大好きなおじいちゃん 
そして、いつでも私が子どもに戻れるタイムマシーンの様な場所。思い出のいっぱい詰まった祖父母の家・父の生まれ育った家が「空き家」になってしまう日。

大田区内だけでも6万戸もの空き家は深刻な課題だが『都市の空き家問題』は決して他人事ではない。

96歳の祖父と93歳の祖母が、介護保険も一切使わず、行政の世話には成りたくないと、夫婦2人で暮らして来た。
祖父母の家に来ると、いつでも私は小学校時代の心に戻れる様な、タイムマシーンの様な祖父母の笑顔に包まれる幸せな場所✨

妹が産まれる際、1歳で初めて一人でお泊まりしたおばあちゃんのお布団の優しい太陽の匂いを覚えている。
曾おばあちゃんのトランクをステージにしてピンク・レディーの真似をした幼稚園時代。
祖父から送られてくる出張先からのエアメールに、世界への憧れを強めた幼少期。
小学校に入ると、帰国した祖父は毎週英語を教えてくれた。
その英語のレッスンは、大学の教科書の読解まで続き、私が辞書を引く度に、
「辞書をまだ覚えていないのか?
辞書を食べて全ての語彙を覚えたもんだ!」と言われた。

80歳まで現役で、毎朝の日課は、祖母の自家製パンとマーマレードにコーヒー。
趣味のゴルフは、90歳を過ぎる迄現役✨
海外からの電話と歴史小説と株価をチェックする 頭脳明晰なおじいちゃん。
玄関の季節毎の華道、お料理も手作りパンも編み物も得意で、主婦の鏡の様なおばあちゃん。

おばあちゃんが腰を痛めて入院したとたん、元気の無くなってしまったおじいちゃん。
本当は、大好きなこの家で、ずっと祖父母に元気で居て欲しい。
でも、家族以外・介護ヘルパーさんを頑なに家に入れたくないおじいちゃん一人では、暮らすことは出来ない。
遠方から毎日通う伯母様。
私も出来るだけ祖父と一緒に居たいけれど、仕事があり横浜で同居することは困難。

悩み相談の結果、老健に入所している祖母とリハビリ後、千葉の老人ホームへ入所する事となった。

プライドの高いおじいちゃん。
いつも家では着物のおじいちゃんが、施設の生活に馴染めるかしら?

昨日の夜は、家を出る祖父の寂しそうな顔が過って、仕事上区外に住めず、私が森家の長女なのに家を守れなかったと祖父に申し訳なくて、涙が溢れた。

庭は、おじいちゃんの植えた沈丁花の優しい香りが包み、縁側の苺の花が満開だった。庭仕事が大好きで、
おじいちゃんのお庭は、すずらん・薔薇・ブルーベリー・紫陽花・みかん・柿・栗・メロン・きゅうり・ピーマン・ミニトマト
季節の花と果樹・野菜でいっぱいだった♪

おじいちゃん・おばあちゃんが一緒に暮らせて、また2人仲良く元気になって欲しい。
そして、ひ孫を見て欲しい❤

戦後日本の復興に尽力したエンジニア。
本当にたくさんの愛情をもらい、世界への憧れと学びを頂き、心から尊敬する祖父と祖母。

どうか元気で、そしてまた、この家で
お正月を毎年と同じ様に迎えられる、
有り難い当たり前に感謝して✨
家族みんなで集える事を心から願って。