【コロナ禍のひきこもり支援~求められる支援について】
子育て議連・出産議員NW合同オンライン勉強会
緊急事態宣言下のGW。
子育て議連・出産議員NWのオンライン勉強会に参加。NPO法人 KHJ全国ひきこもり家族会連絡会 上田理香さんより、コロナ禍におけるひきこもり支援の現状と課題についてお話を伺いました。

私も3年前東京都議会厚生委員会に所属して以来、ひきこもりの課題に取り組んで参りました。
支援の拡充を訴え、本会議・予算・決算・事務事業質疑と、繰り返しこのテーマについて質疑をして参りました。
それは、東京都では石原都政の下で、秋葉原の殺傷事件でひきこもり=青年犯罪予備軍といった誤った認識から青少年治安対策本部の所管として
これまで34歳迄しか支援の対象となっておらず支援を必要としながら何の行政的支援とも繋がって居ない方がいる事は、行政の不作為であり、地域の福祉資源を活用した支援が必要であると、福祉保健局への移管を強く訴え取り組んで参りました。
制度と制度の狭間で困っている所に光を当てて、制度にしていく事が求められます。

先月は、「にじのふね」さんの家族会の座談会に参加させて頂きました。
そういった地域の居場所活動もコロナ禍で開催が出来ない中で、ひきこもり当事者とご家族の孤立が心配をされます。
先日、大田区の家族会の方よりご案内を頂き、
『品川区子ども若者応援フリースペース』で開催される座談会に参加をさせて頂きました。

土曜日の開催でしたが品川区の行政の方が参加し、親身に寄り添いながら、穏やかな雰囲気の下で開催され、大田区の家族会の方も参加されていました。

「通ってきてくれる人であれば、大田区からも目黒区からも、参加を受け入れています」という、裾野の広い品川区の支援体制は、利用者の方にとって居心地の良い居場所の支援に取り組んでい頂いており、大田区役所での紹介を受けて、中延まで通ってくる方もいらっしゃいます。

一方で、大田区の家族会の方より、大田区の発達障害者支援拠点のさぽーとぴあで開催をお願いしたそうですが、対象は大田区民のみであると指摘されたとの事。

ひきこもり支援においては、「家族にひきこもりが居るという事を知られたくない」というご家族は、近くでは通いづらい事もあり、近隣自治体とも連携し、区横断的な支援ネットワークの構築が求められます。
また、近年問題となって居る、本人の同意に基づかない強引な引き出し業者による、家族からの引きはがしは、心のトラウマになってしまい、唯一の安全地帯である家族の絆も引き裂いてしまうとの事で、「他の人から、親が甘いから子がひきこもるのだと批判をされてしまうが、家族関係が良好ならば、無理に外に出すよりも、明るく平和なひきこもり生活でいい。」
との声が聞かれ、ひきこもりの長期化により、
「親が生きているうちは良いが、親亡き後が心配」という、切実なお声も頂きました。
ひきこもりの8050問題に、行政が親亡き後の課題にどの様に手を差し伸べていく事が出来るかー
上田さんにお聞きすると。「親亡き後に、自ら後追いで亡くなってしまう当事者も居る。引きこもり当事者にとって、親の死はとても大きな問題。親が亡くなる前に、行政と繋がるには、介護がとても重要。親の介護をきっかけに、初めて行政と繋がる当事者の方も居る。その際に、介護の担い手になってもらう事で、自分が必要とされている事を実感し、社会と繋がるとのご指摘を頂きました。

介護の方が親の支援に入る際に、「どうやら自宅にお子さんがひきこもって居る」と初めて認知されるケースも多く、自治体においても、地域包括ケアシステムの中で、家族への支援についても必要な支援と結びつける仕組みが必要であると感じました。

私も2000年に大学を卒業した超就職氷河期世代として、新卒で入社できないと正社員になりづらく、就職時や就職先での挫折で引きこもってしまう若者も多くいます。

コロナ禍で、再び就職氷河期を生まない❗️為に、今年度予算では、東京版ニューディールとして2万人規模の就労支援の予算を拡充し、就労困難者の方が、生きがいとやりがいを持って働く事の出来るソーシャルファームの推進も進めています。

支援を必要とする方が、支援を利用できるように、届く広報にも努めねばならないと考えさせられます。
切実な現場の声をお話しいただき、KHJの上田さん、子育て議連・出産議員NWの永野裕子代表、全国の事例を共有頂いた参加者の皆さま、ありがとうございました。

誰一人取り残さない社会の実現に向けてて、取り組んで参りたいです。

以下、講演メモ⇩
平成25年から、厚労省の重点課題として表面化したが、
6割以上の方は外出をしている。
本人も家族も困って居ても、SOSが出せない状況に。

特にコロナ禍でも、行ける範囲で訪れていた所にも通いづらくなっている現状。

歯医者にいけない。本人は困って居ても、健康面のケアに繋がらない。
一切受診を拒否してしまう。

ひきこもり当事者と家族のひきこもりの長期化による8050問題。
長期高齢化傾向
ひきこもり平均期間の推移(断続的ひきこもり含む)
平均期間9.2年
ひきこもり時期に、どの様に過ごしたかが、とても大切。

長期高齢化傾向~親の平均年齢は65.1歳

全国推定115万人(40~64歳 61.3万人 15歳~39歳 54.1万人)
ひきこもりの背景の多様性
社会に出て、中高年ひきこもりのきっかけは退職や人間関係、
・パワハラ、介護離職、いじめ、疾病、貧困・DV、虐待、派遣労働、多重債務家族トラブルやLGBTなど

大人の発達障がい グレーゾーンの方も多く含まれている事が想定される。

ひきこもりを生む社会的要因 就職氷河期世代の困難
1993年~2004年に大卒(37歳~48歳)高卒33歳から44歳の人たち

社会構造の問題
一度つまづくとなかなか元に戻れない、やり直しがきかない

コツコツと自分のペースでやっていこうとする人が、なじめない働き方。
マルチタスクが苦手な方、挨拶が上手くできない。
就労支援もあるが、本人の中でも上手くできないから苦しんでいる。
「自分が出来ない」自分の存在意義への危機感。
働かない のではなく、働ける仕組みが無い
(多様な働き方、テレワーク等の働き方、生き方の創造)
↑その想いから、都民ファーストの会が提案して生きづらさを抱え就労困難な方達の就労の新たな形を目指して
ソーシャルファーム推進条例を作り、
多様な生き方と働き方を支援して参ります❗️

偏見から理解へ「ひきこもらざるをえない苦しみ」
・生存する為のひきこもり
・孤立せざるを得ない苦しみ、理解されない苦しみ、説明できない苦しみ、居場所のない苦しみ
本人は、家庭の中でも居場所を無くしていく「生きていて、すみません」

・何とかしたくても出来ない葛藤の強まり(コロナ禍でも)
社会に出たくても出られない、働きたくても一歩が踏み出せない。周りとの格差
年齢、ブランクから、自ら他者とのつながりを達、孤立状態に追い込まれる。
「人から自分の生活の事を干渉されたくない
生きるのが苦しい
家族との関わり方の葛藤

【ひきこもりとコロナと家族】
コロナ禍の長期化で、家族で過ごし時間が日常化
家庭環境や家族の接し方が、本人の状況に影響を及ぼしている
〇 好影響 自粛生活で負い目が減って安定してひきこもる生活が出来た
(もともと家族関係が良好、家族で楽しむ時間を持つ、思いやりが増える
〇 悪影響 より自室にこもってしまう生活、家の中でも孤立状態に、体調悪化など
(普段いない家族との確執、干渉、プレッシャーなど日常のすれ違いがストレス)

コロナ禍の孤独感 ⇨ きっかけづくりに
〇支援の縮小、延期、中止で引きこもり加速
(外出を控えたり、来所する場がなくなり、再びひきこもり状態に戻る)
⇨ 分かれ目は負い目なくひきこもれる環境がある事
(エネルギー充電して行ける家庭環境づくりが重要)
WEBでのフリースペースがメンバー同士の新たな交流のツールになった
・コロナで困っている人の為に何かできないか
家族】自粛生活で、自分自身がひきこもる事の大変さを理解することが出来た。


家族も居場所を必要としている(孤立感が高い)
〈 どうしていいか分からない 気持ちのやり場がない 〉
・誰にも言えず、自分の気持ちのやり場が無い
・本人からも全く会話が無く子どものことが理解できない
・自分の育て方のせいだと自分を責めてしまう
・夫婦で意見が違っていて、協力や理解を得られない、分かち合えない

家族自身も支援やケア、居場所を必要としている。

家族支援(社会参加・環境づくりの担い手である家族への支援)
~本人を支える家族を支援する

・本人の多くは家族と同居している。本人と唯一接触できるのが家族である場合が多い
・本人は家族以外との交流を一切立っている状態

第3者は一切入らないで欲しいというご家族もある。
現状を変えようとすると、より悪化してしまう場合もある。
〇現状を変えたくない心情に寄り添う、支援は望まなくても、ただ話が出来る話を聞いてもらえるピアサポートの重要性
〇 家族は本人の身辺自立、日常の関係づくり

〇親の焦りが強い場合
・引き出し業者に依頼した家族の例「また連れ去られるのではないか」
何年たっても心は恐怖心にとらわれてしまう。
連れ去られた恐怖心、何の心のケアも無い状況、フラッシュバックと家族に裏切られた気持ちー親子関係の断絶
引き出し業者からの後遺症

〇家族と本人・支援機関の利用状況「66%が家族」「本人は27%」
家族の方が支援機関を利用しやすく、継続しやすい

相談窓口の連携(たらい回しの無いワンストップ体制)
家族を丸ごと受け止め(気持ちのケア)、複合課題の横断的サポート
例)目黒区合同相談会方式(専門家+家族会(ピアサポーター)複数の相談機関相談員が対応する。
↑先の予算委員会で、もり愛が都議会でも、目黒区方式を好事例として
切れ目のない支援体制の構築を要望しました。

たらい回しを防止でき、瀬田今津事支援が出来る。
家族のケアと困りごとの解決・資源に繋げる事の重要性

〇家族が孤立せずエネルギー回復の環境づくりへ
不安が強まると、本人も家族も楽しむ力「欲求」が弱まり、心配する方にエネルギーが取られやすい。
家族も本人も楽になればエネルギーは上がる
親自身の気持ちが安定している事が大切。

家族会の役割~家族の居場所と学び~

つながり続ける支援へ~8050問題(家族全体の孤立)予防的支援
(地域家族会が居場所に、行きたい家族会は柔軟に。各区市町村で柔軟に行き来が可能)

住んでいる自治体では知り合いが多くて通いづらい事も、毎月家族会をやっている事で、繋がりたいときに繋がれるネットワークづくり

〇最初の一歩の家族支援(家族会)
行きつ戻りつが可能な息の長い支えあいの体制を。

①家族相談・家族会
②親の学習
③第3者の風 アウトリーチ
④居場所

安全安心を支えるアウトリーチ支援
~本人同意のない状態で踏み込まないでください。
・自室は本人の生存領域(生きる為の安全領域)には無断で踏み入らない。

ノックもNG。ドア越しに声をかける。
・突然訪問は絶対NG!
本人にとっては踏み込まれたとの想いが強い。信頼関係

・訪問の切っ掛けが得やすい状態から安定期・俯瞰期・挑戦期
〇訪問の最初の目的は、話し相手―あなたを変えようとすることが目的ではないという事を伝える
〇会わないでいてくれることの信頼感。情報提供、情報のアウトリーチも大切
【寄り添い力 理解 安心感】のある支援を考える
ひきこもりを治す、教育するのではなく、まずひきこもりながら生き延びる場
(生存領域)を大切にする。その為の耳を傾ける「理解者」と困りごとんい寄り添うサポートが必要
〇変わりたいと思うのは本人

「家庭を安全基地にする為に。否定⇨肯定的関心へ」
〇 本人の言動には必ず本人なりの理由がある
今、苦しさがあっても、今はそれが精いっぱいである事を理解する。

ひきこもり当事者のつぶやき〉
責任感を感じて押しつぶされそうになる。
失敗が怖い。

「本人のきっかけが生れるタイミング」
①エネルギーの高まり
②自分の意思
③他者からの風邪、外からの情報の出来事など

社会に居場所を見つけていこうとする、本人の欲求や意欲の回復が大切
家庭が居場所となり 社会に居場所を見つける

親の学習を通じて家族関係が変化していくターニングポイント

目に見えない変化から、本人が動き出した事例

「本人が生きていてくれているだけでいい」存在そのものを認めていく

居場所で人間関係を作りながら、自ら一歩踏み出す(就労手前の資源)
「居場所」は居てもいい場所
居場所~自分はひとりじゃないんだなぁ
「ひきこもり家族会・居場所マップ」

ひきこもり状態の段階
(本人支援の前に)家族関係とエネルギー回復が土台に
・混乱期
・安定期(エネルギー回復期)

ひきこもりの回復~自己肯定感を取り戻す事
・リカバリー 生きづらさを抱えながら歩む
自分がひきこもらざるをえなかった 自らの経験を認めながら、自分に対しての希望や可能性を取り戻していく。
【ひきこもり大学】本人たちが自分の経験を話す。その経験から一緒に考えて学ぶ

過去を変える事は出来なくても、その時期に考えた事や経験をプラスに転化する事は出来る。
〇 つながりたいときにオンラインなら
・コロナで生まれた新しいつながり
・自室から全国の声を聴ける
・自分のタイミングで参加できる

〇ひきぷら
〇居場所~特性を生かす道
〇兵庫県ひきこもり情報ポータルサイト
〇KHJ旅立ち編集会議

単身ひきこもりどう支援する?

行政の強み「広報力」を活かして
~相手から見つけてもらうための発信~
単身の方に、訪問を強化した方がいいのかー 困っている事があると糸口にはなるが、
広報でもっと必要とする人に、必要な情報を届ける事

世田谷区 表現活動の発信「世田谷区生活困窮者支援センター」

◎東京都 最新の支援実態調査(2021)
地域包括支援センター9割が本人を把握
〇8050親の介護をきっかけに役割を得て動き出す
・ひきこもりの人=困った人ではなく、家族を見守る役割を担う人である

〇8050問題 別居の姉妹兄弟の相談増
【親亡き後の不安に応じた理解と対応】
対応】兄弟が抱え込まない為の社会制度を案内
法的扶養義務は、 自分の生計に余裕のある場合のみ生じる
ご兄弟の自分の人生も大事にしてください。

コロナ禍でも孤立しない
行政と連携した地域家族会の立ち上げ
⇨息長く繋がり続ける
孤立しない社会

多機関連携 
ひきこもり状態にある方など社会参加に向けた支援を必要とする方への支援
~就職氷河期世代支援 市区町村プラットフォーム~ 令和3年度

地域の見守り、まなざし レッテル貼らず
~地域で共に生きている「○○さん」~
・ひきこもり まなざしがひきこもらせる
・家族全体を支えていく 先ずは家族が楽になる事
・人は怖いけれど情報だけなら

官民連携~ 多様な参加支援を~

コロナ禍と共存していく為に~緩やかに繋がり続ける支援~
①孤立しない事
②柔軟な選択肢がある事
③つながり続ける方法はいろいろ
④行政との連携~つながっていく、優しい社会へ

KHJジャーナル「たびだち」

Q 練馬の事例では、ご本人の暴力から悲しい事件が起きた。暴力を振るう場合にどうしたら良いか?

上田さん〉暴力には、エスカレートする暴力と、原因がはっきりとわかっている暴力
なぜエスカレートするか。
親御さんが、「やめて」「暴力が怖い」と言えなくなってしまっている。
エスカレートする暴力は、受け止めすぎてしまう。
後から冷静になると、本人が嫌がる事をやめる。
原因が親にはなくても、親が受け止めすぎてしまうと、エスカレートしてしまう。
暴力を受けているお母さんは、声を上げられない。お父さんが相談する。
キーパーソンは、もっとも信頼している人。
本人を変えようとしても頑として変わらない。先ずは初期対応。寄り添う事が大切。

コロナだからこそ、地域の大切さ
ひきこもりに変わる言葉は、何があるのだろうか。
不登校、登校拒否、レッテルは貼りが嫌。
「こもりびと」

もり愛〉上田さん本日も貴重なお話をありがとうございました。
地域のひきこもり家族会でお話を聞いていると、大人のひきこもりは、「本当に出口がない。」
というお声を聞きます。一方で、連れ出し業者により家族の絆が壊れるよりは、家族で家で平和で暮らしていられるならば、親が元気なうちは、明るく平和なひきこもりならば良い
というお声をよく聞くのですが、皆様親亡き後の心配をされています。

Q 親亡きあとの支援に向けて、行政がどの様に本人に寄り添う事が出来るか、伺わせてください

上田さん〉これは本当に切実、親が死ぬと本人があとを追う。親が死ぬという事は、本人にとってとても切実。介護、介護の時に、本人に頑張ってもらって、あなたの力が必要だという事、本人に担い手になってもらう事が大切。

寮タイプの自立支援施設
ものすごく不衛生な環境に閉じ込められて、メールでSOSが来た。
ところが、脱走の支援をしてもらえない。
安心安全な、本人に必要なケアが受けられる施設が求められる。
クーリングオフを出来る様にして欲しい。
悪質な施設でも、お金が戻れない。契約破棄が出来る仕組みが求められる。

行政との連携の橋渡し
家族会に顔を出すのは社会福祉協議会。
社会福祉協議会が、当事者との橋渡しになってもらえる重要な役割。