【おおた社会福祉士会2月定例会「児童虐待から考える~子どもの生命と権利を守り、『安心して子どもを生み育てられるまちづくり』のために~」

 子どもの権利擁護の為に、現場で子ども達に寄り添って来た山下敏雅弁護士よりお話を伺いました。
 親から虐待を受け家庭内暴力をした少年A君のお話を伺い、涙が込み上げてきました。
行政だけでは届かない、本当に子どもの立場に立って子どもに寄り添う、子どもの最善の利益を主張する大人の存在がどれほど大切か。

子どものアドボケイトがとても重要だと改めて実感しました。

もし、少年が山下弁護士と出逢えていなかったら、シェルターや自立支援・里親の存在を知ることが出来なかったら、自らの資格を取り学ぶ喜びと出逢う事は出来なかったでしょう。

親子の関係改善のための調停があるという事。
児童福祉法の下で、家庭から逃れられないと感じているお子さんも多く、コロナ禍で、自粛を余儀なくされる一方で、家に居場所が無いと感じていたら、子ども達にとってどれだけ辛い事か。

 私も、都議会厚生委員会の委員として、一昨年より都内の一時保護所、児童相談所を視察する中で、子どもの刑務所の様な厳しいルールで子どもが子らしく過ごすことが出来ない現場も目の当たりにし、一時保護所の改善を求めて参りました。

 兵庫県明石市の事例や、福岡市の児童相談所を視察する中で、子どもの権利擁護に重点を置き、同僚として常勤弁護士を配置する事で、職員一人ひとりの意識が変わり、【子どもの権利】の視点で一時保護に当たる様になったとのお話も伺いました。

一時保護所の職員さん達は、定員を超えるような子ども達を少ないマンパワーで対応する中で余裕を持てない状況もあり、増加の一途をたどる虐待に、対処するのみでは間に合いません。
 
 東京都では、今年度予算の中に、「対処から予防として虐待を未然に防ぐための対策の強化」と、一時保護児童への支援体制の強化、子どもの権利が尊重され、子どもが意見を表明できる仕組み、「子どもアドボケイト」の導入に取り組むこと、児童福祉審議会等を活用した子どもの権利擁護の仕組みを構築する」事が明記をされています。

 大田区の児童相談所の移管においても、子どもの権利擁護の視点から、常勤弁護士の配置を求め、東京都として自治体に予算措置を行う事、そして支援を必要とする子ども達を、社会福祉士の皆さまや地域の多様な大人が関わり、支援に繋げていく役割が求められていると感じました。

東京都議会でも本日より始まった定例本会議の中で、「こども条例」に向けた動きがあります。

すべての子ども達の命が尊ばれ、権利の主体として尊重される社会を目指して、地域の皆さまと連携して取り組んでいきたいです。

カーゲストスピーカーの山下弁護士、おおおた社会福祉士の皆さま、地域の皆さまと、貴重な学びの機会をありがとうございました!


山下弁護士の講演メモ
市民の法的駆け込み寺

ライフワークとして子どもの人権,無戸籍児の支援など

子ども達を安心して保護できるシェルター

国連子どもの権利委員会

子どもの権利を守るという事が、どの様な事なのか。

民法改正
親の「懲戒」を削除し、親は子どもの人格を尊重せねばならない。

子どもの権利条約】

日本は7年前に158番目に採択

保護から権利の主体へ

こどもは守ってあげるもの
⇒ こどもの権利条約(国際連合)

戦争を通して、子ども達が被害を受ける。人権侵害に対して

世界共通の認識として人権を重んじるようになったのは最近

保護から権利の主体へ】
国際法の中で、更に発展させて
1987年 ポーランドが条約化を提案 コルチャック先生

子どもが権利の主体で、大人はそれをサポートせねばならない。
保護される事の権利を要する。

通告と他機関連携】
通告
・通告義務
児童虐待防止法6条 守秘義務よりも通告義務の方が重い
・通告を躊躇する事情
 他に話さないで欲しいという子ども本人の希望
 保護者からのクレーム対応の疲弊
 組織内部の意見の相違
 連携で嫌な思いをした過去の経験
他機関連携の必要性・重要
・情報の共有化
・活動方針の明確化と役割分担
※地域の狭感・機関の狭間⇒ 重大事件 関係機関の
※「一歩前の連携」
・負担感の軽減
形式的な連携はかえって負担なだけ

弁護士の役割
「法律が問題じゃないから?」
「敷居が高い?」
事実関係・証拠の整理

法律や条文では無くて、人権について伝えたい。
基本的人権を擁護し、社会正義を実現する事を使命とする。
⇒ 人権はじゃない弁護士はありえない

人権とは
・一人ひとりが大切にされる、尊重されるという事。
・誰かの物でも、人形でも、奴隷でもない、人間として大切にされる事
・男女、おとなこども、日本人外国人、病気や障害のある人ない人、どんな人でも
・安心して毎日を過ごし、幸せな人生を送れるという事

自分で自分の人生を選べない、ビクビクして毎日を過ごしている子ども達が山の様に居るという事。

子どもが弁護士にSOSを出さねばならない社会の方がおかしい。だからこそ、側にいる大人たちに、子ども

社会福祉士に期待する事は〉
社会福祉士との連携、未成年後見、法律家と社会福祉士の方が繋がる事の重要さ

東京都児童虐待防止ホームページ