャンペーンは、高品質な東京の水道水をマイボトル等で飲用することを都民に働きかけることにより、環境にやさしいライフスタイルを推奨するため、WEB上の「東京スマイルボトルプロジェクト」の特設サイトで行った
・特設サイトは、クイズやマイボトルのプレゼントなどコンテンツの充実にも努めるとともに、インフルエンサーや人気キャラクターのSNSを活用して周知した
・こうした工夫により、特設サイトには期間中36,000回を超えるアクセスがあり、対面型のイベントと比べても、非常に多くの方にご参加いただくことができた

コロナ禍においても、手段をさまざま工夫し、効果的な広報を行ってきたことが分かりました。今後もこのような取組を継続して頂きたいと思います。
次に、水道局所管の政策連携団体である、東京水道株式会社について伺います。東京水道株式会社は、令和2年4月に、東京水道サービス株式会社及び株式会社PUCが統合して業務を開始したが、統合に当たって、同社は、ガバナンスの強化やコンプライアンスを徹底することなどを目的に、監査等委員会設置会社へと移行しています。民間での導入実績も限られている中、都の政策連携団体が、監査等委員会設置会社へ移行したこと、また、会社法では、「監査等委員である取締役は、三人以上で、その過半数は、社外取締役でなければならない」と規定されていますが、それを超えて、委員会を構成する委員全員を社外取締役としたことは、先駆的な取組であると評価しています。
 
Q6 そこで、監査等委員会設置会社としたことの効果は発揮されているのか伺います
A6
・東京水道株式会社の監査等委員会は、株主総会に提出される議案等の監査や、監査方針及び監査計画の作成のほか、取締役の選任に関する意見や、会計監査人の選任の適否等の決定など、従来の監査役よりも広い権限を持ち、経営の適法性や妥当性をチェックしている
・また、同社の監査等委員は、社外取締役として、令和2年度に計19回開催された取締役会などの重要会議に出席し、法律や会社経営に関する専門的な見地から、実務的な助言を行っている
・同社では、これらの助言を踏まえ、経営上の主要なリスクに対するマネジメント体制の構築、社員の労働環境や超過勤務の状況を考慮した人事配置の見直し、収支管理の強化に向けた人事・給与・会計システムの改善の検討などに取り組んでいる
 
監査等委員会がしっかり機能していることが、改めて確認できました。その上で、東京水道株式会社が会社経営等の経験を有する監査等委員の意見を速やかに事業運営に反映させるために、都としても、その意見を踏まえて、同社と向き合っていくことが必要ではないかと考えますが、
 
Q7 水道局では、監査等委員の意見をどのように受け止めているのか伺います
A7
・東京水道株式会社の監査等委員の意見は、企業経営等の実務経験に基づいており、事業運営に対する客観性を確保する観点から、同社だけではなく、当局においても、貴重なものである
・監査等委員からは、当局に対して、同社の組織や権限のあり方などに関する意見や、委託業務の業務プロセスの改善に向けた必要な協力の要請が提出されている
・また、局長と監査等委員との意見交換を令和2年度には2回実施し、同社との連携強化に関する有益なご意見をいただいている
・当局としては、このような意見を、東京水道グループ全体で取り組むべき重要な事項であると受け止め、局長や同社の社長等で構成するグループ経営戦略会議などにおいて議論し、必要な改善を行うなど、更なる業務運営の質の向上を図っている
 
東京水道グループ全体で取り組んでいること姿勢を確認することができました。社外取締役で構成する監査等委員会を活用する仕組みは非常に有益なものであり、今後ともしっかり活用を図っていただきたいと思います。
 次に、東京水道株式会社の社員の意欲向上策について伺います。会社にとっての一番の財産は、そこで働く一人ひとりの社員であり、それぞれの社員が有する技術・ノウハウにあります。技術・ノウハウを持った社員を活用して事業を安定的に運営していくためには、社員が意欲的に働ける環境を生み出していくことが必要であります。
 
Q8 そこで、社員の働く意欲を引き出すために実施した取組について伺います
A8
・東京水道株式会社では、コミュニケーションを活性化させ、社員の働く意欲を引き出すために、働く環境や業務の改善に取り組んでいる
・具体的には、同社では、部署横断的な社員で構成する若手発想PTや社内報の編集委員会を設置し、風通しの良い職場環境づくりを進めている
・また、同社の幹部が全事業所を訪問し、現場の社員との意見交換を行うなど、社員のモチベーションの向上に努めている
・さらに、個人情報紛失リスクの低減やペーパーレスの推進に寄与するタブレット端末を導入するなど、デジタル技術を活用し、業務の改善を図っている
・加えて、業務上の技術的な課題の検討のほか、人材育成の方針に関する検討や、一時宿泊療養施設の支援業務を、当局職員と同社社員が協働で実施することで、同社社員の東京水道グループの一員としての意識を醸成している
 
 水道事業に関しては、他の事業体ではコンセッション方式の導入の例もあるが、引き続き、都においては、水道局が政策連携団体と連携してグループ経営を推進する方針となっています。水道局の職員はもちろん、東京水道株式会社で働く社員がモチベーションを高く維持し、東京水道グループが一丸となって業務に取り組み、引き続き安定給水の確保に万全を期し、基幹的なライフラインとしての使命を果たしていくことを強く要望して質問を終わります。