電力供給の中枢「東京電力中央給電指令所」視察・災害と電力レジリエンス、日本のエネルギーについて考える
先日は、午前中は事務作業、お昼は例会にて『台湾を築いた明治の日本人』を執筆された渡辺利夫元拓殖大学学長より、卓話を伺わせて頂き、午後は会派視察へ。
関東一円の電力供給の中枢「中央給電指令所」を視察して参りました。
先日は、小池都知事も視察をされました。
東京電力が託送供給をしている関東一円(+山梨と静岡の一部)で、全国の電力消費量の32%、全国の1/3にも上ります。
膨大な数の消費者と、多数の発電所を結び、変電所を拠点として網の目の様に張り巡らされた送電線・配電線で結ばれ、電気の生産と消費を行う事を可能にするための電力系統を司る中枢である「中央給電指令所」は、一般職員は足を踏み入れない場所であり、今回は特別に視察をさせて頂きました。


大容量発電機の出力抑制を行い、エリア全体の需給バランスの調整を実施する作業は、①壁一面の系統監視盤において、全国の電力の流れと電圧、遮断機の開閉状態等を確認し、
②受給監視盤で、需給状況の監視を行うための表示装置で、需要・系統周波数・主要発電所への命令値などを表示。
モニターと数字を、常に監視しながら50ヘルツに保ち、収集・処理した情報を各発電所に向けてオペレーションする作業は、本当に神経を使うお仕事であると、
改めて、日頃スイッチを入れれば電気の付く生活が、当たり前のことではなく有難さを実感します。

東電HPより↑


施設の視察後は、「日本のエネルギー事情と電力レジリエンス」について
昨年の台風15号・19号による電力設備の被害状況と、今後の安全対策について、お話を伺い、意見交換をさせて頂きました。

今年の夏はコロナ禍で、オフィスや大規模事業所、観光地などの閉鎖により、全体としての電力消費は下がったとの事ですが、自粛やテレワークでの家庭部門での電力消費は上がっており、持続可能な社会を築いていく為には、一人ひとりの意識と行動の変化も求められます。

3,11の震災直後は、当時10日間の計画停電も行われ、節電で街のあかりもセーブされており、暗い街並みが思い出されますが、今は当時に比べると、節電が忘れ去られている様にも感じられます。

【 日本のエネルギー自給率 】はOECD加盟国35か国中 ワースト2位!
日本のエネルギー自給率は、わずか9.8%という低い水準です。

【日本の資源確保の状況】
日本は石油や石炭と云った資源に乏しく、原油は約88%が中東地域に依存しています。

エネルギーは安全保障です。
政治的な要因で、突然石油や他の資源が入ってこない事の無い様に、エネルギー自給率を上げる事は、エネルギーの安全保障問題であると考えます。
だからこそ、私は有限のエネルギーではなく、無限に降り注ぐ太陽や風力といった自然を活用した再生可能エネルギーの拡大にこそ、国を挙げて取り組むべきであると考えています。⇨ これについては、送電システムへの負荷や、安定性の確保に関する課題が聞かれましたので、また次回。

再生可能エネルギー拡大への課題については、東京電力のHPにも↓

昨年大田区にも多くの被害をもたらした台風15・19号による東電設備被害状況等のご報告を頂き、今後の風水害・震災への備えについて考えさせられます。
電柱の折損・倒壊は約2000本、
鉄塔2本の被害があり、停電件数は93万5千件にも上ります。

千葉県に深刻な被害があり、私も房総の友人の所有する森林の倒木被害除去のお手伝いに伺わせて頂きましたが、樹齢100年近くの、おじいさんが生れた頃からあるという大木の倒壊に、災害の悲惨さが伝えられました。


現場職員さん達の停電復旧に向けた作業、倒木下木々も多く、復旧作業の困難さを目の当たりにし、全国の電力会社の協力、自衛隊の皆さまのご協力も頂きながらの復旧作業に、
〇被害状況を把握した復旧見通しの策定・公表の必要性、
〇現場の作業員が不足していたため、復旧の長期化への懸念
〇現場職員が不眠不休で作業に当たってしまう為、休憩や睡眠を確保できる管理体制の構築等、実際に復旧作業にご尽力を頂いた現場職員の皆さまのお声も伺いました。
今後の風水害・大規模災害時における電力のレジリエンスを構築する為
の課題として
〇大規模災害時における、早期復旧に向けた安全衛生の確保について
〇大規模災害時における、国・自治体・東京電力の連携、共同の仕組みづくりについて(現場実態を踏まえた復旧見通し策定含む)
〇電力システム改革と被害復旧体制構築を含む、電力レジリエンスとの整合について
〇現場努力の見える化の必要性について等

電力供給の中枢を視察させて頂きありがとうございました。
東京都民の皆様の暮らしと社会経済を維持する為に欠かせない電力の安定供給について、持続可能な電力の在り方について、意見交換をさせて頂き、現場の声も伺いながら、都民一人ひとりへの節電意識の啓発、災害対策の一層の強化に取り組んで参りたいです。


本日は、午後より環境建設委員会です。
ぜひ、引き続きお声をお寄せください。