本日は、厚生委員会における予算調査最終日。これまで、福祉保健局、病院経営本部において会派の各委員が質疑・要望してきた意見を取りまとめ、会派を代表し今年度予算に関する意見開陳を述べさせて頂きました。

 

【 平成31年度予算 厚生委員会 意見開陳】

 都民ファーストの会東京都議団 もり愛

平成31年度予算は、「東京2020大会を推進力とし、東京が成熟都市として新たな進化を遂げ、成長を生み続けられるよう、未来に向けた道筋をつける予算」として、第1に、局横断的な連携や、行政にはない新たな発想の活用により、「セーフシティ」、「ダイバーシティ」、「スマートシティ」を実現するための戦略的な施策を積極的に展開すること、第2に、ワイズ・スペンディング(賢い支出)の視点により、自立的な都政改革を不断に推し進め、一層無駄の排除を徹底し、健全な財政基盤を堅持すること、第3に、東京2020大会の開催準備の総仕上げを着実かつ効率的に進めること、の3点を基本に編成されています。

 

一般会計予算7兆4610億円、特別会計と公営企業会計を含めた全会計予算149594億円の平成31年度予算には、防災対策や都民に身近な犯罪対策、国際金融・観光都市対策、中小企業対策、ゼロエミッション対策、未来を担う人材の育成対策、待機児童対策、児童虐待対策、女性活躍対策、、高齢者対策、多摩島しょの振興など、都民生活に取って欠かすことができない、大切な経費が盛り込まれています。

他方、都財政については、今後の人口減少、少子高齢化の影響を織り込み、また、歳入面では、国による都税の収奪に加え、景気変動に大きく影響を受ける法人2税の割合が高いことを踏まえれば、都民のための施策を持続的に行うために強い財政基盤が必要です。

そのため、東京2020大会を成功させ、これを推進力として東京の「稼ぐ力」を充実させるとともに、費用対効果分析を踏まえた政策評価・事業評価を徹底して予算の効率化を図り、東京2020大会後を見据えた大胆な行政改革にも着手していく必要があります。

今後とも、いかなる状況のもとにあっても、都民ファーストの視点から、3つのシティの実現に向けて、東京が成熟都市として新たな進化を遂げ、成長を生み続けられるよう、効果的でスピード感のある政策の実現を強く要望致し、各局事業について述べさせて頂きます。

 

まず【福祉保健局関係】について申し上げます。

 

一、待機児童解消を図る為に地域の実情にあった多様な保育二ーズに対応支援すること。

また、ベビーシッター利用支援事業を区市町村が円滑に利用できるよう支援すること

一、認可外保育施設に対する巡回指導チームを強化すること。区市町村と連携し改善が必要 な施設に対して指導強化すること。

一、産後うつの予防や新生児や乳児への虐待防止を図る観点から、出産間もない時期の産婦に対する産婦健康診査事業や産後ケア事業を一層進め支援が必要な産婦を早期発見、支援につなげること。

一、各種の災害対策を一層推進すること。

一、乳児用液体ミルクの備蓄を検討し、災害時の有効性を検証するとともに、普及啓発を進めること。

一、病児・病後児保育の広域利用の推進と区市町村の実情に応じた体制整備を図ること。

一、学童クラブの質の担保が図れるよう助言するとともに、都型学童への移行支援を引き続き行うこと

一、幼児教育無償に伴う給食費や差額補助に取り組むこと。

一、セクシャルリプロダクティブヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)に基づいた普及啓発と性教育等も含め、未受診妊婦対策をより積極的に進めること。

一、子どもを虐待から断固守るという強い決意のもと、児童虐待防止をより積極的に進めること。

区市町村・関係機関・民間団体・警察等との連携を一層推進すること。早期発見のみならず、未然防止及び家庭の再統合など重層的に取り組みを強化すること。

児童相談所及び一時保護所の人員を拡充するとともに、専門性を高め、人材育成を図る  こと。

児童相談所への常勤弁護士配置を検討し、効果的な体制を整備すること。

児童相談所の移管に向けては、区市町村とより一層情報共有・連携し、整備に向けた支援を行うこと。

一、叩かない、怒鳴らない子育ての啓発をあらゆる機会を通して啓発すること。

一、子どもの意見を尊重し、気持ちに寄り添い、子どもの最善の利益を図ること。

一、「東京都子供への虐待の防止等に関する条例」については、制定後も不断の検討を加え、より良い条例及び体制をめざすこと。

一、児童相談センターや児童相談所は、区市町村や保健分野と効果的に連携すること。

児童心理士・児童福祉士が、より長期にわたってケースワークを続けられること。

一、社会的養護において児童の措置は、養育家庭委託を最優先とすること。意思表示を明確にできない児童には、アドボケイターをつけ、スペシャルニーズは療育を受けさせ、性的マイノリティであると思われる児童に対しては配慮する体制を作ること。

一、民間あっせん事業者と児童相談所がしっかりと連携し、里親開拓やフォスタリング支援を行い、「こどもの権利」という視点からも特別養子縁組をこれまで以上に推進すること。

一、子どもの貧困対策強化、学習支援・子ども食堂・親支援など市区町村と連携し、地域全 体で子ども達を育む地域交流拠点としての子ども食堂事業が進むよう支援を強化すること。

一、ダブルケア家庭の支援に向けて、実態調査など必要な対策を講じること。

一、平成31年度より福祉保健局に移管されるひきこもり支援については、青少年・治安対策本部からの引継ぎをしっかりと行うとともに、職員体制強化、福祉的資源を活用し、当事者と家族の声を施策に汲み上げながら、8050問題等家庭を統合した支援を図ること。

一、障がい者差別解消条例の定めた合理的配慮の提供の義務化に伴い、心のバリアフリーが 東京2020大会のレガシーとなるよう、一層の理解促進に取り組むこと。

一、障がい者差別への理解促進に向けて、都の職員、都内企業の研修にDET障害平等研修を取り入れること。

一、ヘルプマークの更なる普及と「耳マーク」の案内版の表示に対する周知を図ること。

一、障がい者歯科医療の一層の支援体制の充実に取り組むこと。

一、福祉人材の定着や生産性向上に資する取り組みを強化すること。

一、聴覚障害者における手話言語及び中途難聴失調の筆談等、特性に応じた配慮がなされる よう支援の促進を図ること。

一、保育所等訪問支援事業において作業療法士など専門性が高い職員を派遣できる体制を強化すること。

発達障害などを早期に発見し支援につなぐ「知的障害児等療育支援事業」や、区市町村の巡回相談などを強化すること。

一、重症心身障害児や医療的ケア児が保育サービス・児童発達支援事業・放課後等デイサービスを利用できる体制を強化すること。

一、児童発達支援センターを、各区市町村に早急に1ヶ所以上設置すること。グループホームや通所施設などの基盤整備を推進すること。

一、東京都受動喫煙防止条例及び東京都子どもを受動喫煙から守る条例施行に伴い、区市長村や関係機関及び関係団体と連携し、周知と啓発を強化し推進すること。

学校周辺路上や公園等の屋外における受動喫煙防止にも、一層取り組むこと。

区市町村が飲食店に向けた啓発の個別訪問を効果的に行うことができる体制を整備すること。

一、タバコの喫煙率の減少に向けた取組みを一層推進すること。

禁煙教育を推進すること。

一、各区市町村の路上喫煙対策の状況を調査の上、広く都民に情報発信していくこと。

一、関係各局・関係機関と連携の上、住宅における受動喫煙問題について検討し、禁煙マンション・禁煙アパートの普及を推進すること。

一、医療と介護が連携したフレイルの多面性に応じた総合的な対策を検討し、各区市町村への普及啓発と事業支援を積極的に進めること。

一、フレイルチェックを導入し区市町村が行うフレイル予防事業の支援と、健康長寿医療センターの知見を生かすこと。

一、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせる地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みを進めること。

一、がん対策の一次予防の受診率を向上させ、二次検診の精検受診者が区市町村に結果を伝えるよう検診方法や制度管理の充実を図ること。

一、東京都長寿医療センターや、東京都医学総合研究所が開発する認知症研究などの成果を施策に反映すること。

一、特別養護老人ホームの計画的な整備や、身近な地域での在宅サービスの基盤整備を図ること。

一、認知症がある家族を介護する者に対する支援を強化すること。

一、住居喪失者や不安定就労者等を支援すること。

一、長期化・高齢化したホームレスを生活保護に結びつけるための支援を、市区町村とより連携して行うこと。

一、アルコール・薬物・ギャンブル等その他の各種の依存症対策を推進すること。

一、急増する海外からの訪都旅行者、都内在住の外国人に対する精神科救急医療体制を推進すること。

一、東京2020大会開催に向けた感染症対策を強化し、発生抑制対策など推進すること。

一、殺処分ゼロに向け保護動物の譲渡の促進や動物愛護団体への支援の充実、動物愛護相談支援センターの機能強化を図ること。

終生飼養、譲渡啓発をしっかりと進め、殺処分に至る動物の根絶に引き続き取組むとともに、都として「終生飼養、譲渡啓発」に協力的な動物販売業者の推奨を行うこと。

不明動物を減らすため、マイクロチップの埋め込みの義務付けを検討すること。

一、動物愛護の推進、動物との共生社会の推進の観点から、動物愛護センターの早期の移転および動物愛護精神に則ったセンター建設を進めること。

都庁で最も大きな予算規模の、福祉保健局のすべての事業の立案に際し、数値目標の設定、効果の把握等の視点を要望し

次に【病院経営本部関係】について申し上げます。

 

一、高度化、多様化する都民の医療ニーズに対応できるよう「行政的医療」の充実を図ること。一般会計繰入金の支出に対し引き続き検証を行うこと。

一、多摩メディカル・キャンパス整備基本構想及び整備基本計画(案)に沿って、キャンパス内の相互連携体制を一層強化し専門性の高い医療の提供を図り、もって、多摩地域全体の医療水準の向上を図ること。

一、医療の高度化、専門化、ICTの進展に適切に対応し、安定的なシステム運用の継続に向けて、電子カルテシステムの計画的な更新を進め、医療サービスの充実を図ること。

一、患者や家族への相談支援体制の強化に向け、東京都難病相談・支援センターなどの施設との連携を推進し、情報の積極的発信に努めること。

一、若手医師の確保育成に向け、「東京医師アカデミー」の運営強化を進め、勤務医不足が顕著な診療科の育成の充実を図ること。

一、都内に居住·滞在する外国人への安全·安心の医療を提供し、東京2020大会に向けた医療体制の強化を図ることを要望し、意見開陳を終わります。