令和元年第4回定例会の大きな柱の1つが『就労を望む誰もが一人ひとりの個性と能力を活かして活躍できる社会を目指す【東京にソーシャルファームを根付かせる】為の条例が提出をされており、私も会派のソーシャルファーム推進プロジェクトチームのメンバーとして、この課題に取り組んで参りました。


【ソーシャルファーム】日本では馴染みが無い!知事の思いつき!と本会議で否定的な会派(自民党と共産党さんは残念ながら)も有りましたが、


現在障がい者の働く福祉作業所の工賃が平均月収1万5千円程度なのをご存知ですか?


障がい当事者もご家族も高齢化し、親なき後の居場所と生活の不安を抱えている方が多くいます。

そういった不安に寄添い、自立を支える新たな働き方。

ソーシャルファームは、ドイツや韓国ではすでに法制化され、就労に困難を抱えた方が生き生きと働く社会の実現に向けて、新しい施策であるからこそ、東京から国に先駆けて、取組む意義があると感じております。


そして、ソーシャルファームの定義は、障がい者雇用の推進のみではありません。ひとり親、ひきこもり、就職氷河期と言った、様々な理由で就労に困難を抱えた方々に寄り添う、伴走型の就労支援の在り方に向けて。


昨日の経済港湾委員会では、白戸都議が会派を代表して質疑をされました。

【ソーシャルファーム】の条例化の意義・就労支援の在り方・就労困難者の定義・今後の方向性等、都でより良い施策にする為に、また、都民の理解を深める為にも良い質疑でしたので、ぜひご覧下さい。


【令和元年度第4回定例会 経済・港湾委員会質疑】


このたび、「都民の就労の支援に係る施策の推進とソーシャルファームの創設の促進に関する条例」が提出されました。

ソーシャルファームについては小池知事が衆議院議員時代に超党派の議連を立ち上げてこられたこと、また、都知事就任直後の所信表明演説の中でもふれられたことなど、大きな思い入れを持って取り組まれてきた政策のひとつと理解しています。

 

都民ファーストとしても、昨年の第二回定例会、第三回定例会と代表質問を通じて質疑をしてきました。今年の1月には、会派内に、弁護士や精神科医、元企業経営者、元個人事業主、研究者、基礎自治体議員時代に地域密着で就労支援に取り組んできた議員、などによるプロジェクトチームを立ち上げ、「伴走型」の制度構築を行うべきことなどを主張してきました。私たちも、今回の条例の提案を歓迎しているところです。

 

ソーシャルファームについては、ダイバーシティ、ソーシャル・インクルージョンを実現するためにも、極めて重要なものであると受け止めてきました。国においても、人口減少と少子高齢化が急速に進展する今後の社会において「一億総活躍時代」の旗を掲げ、意欲や能力を活かして、生き生きと社会で活躍できる国の姿を描こうとしています。


重要なことは、こうした中で、国に先駆け、都がソーシャルファームを柱に据えた取組を始めることです。意欲的で、新規性が高く、チャレンジングな取組だと思いますが、これにより、「福祉」から「経済領域」へ働き方をシフトできる社会環境を作ることができます。

 

人口減少社会、少子高齢化の進む社会において、ソリューションを提示することは決して簡単なことではありませんが、PDCAサイクルを回し、試行錯誤を繰り返しながら、知恵を集め、工夫し、あるべき姿について模索していかなければならない取組が、ソーシャルファームです。都がこの取組を進めていくことを評価するものです。

 

質疑を通じて、今後、どのように取組を進めていくべきか、またどのような課題があるのか明らかにしたいと思います。


Q1(条例案の検討経緯)

まず、今回提案されている条例案やソーシャルファームについて検討してきた経過を伺います。

 

A1(今後の方向性)

○  昨年9月の都議会第三回定例会で、知事が、「ソーシャル・インクルージョン」の考え方に基づき、都民の就労を応援する新たな条例の検討を表明したことを受け、都は11月に「就労支援のあり方を考える有識者会議」を設置

○  この有識者会議では、ほぼ1年をかけて、障害のある方、生活困窮者、ひとり親、児童養護施設の退所者、刑務所出所者、ひきこもりの方への就労支援のあり方やソーシャルファームについて議論

○  会議の各回では、テーマごとに、知見を持つ専門家や現場で就労支援を行っている方などにプレゼンテーションをしていただいた。ソーシャルファームについては、第2回の会議で、知見を持つ委員からプレゼンテーションをしていただき、議論を行った

○  この会議での議論と併せて、障害のある方の家族の団体やひきこもりの方への支援を行っているNPO法人など、様々な関係団体を訪問し、現状や行政の支援についての意見を伺った

○  また、多くのソーシャルファームが活動しているドイツと韓国を訪問し、調査

○  8月には、有識者会議での議論や聴取した意見を踏まえて「条例の基本的な考え方」を取りまとめ、パブリックコメントを実施

○  11月には、有識者会議から、最終的な報告書が提出されている

 

 

質問】就労支援のあり方やソーシャルファームについて、1年間かけて、有識者会議での議論や、様々な団体を訪問しての調査など、しっかりと検討を行った上で、条例案を策定したことが確認できました。

一部では、「議論が不十分」などの主張がありますが、これだけの時間をかけて丁寧に検討し、それを踏まえて提出された条例案であると、受け止めさせていただきます。


Q2(ソーシャルファームについてのパブリックコメントの結果)

次に、ただ今、パブリックコメントを実施したとの答弁がありましたが、ソーシャルファームに関して、パブリックコメントでどのような意見があったのか伺います。

 

(今後の方向性)

○  パブリックコメントでは、「ソーシャルファームは、支援策として大きな一歩であり、全国に広がることを期待する」、「今の日本が抱える問題のかなりの部分への有力な対応策である」、「経済と福祉の課題を統合的に解決する効果的な施策である」などソーシャルファームに期待する意見が多数寄せられている

 

 

ソーシャルファームは、就労に困難を抱える様々な方の活躍の場となる新たな枠組みであり、その創設や活動への支援は全国で初の取組となります。パブリックコメントの結果を見ても、都民からの期待は大きく、この取組が注目されていることが分かりました。

 

ぜひとも、この東京にソーシャルファームを誕生させ、根付かせるために、局一丸となって取り組むことはもとより、各局とも連携して、都庁一丸となって、全力で取り組んでいただき、一つでも多くのソーシャルファームが誕生するようお願いします。


Q3(条例制定の意義)

では、今回提出された条例案について、伺っていきます。

ここであらためて、今回の、条例案提出の意義について伺います。

 

(今後の方向性)

○ この条例案は、ダイバーシティの実現に向け、「ソーシャル・インクルージョン」の考え方に立って希望する全ての都民の就労を支援することを目的としている

○ また、施策の面では、これまでも行ってきた都民に対する支援、事業者に対する支援の強化を図るとともに、就労に困難を抱える方に向けてソーシャルファームという新たな枠組みで就労を支援することとしている

○ こうした都の就労支援の考え方や施策展開の基本的な方向を、明確にお示しすることが、今回、条例案を提出する意義と捉えている

 

 

「ソーシャル・インクルージョンの考え方にたって、都民の就労を支援する」、これが今回の条例において、重要なポイントだと思います。条例制定後には、この考え方が広く都民の皆様に広まるよう、普及にも努めていただきたいと思います。



Q4(就労困難者の定義・第2条)

次に、「就労に困難を抱える方」について確認します。この条例案では、第2条で「就労困難者」の定義がありますが、どのような方が対象となるのか具体的には示されていません。

有識者会議でも、「就労に困難を抱える方」の対象は幅広く、その定義については議論になってきました。

有識者会議の議論を踏まえ、就労困難者をどのような方と考えているのか、伺います。

 

(今後の方向性)

○ 有識者会議の報告書では、「就労に困難を抱える方の例は、数多くあり、範囲を定めることは容易ではない。条例では具体的に列挙するのではなく、概括的な表現にとどめ、今後実施するそれぞれの支援事業において、各事業に適した対象者を具体的に定めていけば良い」と提言

〇 これを踏まえ、条例案では就労困難者について、「就労を希望しながら、様々な事由により就労することが困難である者であって、その者の配慮すべき実情等に応じた支援が必要なもの」と定義

〇 今後実施するそれぞれの施策において具体的な対象を定めていく

 

 

有識者会議の報告書のとおり、私も、就労に困難を抱える方を、一つ一つ条例に具体的に列挙するのは困難であると思います。

また、就労に困難を抱える方は、様々な方が想定されますが、条例で具合的に列挙することで、かえって、制限されてしまうことも考えられます。条例には、概括的なとどめ、個々の施策ごとに、対象となる方を定めていくことで、施策の実効性も高まり、その施策を必要とする方に届けることができると思います。

 

Q5.(目的・第1条)

次に、第1条で規定している目的についてお聞きします。

第1条の中では、「就労を希望するすべての都民」への就労の支援が示されています。

この規定で、あえて「就労を希望する」とした意図について、見解を伺います。

 

(今後の方向性)

〇 就労の支援は、求職者本人の「働きたい」という意欲が前提であり、本人の意向に反して就労を押し付けることがあってはならないと考えている

〇 このため、本条例案では「就労を希望する全ての都民」に対する就労の支援について述べている

〇 なお、様々な事由から、就労の意欲を失っている方などに対して就労に向けた意欲喚起を図る等の後押しを行うことも重要な取組と考えている

 

 

就労支援は、就労に意欲のある人に対する環境整備のための政策だと理解しています。そして、ケースによっては、福祉政策とも連携した支援が必要になります。

 たとえば「ひきこもり」の方の場合、無理に外に出して働かせようとすべきではありませんが、一方で、いざ本人が外にでて働きたいとなったときに、いきなり本格的に働き始めることに困難があるケースもあります。

また、障がい者については就労継続支援A型・B型等の事業所があり、そこで、生き生きと働いている方もいらっしゃいます。

本人の意向を第一に考え、本人の意向に沿わない就労支援とならないようにする意図であることが分かりました。


Q6(条例の基本理念・第3条)

次に、条例第3条の基本理念について確認します。

SDGsの目標の一つに、ディーセントワークの促進があります。その人らしく、やりがいを持った働き方です。

小池都政においては3つのシティの一つであるダイバーシティの実現を目指して様々な政策が行われてきました。例えば、女性活躍に向けた待機児童対策や子育て支援政策、受動喫煙防止、障がい者差別解消条例、「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」「児童虐待防止条例」、「犯罪被害者支援」についても条例化が検討されています。

本条例については、雇用就業の分野における重要な社会政策であると受け止めています。

そこでこの条例の制定によって、ダイバーシティの実現にどのように寄与していくのか見解を伺います。

 

(今後の方向性)

〇 条例案では、「ソーシャル・インクルージョン」の考え方に基づき、就労を希望する全ての都民の就労を支援することとしている

〇 なかでも、就労に困難を抱える方に対しては、その実情に配慮した支援を行うとともに、就労の新たな枠組みとしてソーシャルファームの創設と活動を促進することを規定

〇 今後、こうした就労支援施策の充実強化を図り、多くの方の個性や能力に応じた就労を実現することにより、多様な方が生き生きと働き、活躍できるダイバーシティの実現に寄与

 

 

ぜひとも、この条例によって、ダイバーシティが実現されることに期待したいと思います。


Q7(就労に困難を抱えるに対する支援・第8条)

次に、第8条2項の就労に困難を抱える方への支援について、お聞きします。

条例案では、「就労に困難を抱える方に対しては、その者の配慮すべき実情等に応じた支援を行う」と規定されていますが、具体的には、どのような支援を行うのか伺います。

 

(今後の方向性)

〇 就労に困難を抱える方に向けては、それぞれの事情を的確に受け止め、それに合った支援を行うことが必要

〇 今後、しごとセンターにおいて、こうした方々の様々な就労相談に専門スタッフが対応し、適切な支援に繋いでいけるよう、ワンストップの相談体制の整備について検討

 

 

 就労に困難のある方への支援というのは、一人ひとり抱える状況が異なると思いますので、ご答弁にあったように、ます「的確に受け止める」こと、そしてその人に合った支援へと「繋ぐ」ことが重要と考えますので、ぜひ、就労に困難のある方に向けた相談体制の整備について、取組の強化をお願いします。

 さらに、就労を希望しながらも、職に就けていない方の中には、ご家族の事情が理由となっているケースもあります。そうした方への家族を含めた支援についても、あわせて検討をお願いします。


Q8(事業者に対する支援・第9条)

次に、第9条の事業者への支援について確認します。

条例案では、事業者が実施する「働きやすい職場環境の整備」などについては、就労に困難を抱える方の「配慮すべき実情」に応じて行われるよう、都が支援すると規定されています。

例えば、障害者を雇用する事業者の皆様には、この「配慮すべき実情」について丁寧に対処いただき、職場環境の整備などを行う必要がありますが、それに対する都や専門家からの支援も必要です。

条例で規定した就労に困難のある方の雇用に関して、都が事業者へ行う支援とは、どのようなものか伺います。

 

(今後の方向性)

〇 就労に困難を抱える方を雇用する事業者に対しては、困難を抱える方が働きやすい職場環境づくりが進むように適切に支援することが必要

〇 都はこれまでも中小企業等に対して、障害者を雇用するに当たっての留意点や、障害者に向けた仕事の切り出し等のノウハウを提供するためのセミナーの実施や専門家の派遣などを行ってきた

〇 今後、就労に困難を抱える多様な方々を対象として、こうした取組の拡大を図っていく

 

 

事業者に、ソーシャル・インクルージョンの理念や、就労に困難のある方の雇用について理解していただくためには、都によるきめ細かな支援が必要だと思いますので、しっかりと支援に取り組んでいただくよう要望しておきます。



→続く