【令和2年第1回定例会最終日 都民ファーストの会東京都議団を代表して賛成討論を行いました】


私は、都民ファーストの会東京都議団を代表し、知事提出の全議案ならびに議員提出議案第3号に賛成し、その他の議員提出議案に反対する立場から討論を行います。

 

これまで私たちは、新型コロナウイルス感染症の拡大の兆しがみえた早期から、事態の変化に即して幾度となく緊急要望を行い、感染拡大の防止、相談・検査・医療体制の強化、経済対策、学校休校に伴う対応、情報発信体制の強化などを求めてきました。都がその多くを取り入れ、総額500億円を超える緊急対策を早期に取りまとめてきたことを評価します。

 しかし、2日連続で40人以上の感染が確認された都内感染者の急増など、コロナウイルスとの戦いは刻一刻と事態が変化しており、首都東京は、感染爆発が懸念される重大局面を迎えています。

その観点から、小池知事が都民の行動変容を促すため、「首都封鎖」の可能性への言及、3つの「密」を避けるべきこと、そして、他自治体とも連携しながら、不要不急の外出を控えるよう広く呼びかけていることなどは、極めて重要な取組です。

今後も、区市町村とも連携し、あらゆる広報手段を投入して、買い占め防止の呼びかけや、障がい者や外国人にも配慮した情報発信なども含め、都民の行動変容に向けた取組を更に強化するとともに、「緊急事態宣言」も視野に入れ、事態の変化に即した迅速な対応を求めます。

 

また、大規模イベントの中止等を求めることは都民を守るために極めて重要ですが、あわせて、中止等に伴う事業者への支援のあり方も検討すべき課題です。都立学校の新学期以降の方針に関しても、事態の推移を慎重に見据えながら、柔軟な変更も視野に入れることを求めます。

 

コロナウイルスの経済的な影響は、リーマンショックを超えるとの指摘もされています。感染拡大を早期に抑え、通常時の経済活動を取り戻すとともに、観光・宿泊・飲食・芸術文化・交通など特に影響を受けやすい産業や、ひとり親や非正規労働者など、しわ寄せを受けやすい都民の生活に対する迅速な支援が必要です。そして、次年度以降も、補正予算の編成を躊躇することなく、柔軟かつ大胆な対策を講じていくことを求めます。

 

加えて、これまで都が推進してきたテレワークや時差出勤、スマートスクール等の重要性があらためて確認されています。サプライチェーンの変更やインターネットを通じた販路の拡大などのビジネスモデルの変革や、オンライン診療、職業訓練の強化などを含め、コロナウイルス対策を、未来を見据えた様々な社会変革につなげるための取組もあわせて求めます。

 

さて、令和2年度予算には、歴史的な転換点に直面する東京にとって必要不可欠であり、私たちが求めてきた、都民生活にとって欠かすことのできない大切な事業が数多く盛り込まれています。

 

子育て支援に関し、都が示した合計特殊出生率2.07の目標実現のため、私たちが強く求めてきた「ママパパ子育て応援事業」多子世帯や多胎児を育てる世帯への支援の加速、歴史的な減少を示している待機児童対策の更なる加速などをはじめ、多様なニーズに対応した子育て支援の一層の強化を求めます。さらに、英語教育・プログラミング教育の強化や学校の働き方改革など、東京の未来を担う子ども達の教育の一層の強化を求めます。

 

健康長寿社会の実現に関し、いよいよ4月から本格施行される受動喫煙防止条例について、保健所等の体制強化、区市町村等との密な連携など、実効性確保のための強力な取組を求めます。

さらに、フレイル対策や、予防に重点を置いた認知症対策の強化、そして、ガン対策に関し、AYA世代への支援、ガンと就労、女性特有のガンへの対応など強力な施策展開を求めます。

 

スマート東京の実現に関し、我が会派の代表質問に対して答弁がありました、都のアセット開放に関する取組の全国展開やスマートポールの設置など、日本をリードする取組の一層の展開を求めます。

 

ダイバーシティの実現に関し、条例制定による犯罪被害者等への強力な支援をはじめ、ソーシャルファーム、就職氷河期世代、民生・児童委員への支援など、都民一人ひとりが、その人らしく多様な生き方を実現できる東京の実現に向けた取組の一層の強化を求めます。この観点からは、婚外子差別の撤廃に向けた意見書の提出請願に反対の会派があることは極めて残念であり、「時代錯誤」と言わざるを得ないと付言しておきます。

 

安全・安心の取組に関しては、私たちが強く訴えてきた災害時の電源確保や防犯カメラの整備促進、木密不燃化や調節池の整備、そして無電柱化などを着実に推進することを求めます。さらに、気候変動対策の強化や都市の緑化、そして鉄道ネットワークの整備など、都市基盤の着実な整備を求めます。

 

東京2020大会について申し上げます。

今週、小池知事が同席した日本側とIOCバッハ会長とのテレビ会議が行われ、大会を2021年夏までの開催へ向けて延期することで一致しました。現状を踏まえた妥当な対応と評価します。開催スケジュールや大会会場の確保、チケットやスポンサー企業への対応など、延期に伴う様々な課題を精査するとともに、アスリートや観客の安全の確保を大前提とした対応を求めます。

さらに、特に重要な課題である、延期に伴う追加費用については、今後、関係各所との調整が行われるものと理解していますが、都民の理解が得られる金額、そして負担割合でなければなりません。世界全体に感染が拡大している「パンデミック」の状況下での大会のあり方は、もはや東京という一都市の問題を超えており、IOCのバッハ会長と安倍首相の会談で延期の方針が確認されたことも踏まえ、IOCや政府による合理的な負担も求めるべきです。

私たちは、都議会の議決がなければ追加費用を含む都の予算が成立しないことを踏まえ、都議会最大会派の責任を果たす観点から、都に対し何度でも再交渉を求めることを含め、厳しく、追加の負担額・負担割合の妥当性を検証して参ります。

 

また、私たちは、組織委員会の民主的ガバナンスの強化を繰り返し強く求めてきました。私たちが議員提案しました「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に係る文章等の保管及び承継に関する条例」は、組織委員会から清算人に引き継がれた重要書類が散逸されないよう求めるもので、今後の開催都市にとってもレガシーとなる極めて重要な取組であり、各会派の賛同を改めてお願いいたします。

今後、延期に伴い追加費用が生じることを踏まえると、組織委員会に対する民主的ガバナンスをさらに強化する必要があります。都議会議員や都庁職員を組織委員会の意思決定層に新たに追加するなど、民主的ガバナンスの強化は極めて重要な課題と指摘しておきます。

 

さて、文教委員会での議員提案条例や、予算特別委員会など、本定例会の審議の過程において、私たちは、緊急時に一層強く求められる議員としての品格、そして、議員の基本である、正確な事実や合理的根拠に基づいた質問の重要性をあらためて強く認識しました。今後も私たちは、議員としての品格、そして実力の向上に向けて全力で努力して参ります。なお、執行側の答弁を、自己に都合が良いように一方的に解釈して宣伝する行為は、議員としての品格・実力の双方から大いに問題があるものと指摘しておきます。

 

私たちはこれまで、「ふるい議会を新しく」「自分ファーストの議員から都民ファーストの議員へ」など、真に都民の利益を代弁する都議会となるべく活動を続けて参りました。令和2年度予算にも、私たちが進めてきた「東京大改革」「都民ファースト」を体現する多くの施策が盛り込まれています。この予算に賛同される方が増えることは、私たちが進めてきた「東京大改革」の正しさを示すことにもつながり、大いに歓迎するものです。

私たちは、例えば、「対立候補を見つけられなかったので賛成」などではなく、常に「都民の利益にかなうか否か」を判断の軸に据え、コロナウイルスとの闘い、東京2020大会の成功など、多くの課題を抱える都政の着実な推進のため、都民ファーストの都政の継続に全力で取り組んでいくことをあらためてお誓いし、討論を終わります。