【都としての行政的医療を守る!都立・公社病院の行政的医療確保に向け東京保険医協会の先生方と政策懇談】

地元で医工連携の勉強会でもいつもお世話になって居る細田先生が都庁迄要望書をお届けいただき、厚生部会長もり愛と、鳥居事務局長とで、都立・公社病院の行政的医療の確保について、政策懇談をさせて頂きました。

東京保険医協会の細田先生より、「1月中旬、大田品川の区南部医療圏では、第3波の一番ひどい状況であった」という現状について、コロナ禍の地域病院の切実な現場の声を伺いました。

病院内のゾーニングは行っているが、基本救急は断らないという方針の中で、救急で受け入れた方の陽性が判明し、受け入れたために次の救急を受け入れることが出来ず、36時間、他の患者さんを受け入れることが出来なかった、との切実な状況を伺いました。

東京都が、都立・公社3病院をコロナ専用病院として、集中的にコロナ病床を確保したことにより、大幅に劇的に状況が変わったと、地域の病院の実情をお話しいただきました。

コロナ禍の医療崩壊を防ぐためには、都として行政的医療としての感染症患者の受入れを積極的に行い、一般の医療が受けられない状況がおこらない様にしなければなりません。

 東京都として、医療崩壊を何としても起こさない為に、現在は第4派に対応するため2000床までコロナ病床の確保を行い、軽症者には療養ホテルを確保することで、病床のひっ迫を防ぐために全力で取り組んでおります。

専門病床と、回復期に受け入れる後方支援病床の連携、コロナ禍で行政的医療が削られる事があってはならないと、現場からのお声と共に、東京都としての取組をお話をさせて頂きました。

都立・公社病院の独法化の方針が示された際、私は、都立病院だからこそ、民間病院では不採算分野であっても都民の命を支える為に必要な行政的医療の確保が重要であると、再三質疑と確認をさせて頂いて参りました。

また、先の厚生委員会での鳥居都議の質疑では、独法化後であっても、感染症等の有事の際には都知事の権限や議会の決定により、引き続き行政的医療の受け皿として専門病床の確保が行える旨の確認をさせて頂きました。

 もり愛の厚生委員会における2018年の質疑では、行政的医療の拡充に向けて、大田区においても、周産期医療の不足や小児在宅医療・医療的ケア児の受け皿の拡充等、課題が多くあり、地域完結型の医療の課題に、より機動的に人員配置の出来る体制づくり・女性医師の多様な働き方の推進等、質疑を行いました。

これからも、東京都が最前線で、都民の命と暮らしを守る!医療提供体制の提供に責任と財政的支援が削られることの無い様に、しっかりと議会からもチェックと働きかけを行って参ります。

2018年第4回定例会 厚生委員会質疑より】

  • ◯もり愛委員】 都立病院経営委員会より、今後の都立病院のあり方についての報告が本年一月に発表されました。報告の中では、現行の病院運営における制度的な課題が指摘をされており、都立病院が安定した経営基盤を確立し、今後も担うべき役割を果たせるようにするためには、その制度的課題に都がどのように取り組んでいくかが問われております。
     そこで、今回示された都立病院の現状と課題の検証中間まとめを踏まえて、都立病院がこれまで行ってきた取り組みや課題、そして制度的性格について質問させていただきます。
     まず、都立病院が担うべき役割について、改めてお伺いいたします。

  •  ◯樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務】
  •  都立病院は、高水準で専門性の高い総合診療基盤に支えられた行政的医療を適正に都民に提供し、他の医療機関等との適切な役割分担と密接な連携を通じて、都における良質な医療サービスの確保を図ることが基本的な役割でございます。

 また、超高齢社会を迎え、今後、医療提供のあり方が病院完結型から地域完結型に転換が図られる中、地域の医療提供体制が確実に整えられていくよう、地域の状況に応じ、地域医療の充実に貢献することも都立病院の役割に位置づけてございます。
 都立病院は、この二つの役割を担いまして、東京の医療の充実に率先して取り組んでまいります。

◯もり愛委員】 都立病院は、行政的医療の提供と地域医療の充実への貢献も役割としているとのことであり、どちらも公立病院として一層の取り組みが期待をされます
 今後、高齢化の進展を支える地域完結型医療への転換が求められる中で、地域の中でどういった医療ニーズが求められるのか、必要な医療体制の確保を図るため、公民の適切な役割分担が求められます。
 都立病院が、地域においてどのような医療ニーズを担うべきかの議論は、病院経営そのものを左右する重要な課題です。
 私の地元大田区にある東京都保健医療公社の荏原病院では、都の委託を受け、重症心身障害児が短期入居するための病床を確保する取り組みを行い、地域から感謝されており、医療と福祉が柔軟に連携していくことは重要です
 小児在宅医療の充実については、さきの議会でも質問させていただきましたが、今回の都立病院の現状と課題の検証にも記載があることから、まず、小児の在宅医療について質問させていただきます。
 医療の高度化を背景として、近年、医療的ケアを必要とするお子さんは増加をしております。小児在宅医療に対する地域の診療所の状況と課題について、改めてお伺いいたします。

◯末村計画調整担当部長】 都が行った調査によりますと、訪問診療を実施していると回答した都内の一般診療所千七百四十八施設のうち、小児在宅医療に対応している、または今後対応予定と回答した診療所は約一割でございました。
 また、小児在宅医療への対応は考えていないと回答した診療所の約三割が、対応していない理由として、対応の仕方がわからない、経験、知識がないことを挙げております。
 こうしたことから、医療的ケア児が、住みなれた地域で適切な医療や生活支援を受けながら、安心して生活や通園、通学ができるよう、都立病院が有する小児医療の高度で専門的な知識やノウハウなどを地域の医療機関の医師等と共有するなど、技術面での協力が必要であると認識をしております。

◯もり愛委員】 子供たちが、住みなれた地域で安心して家族と過ごせることが大変重要ですが、小児在宅医療に対応している診療所は少ないということです。
 また、区南部医療圏においては、大変、その受け皿も北療育センターの城南分園に限られていることがあり、そこは、先ほども申し上げましたが、荏原病院と隣接しているため、区内のお母さん方からは、大田区内から府中の療育センターまで、遠方まで送り迎えをしなければならないというような課題も伺っておりますので、ぜひ一層の医療と福祉の連携を強く要望させていただきます。
 都立病院新改革実行プラン二〇一八では、医療的ケアを必要とする小児が円滑に在宅に移行できるよう、地域の実情に応じて、医療、福祉、教育など多くの関係職種及び関係機関との連携体制を構築することが必要となります。
 小児医療に限らず、都立病院が有する高い専門性や知見、医療人材などの医療資源を生かし、地域医療の確保、充実に貢献していくことが必要であります。
 このような課題に対して、都立病院が取り組んでいくに当たって、どのような制約があるのかお伺いいたします。

◯末村計画調整担当部長】 医療提供のあり方が病院完結型から地域完結型へと転換が図られる中、小児医療に限らず、地域医療の充実への貢献に向けて、先ほどご答弁したような地域医療を担う人材の育成支援や、地域医療機関への技術面での協力に加えまして、地域医療を支えるモデルとなる取り組みの発信が求められております。
 そのため、今後、都立病院の専門性やノウハウを生かし、地域医療機関等へ職員を派遣して行う診療応援などの人材交流が必要となりますが、地方公務員法による服務の制約等によりまして、民間医療機関への診療応援等は困難でございます。

◯もり愛委員】 地域の求めに応じて、都立病院の豊富な人材を生かし、特色ある専門性を地域に還元していくため、こうした課題を解決するための検討を引き続き進めていただきたいと思います。
 行政的医療の提供や、先ほどの地域医療の充実への貢献を支えていくのは、医療現場にいる職員であり、職員が働きやすい環境をつくることは、医療サービスの充実にもつながります。
 本年第二回定例会では、ライフワークバランスについての質問をさせていただきました。
 今回は、特に女性活躍の視点から、全国的に不足している医師の中でも、女性医師の多様な働き方の実現について質問させていただきます。
 今回の報告において女性医師の例が挙げられており、全国の女性医師の割合は二一・一%なのに対して、東京都においては二九・二%と高い割合となっております。
 都立病院における女性医師の割合と推移をお伺いいたします。

◯児玉経営企画部長】 都立病院に勤務する女性医師の割合の推移でございますが、各年度十一月一日現在で見ますと、平成二十八年度は二七・七%、平成二十九年度は二八・一%、平成三十年度は二九・〇%となっております。

◯もり愛委員】 都立病院における女性医師の割合は約三割と、都内全体と同様に、全国平均よりも高いことがわかりました。女性医師のキャリア形成と、育児、介護などの両立ができるよう環境整備を進めていくことが重要と考えます。
 そこで、女性医師が働きやすい職場環境整備に向けた取り組みについてお伺いいたします。

◯児玉経営企画部長】 都立病院では、昭和四十四年四月に院内保育室の運用を開始し、平成二十年四月から二十四時間対応にも取り組んでおります。さらに、平成二十年七月からは育児短時間勤務制度を導入するなど、女性が働きやすい職場環境の整備に努めているところでございます。
 なお、平成三十年十一月一日現在、育児短時間勤務制度は八名の女性医師が利用しております。また、院内保育室につきましては、全利用者九十名のうち女性医師が三十七名利用しており、利用者に占める割合は四一・一%となっております。

◯もり愛委員】 院内保育室の二十四時間対応や育児短時間勤務制度の導入などに取り組んでいただいていることがわかりました。
 今回の報告において、いまだ課題があるとされております女性医師が働きやすい職場環境整備を一層進めていくに当たって、どのような制約があるのかお伺いいたします。

◯末村計画調整担当部長】 病院現場からは、育児や介護と仕事の両立ができる多様な勤務時間の設定や、タスクシフトによる負担軽減の推進等を求める声が上がっております。
 このため、専門医を安定的に確保、活用することは、質の高い医療サービスの提供につながっていくということから、育児等との両立など、女性医師の定着に資する、より柔軟な勤務制度の構築が重要でございます。
 しかしながら、勤務時間につきましては、地方公務員法により、国や他の地方公共団体等との均衡が求められているため、病院の実情に合わせた勤務制度を構築することは困難であるといった制約がございます。

◯もり愛委員】 医科大における女性減点問題に関して、我が会派としても要望書を提出しました。
 女性医師が働きやすい社会環境を推進することは、都の責務であると考えます。女性医師の活躍の実現に向けた働きやすい環境づくりを念頭に、今後の検討を進めていただきたいと要望させていただきます。

 また、働きやすい環境をつくるためには、ICTを活用した、業務の効率化を図ることも重要です。ICTを活用することで、職員の働きやすさが増すばかりではなく、患者にとってもサービス向上につながっていくと考えます。
 そこで、都立病院におけるICTの活用についてお伺いいたします。

◯山口サービス推進部長】 都立病院では、平成十五年度から電子カルテシステムを順次導入、更新しておりまして、現在、全ての病院で効率的かつ安定的なシステム運用を行っております。
 電子カルテシステムの導入によりまして、紙カルテやレントゲンフィルムの削減による関連業務の効率化に加え、患者待ち時間の短縮、各種チェック機能による医療の安全性向上など患者サービスの充実や、異なる職種間での必要な診療情報を電子的に共有することによるチーム医療の推進などを図ってまいりました。また、一部の診療科におきまして、問診票の記入にタブレット端末を活用するなど、ICT機器の導入による効率化と利便性向上も図っております。
 さらに、全都立、公社病院の電子カルテシステム等に蓄積されました膨大な診療データを診療や臨床研究への支援等に活用することを目的としまして、平成二十七年度から、外部の有識者等で構成します都立・公社病院診療データバンク構想検討委員会を設置し、現在、最終報告の取りまとめを行っております。

◯もり愛委員】 引き続き、ICTの活用について検討していっていただきたいと考えます。
 また、今回の報告にあったように、診療データ等を分析、活用して、都民に治療の選択肢を見える化することで、患者が主体的に医療に参加できるよう取り組んでいただきたいです。
 これまで、都立病院の運営上の課題などについて伺ってまいりましたが、都立病院経営委員会の報告では、制度的に最も柔軟で今後の都立病院にふさわしい経営形態である一般地方独立行政法人への移行の検討の提言がありました。いかなる経営形態であっても、冒頭の答弁にあったように、都立病院の基本的役割である行政的医療を将来にわたり提供していくことが何よりも重要だと考えます。
 現在、都立病院は、採算を確保することが困難な行政的医療等に係る経費の一部について、一般会計から繰入金約四百億円を受け入れております。
 そこで、仮に地方独立行政法人化された場合、行政的医療への財源措置はどのようになるのかお伺いいたします。

◯末村計画調整担当部長】 病院事業を実施する場合に適用される公営企業型地方独立行政法人は、現行の都立病院と同様に、採算の確保が困難な医療などに係る経費につきまして、設立団体が経費を負担することが法定されております。
 したがいまして、都立病院が地方独立行政法人に移行した場合にも、行政的医療の提供に係る必要な経費は、引き続き都が負担していくものでございます。

◯もり愛委員】 現在の都立病院と同様に、行政的医療に必要な経費について、都が財源を確保する仕組みがあることが確認されました。
 高齢化の進展に伴い、行政的医療の量的、質的変化、高齢者における救急医療のニーズは増加の見込みがあり、一方で、高齢化が進んだ地域ほど入院医療費は伸びにくいと指摘をされており、八十歳以上人口比率が高い地域では、既に入院医療費が減少し始めているところも見られると厚生労働省の医療費の動向調査で指摘をされております。

 このような状況下において、全国の自治体病院の経営状況は悪化傾向にあり、都立病院も同様、都立病院を取り巻く厳しい病院運営に対して、より一層効率的な病院運営が必要であり、経営力向上に向けた、運営上の課題を解決するための検討も進めていっていただきたいと考えます。
 さらに、都立病院が行政的医療や地域医療の充実への貢献などの役割を果たしていくためには、どのような経営形態であったとしても、都と緊密に連携して取り組んでいくことが必要です。
 地方独立行政法人の場合、東京都や都議会の関与はどのようになるものかお伺いいたします。

◯末村計画調整担当部長】 地方独立行政法人法では、公営企業型地方独立行政法人が達成すべき住民サービスや業務改善等に関する中期目標について、議会の議決を経て、知事が定めることとされております。
 また、法人は、中期目標を達成するため、住民サービス、収支計画、料金などを中期計画として策定し、議会の議決を経て知事の認可を受ける必要がございます。
 さらに、各事業年度及び中期計画終了時に、法人の業務実績につきまして評価委員会の意見を聞いて知事は評価を行い、議会に報告することとされております。
 このほか、都が行政的医療などの経費について行う財源措置につきましても、毎年度議会の予算審議の関与がございます。

◯もり愛委員】 ありがとうございます。地方独立行政法人は、さまざまな機会を通じて、議会が関与する仕組みを定めていることがわかりました。地方独立行政法人に対するチェック機能は必要だと考えます。
 さきも申し上げましたが、特に今後、地域完結型医療を目指す上においては、地域の中にどういった医療ニーズがあり、不足している医療ニーズに都立病院がどのように貢献していくことができるか、公民全体を通して地域の医療資源を考える必要があり、また、地域包括ケアシステムの構築に向けても、医療と介護、福祉の連携を一層進めていくことが求められます。
 医療環境が変化する中でも、都立病院がその役割を果たし続けるために、経営形態のあり方を検討していくことは重要です。病院現場の実情に向き合い、日々、医療現場で業務についているスタッフがより働きやすい環境をつくっていくとともに、医療の質の向上や見える化の推進など、都民サービスを充実していくという視点から、引き続き検討を進めていただきますよう申し上げ、全質問を終わります。
 ありがとうございました。