【コロナ禍の貧困問題に重層的なセイフティネットの整備の必要性を考える】
昨夜は仕事を終えて「貧困問題オンラインセミナー」
長年貧困問題に取り組んできた小椋修平区議と
元世田谷区 福祉事務所職員、生活保護問題対策全国会議 事務局次長の田川英信さんより、
コロナ禍における生活困窮相談の現状、生活保護行政の課題についてのお話を伺い、
行政として求められているセイフティネットの整備について、オンラインで全国の自治体議員の皆さまとの質疑を交えながら、課題を深める機会を頂きました。
コロナ禍で、地域の方から寄せられるご相談も、とても深刻な状況がある中で、
【自助】を真っ先に掲げる菅総理の誕生、医療費の負担増、消費増税などが掲げられ、不安も聞かれます。
「アベノミクスで雇用は400万人増加した❗️」と云いながら、その半数以上は非正規雇用。
このコロナ禍の中で、非正規雇用の方の雇い止め、女性の失業者の増加が既に顕著に現れています。
非正規雇用の増加、無年金者の高齢化ー
その先に待っているのは、生活保護の爆発的な増加と云う時限爆弾を抱えているー
生活保護に至る前のセイフティネットの拡充は、
今後の生活保護行政を考える上でも、本当に必要な施策であると考えます。
今年4月〜7月の【住宅確保給付金】の支給が昨年1年間の21倍、リーマンショック後の2倍に当たる
8万5779件にものぼる速報値が発表されました。
減収や仕事を失い、家賃を払う事が出来ない世帯が、これ程までに増えている状況。
また、全国で1番家賃の高い東京都において、
安心して住み続ける事の出来る住宅の確保は、生きる上で無くてはならない権利です。
東京都は、住宅施策の重要さに取り組む為
【住宅政策本部】を立ち上げ、私も住宅政策審議会の委員として、
◯就職氷河期世代の住宅確保
◯ひとり親世帯
◯子育て支援と介護のダブルケア家庭の住宅支援
など、これまで住宅施策に欠けていた視点を、
もり愛の提案により東京都の提言に盛り込み事が出来ました。
住まいの確保と就労支援、子育て支援、孤立を防ぐような繋がりの支援など、複合的に、局横断的なセイフティネットのネットワークづくりが求められると考えます。
今年度は、東京都住宅マスタープランの改定の時期でもあります。
都内80万戸の空き家を、セイフティネット住宅として、必要とする方にどの様に提供していく事ができるか。
仮の住処であるはずの「無料定額宿泊所」に何年も押し込めておく様な実態の適正化も含めて、
東京都の施策で取り組むべき課題と、コロナ禍でますます生活保護世帯が増えている現状に、東京都として自治体の生活福祉課の人員不足の現状に対する一層の支援の必要性など、
東京都として生活困窮者に寄り添うセイフティネットの拡充に都議会で取り組んで参りたいです❗️
小椋区議、講師の田村英信さんありがとうございました!
以下、講演メモより〉
↓
1、コロナ禍における緊急SOSの現状〉
ネットカフェ、派遣切り、非正規・サービス業・飲食店etc、あらゆる職種・年代からSOS、貧困が各層に広がっている実情など
→ 社協の貸付、住宅確保給付金の申請殺到❗️相談体制が崩壊しつつある。
現に、もり愛の地元でも、コロナ禍で仕事を失った方が居ると、第3者から相談があり、家で飲まず食わずの状況で発見され救急搬送。
人生を悲観して命が危ない状況で、身体が弱り切っていた為、既に2ヶ月入院。
生活保護となり、退院後の住居を決めたいが、
携帯電話が無く家が決まらない。
家が無いと携帯電話も契約できない。と云う、ループに陥っている。
→行政からは、無料定額宿泊所をすすめられている。
2、元福祉事務所ケースワーカーとして福祉行政の課題
憲法・法律を守る公務員がどうして違法・不適切な運用をしているのかー
《水際作戦の背景》福祉事務所の脆弱性
1、職員の質の担保ができていない。
2、研修体制の不備・不足
3、人事リサイクル
4、職員の総定数抑制 人員不足 自治体職員の削減が構造的に行われた。
5、監査(指導検査)の方向性 漏給防止では無く、濫給防止中心
※「生活保護なめんな」ジャンバー事件
大事なのは専門性 専門性を身につける事が大事
= 憲法・法律に基づいた行政を正す事
◯「無料宿泊所の利用」が関東では一般的
貧困ビジネスと言われることも
相部屋・劣悪な食事・施設←集団のため感染リスクが高い
管理費等の名目でたくさん徴収され、自分で使えるお金が少ない(聞いた所は、月2000円のお小遣いのみ)
特別区は共同事業として「自立支援センター」を運営 相部屋 ↔︎ 三多摩にはない。
社会福祉施設と言われる、何人もが、2段ベットで
国の基準でも、都の条例でも、法で位置付けられている。
田川さん〉ホームレスの方が、アパートを借りる為の、一時利用なら分かるが、多くの方が、そこに入ったら入りっぱなし。
無料宿泊所の入所の期限を定めるべき。
3、貧困を未然に防ぐための施策や福祉行政の改善策の提言
「生活保護法等の一部を改正する法律案」通称
「子どもの生活底上げ法案」を、当時の立民、希望の党、共産党、無所属の会、社民党6野党会派の提案
1)保護基準の検討のあり方(現行の「水準均衡方式」の見直し)
公布後1年以内に見直す。
その間、生活保護基準を利用者に不利な内容に変えることを禁止
→ 今年10月で3年目の生活扶助基準の引き下げ・見直しは見送る
2)貧困の連鎖を断ち、子どもの生活の安定を図る
・厚労省が引き下げている母子加算の減額を止める
・大学等の進学の妨げとなっている世帯分離
(世帯にいるにも関わらず、保護の対象から外す手法)を止め、世帯内での就学を認める
3)児童扶養手当の改善
自民党が政権奪取の原動力として生活保護バッシングを利用した。
・生活保護の給付水準を10%引き下げ
・生活保護法の改悪 締め付け強化
・生活保護申請のハードルを上げようとした。
→省令の定める所により、資料を添付すること。
・ジェネリックの原則化
・返還金を国税徴収の例による債権とし、保護費からの天引きを認めた。
改悪された生活保護法】生活保護に対する締め付け強化
・扶養義務の強化を狙った。
下げられた保護基準】
・老齢加算廃止 2004年〜段階的に引き下げ2006年〜完全廃止
・母子加算廃止⇒ 2005年段階的に引き下げ2009年完全撤廃(民主党政権下2009年12月に復活)
・生活扶助基準 2013年 最大1割引き下げ
・住宅扶助基準の引き下げ 2015年冬〜
・冬季加算の減額
・生活扶助基準 2018年からー 最大5割引き下げ
就学援助、などにも、全て影響してくる
「子どもの生活底上げ法案」
1)保護基準の検討の在り方(現行の水準均衡方式)
現在200万人、
保護が利用できるにも関わらず、利用していない世帯
2)貧困の連鎖を断ち切り、
3)児童扶養手当の改善
児童扶養手当の支給額を月額1万円増
貧困の連鎖を断ち、子どもの生活の安定を図る
厚労省が引き下げている母子加算の減額を止める
大学等の進学の妨げとなっている世帯分離世帯にいるにも関わらず、保護の対象から外す手法)を止め、世帯内での修学を認める。
家賃扶助、住宅扶助基準の引き下げ(2015年7月)
3人で6万900円
埼玉・神奈川は大きく基準を引き下げられてしまったので、引っ越しが余儀なくされた。
不安を抱えて暮らしている
ー非正規雇用・年金が少ない世帯が増えている事は、いずれ生活保護でしか生活ができなくなる世帯が大量に出てくるー時限爆弾❗️
そもそもの、社会保障の脆弱さ
なぜ日本の生活保護制度は、必要な人に届かないのか
これまでの日本社会の特殊性
これまで機能してきた企業のセイフティネットが、
(社宅、厚生保険)失われてきた。
Q 〉仕事も無く生活が苦しいが、持ち家があるので、生活保護の受給は諦めている。
田川さん〉持ち家でも、原則は認めている。自治体によって保護基準に影響される。余程高い持ち家でなければ、適応される場合もある。
車については、車の保有を認めて欲しいという声が上がっている。
宮城県の地方では、地域の民生委員さんを通じなければ申請できない。直ぐに「生活保護家庭である事が」近隣住民に知られてしまい、村八分になってしまう。
20代「仕事をしたいのに仕事が見つからない。
住居が無いと仕事が見つからない。」
そもそも日本は、4割が非正規
役所ですら、4割が非正規雇用になりつつある。
同じような仕事をしていても、給与は大きく違う。
本当であれば、自治体が仕事を作るべきだが、
年度替わりの、雇用職員
自治体で雇用を作ることも求められる。
20代、一回非正規で働くと、正規職員になる事がとても難しい。
→ 正規職員の間口を広げる事。
履歴書を書いても、雇って貰えない。
病気で2年仕事を休んで、その際に生活保護
→ 履歴書に生活保護を受給していた事を書くと、雇って貰えない実情がある。
◯ 生活保護と生活支援自立制度
生活保護を利用するような状況なのに、困窮者自立支援制度で対応している「沖合作戦」
水際作戦にも来させない自治体もある。
就労の支援をする際に、働ける状況なのか、しっかりと見極める事も大事。
ホームレス、ひきこもり、一人ひとりに寄り添う支援をするためには、
担当者の持ち数が80を超えていたら無理。
生活保護はお金を支給して終わりではなく、
生活と、人との繋がり、社会とのつながり
就労支援のみではなく
ネットカフェであぶれた人たちへ
みなし仮設、として、空き家を活用して受け皿を整備していくべき。
全国から1か所に
行政が、もっとアウトリーチも含めてやらねばならない。
少なくとも、水際作戦を自治体がしなければならない。
調布市で、県営住宅の退去の朝に、娘をハチマキで首を絞めて殺してしまった事件。
2度生活保護の窓口を訪れたが「もうしこし仕事を探したら」と云う相談のみで、支援に繋がっていなかった。
生活困窮者自立支援は、生活給付が無い。
板橋区は、都内でも有数な、ちゃんと生活保護を実施している自治体だが、全く問題が無いと云うことでは無い。
第3者機関での、職員のスキルアップが必要
「無料定額」
自分が住みたいと思わない所を紹介したいのか。
内部では、貧困ビジネスを容認してしまう。
Q〉生活困窮者向けに、仕事を回す仕組みはできないのかー
有り難い反面、ブラックな仕事・
精神障がい者の生活支援
医療的な配慮をしつつ、
生活困窮者自立支援法ができた際に、これで生活保護を使わせない!と言った
セイフティネットを幾重にも整備していく事が必要で、その最後のセイフティネットは、やはり生活保護を利用せざるを得ない。
銚子市の事件
憲法を守り、法律を守り、住民の命を守る為に
本当に相談だけで十分な方もいるが
一人ひとりに寄り添った、生活支援のあり方が問われている。