6月4日

22年度 第2回 定例本会議 大田区議会民主党代表質問

大田区議会民主党を代表いたしまして、質問させていただきます。

先ほど、菅直人新総理が誕生いたしました。

 昨年の政権交代により、今年度予算は命を守る予算として「コンクリートから人へ」の理念の基に社会保障と教育に大きく予算が振り向けられ、また、無駄の根絶を目指し行われた事業仕分けでは予算の編成過程を透明化しました。

そして、改革の一丁目一番地に地域主権を掲げ、原口プランと題した地域主権戦略の行程表を策定中です。

法令等による義務付け・枠付けの緩和・廃止、国の出先機関の原則廃止、国直轄事業負担金の廃止、地方と国の協議の場の法制化などが明記されたのは政権交代が成しえた成果といえます。

新体制の基、この日本を立て直す、全員参加の一員として、私たち地方議員も、一丸となって、よりよい社会に向け改革を更に進めるために邁進してゆく決意を申し上げ、質問に入らせていただきます。

戦後日本の歩んできた大量生産、大量消費により豊かさを享受してきた中央集権型による、大企業一極集中の社会から、地方分権、中小企業の知恵が生かされ、一人一人が真の心の豊かさを感じられる社会へ、まさに時代・価値観の変革期にあります。

一昨年のリーマンショック以来続く不景気の閉塞感から脱するには、地域ごとの多様性による活力が鍵であり、

私は、日本中がオンリーワンをもつ、地域の多様性こそがこの日本を活性化させると信じております。

それには、大田区が他に類を見ない地域特性を強化し、行政としてもその指針を示して行くことが求められます。

この大田区は、区内だけでも日本の縮図といわれるほど多くの特徴、多様性を持つ自治体だといえますが、その強みは弱みでもあります。

大田区といえばコレ!という地域の個性に、より磨きをかけて自治体として意思を持って発信してゆく必要があるのではないでしょうか。

5月16日よりに行われた京浜急行電鉄株式会社のダイア改正では、品川駅と羽田空港を直通で結ぶ「新エアポート快特」が新設をされました。

京急高架化事業は、これまで長い間 開かずの踏み切りと渋滞に悩まされてきた地域にとって待望であると共に、

羽田空港国際化を控え、これから空の玄関口として羽田空港と共に発展してゆくことを描いていた蒲田の商店街のみなさんの思い、平成16年より共に連立事業を進めてきた区と京急電鉄との信頼が裏切られてしまったとの強い怒りの声が上がっております。

現在「京急蒲田駅通過問題対策本部」が設置をされ、5月15日には京急蒲田駅通過反対区民大会が開催され、大田区と地元住民の決議声明が京急電鉄に届けられましが、

京急からは未だに、新エアポート快速特急の京急蒲田駅停車については一切言及されておりません。

・京急問題における今後の区の対応について、どの様に交渉を進めてゆきますか?

京急沿線の駅では、駅の高架化によって、ホームの高さは実質4階程度ありますが、まだエスカレーターが設置されておらず、朝晩の通勤時には階段を利用しなければならない状況です。京急蒲田駅においても、バリアフリーとはとても云えない状況で、地域の方からも乗換えがわかりずらいとの声が上がっております。

2階で待っていたら1階から発車してしまい、深夜早朝ですと次の電車まで30分近く待つこととなってしまいます。

高架化によるダイア改正は、こうした駅の状況からも、地元への配慮、利用者の利便性の不備が見られ、

見切り発車ではないのかという思いがあります。

まず、現状に対して各駅停車駅も含め、高架化によって利便性が損なわれていることへの対応、エスカレーターの整備や、わかりずらい乗り換えに対するインフォメーション等、早急な環境整備を求めると共に、高架化によって金属音の騒音に悩まされている等の現状に対し、区も強く申し入れをしていただきたいと思います。

しかし、京急も民間企業です。空港アクセスという広い視点で見れば、モノレールとの時短競争という点で、やむ負えないと云えなくはありません。

羽田空港線沿線住民の中には、蒲田で止っても止らなくても、降りない人は降りないのであり、通勤の満員電車にトランクを積んだ旅行客が乗り込むよりは、旅行客と生活利用客の分離と捕らえればかまわないとの声もあります。

上下共に高架化された際の新エアポート快特 京急蒲田駅停車の確約も大事ですが、ダイヤ改正により蒲田停車分が一時間に3本減ってしまった事による近隣生活者の足としての不便を解消するための増便を求める事が必要なのではないでしょうか。

 また、高架下の利用に関して、地域から様々な声が上がっており、有効活用が望まれます。課題としての自転車駐輪場の整備、環境に優しいまちづくりとしてパーク&ライドを進める為の駐車場の整備、町会会館、消防団施設の置きこみ等、京急との協議はどの様になっていますか?お伺いします。

今回のダイヤ改正の件では、これまで一緒に事業を進めて来ながら、なぜ情報をつかむことが出来なかったのか、蒲田に止ることを当然と捕らえ協議を怠っていた大田区の怠慢ではなかったのかと声も聞かれます。今後は、ダイヤ問題とあわせて、京急に対する様々な課題に対しても、区民の願いにそえるよう、しっかりと協議を進めて頂く事を要望させて頂きます。

産業、観光政策については、後ほど質問をさせていただきますが、

京急への要望として、羽田空港を利用した旅客をいかに地域に呼び込むかという視点も必要です。

地域の観光産業とまちづくりをリンクさせるようなストーリーを描き、観光客向け

「大田区内周遊券の創設」など、新たな視点からの要望も考えてはいかがですか?

京急蒲田駅通過問題は、昨今の川崎市の目覚しい発展と品川の充実したアクセスに挟まれた大田区が、開発から取り残されて埋没してしまうのではないかという地域の不安を感じさせるものです。これまであるものと、同じようなまちづくり、同じ土俵で張り合っても同じπの奪い合いになるだけです。大田区がオンリーワンを発信すること、そして、京急が蒲田に止らざるを得ないような魅力的なまちづくり、大田区の地域ごとの魅力に磨きをかけてゆくことこそが求められています。

そうした中、政府は地域を限定して規制緩和を進める「構造改革特区」や「地域再生」といった制度により、各地域の活力の活性化を行ってきましたが、

民主党政権により更に税優遇や財政支援を行う「総合特区」制度を2011年度より創設する方針を打ち出しています。

これまでも、全国各地で、ものづくり産業分野、環境、教育、福祉と、様々な分野で独自の特区が認定され、地域の特性・ニーズに応じた多種多様な取り組みにより地域経済が活性化した事例が多くあげられ653件の提案が実現化されており、

地域再生では、地域の産業、技術、人材、観光資源、自然環境、文化、歴史など地域が有する様々な資源の強みを知恵と工夫により有効に活用しながら、自治体における自主的・自立的な取り組みが重要であり、地域経済の活性化と地域における雇用機会の創出等、地域の活力の再生を、地域の視点から積極的かつ総合的に推進するとしています。

今回の総合特区では、医療分野など国際レベルの競争に勝てる大都市数カ所を指定する「国際戦略特区」や、地域の特色ある産業の育成などを促す「個性創出特区」などが打ち出され、特区内では規制緩和に加え、諸外国を手本とした法人税の優遇措置や財政支援のほか、国からの権限移譲などの実施が討されています。

企業に対する法人税を減免する「成長戦略特区」には、すでに大阪が意欲を示しており、官民ともに特区への関心が高く空港や阪神港など国際的な物流拠点を抱え、太陽光パネルやリチウムイオン電池など環境関連事業で高い技術力を持つ中小企業が多いといった背景により、今回、成長戦略特区の有力候補と言われています。

大田区には、世界に開かれた国際ハブ空港としての羽田空港があり、かつては豊かな漁場であった豊かな水辺があり、

日本の高度成長期を支えた技術の蓄積、ものづくりがあります。

そうした立地を活かした特区が、この大田区においても可能なのではないでしょうか?

地域主権における自治体ごとの多様性が求められる中、これまで地域で培ってきた大田区の強みと立地を活かし、地域特性に磨きをかけ、新たな価値を創造することによって産業と雇用を創出するような取り組みとして、「総合特区」などの手法が活用できるのではと考えますが、区長のご見解をお伺いいたします。

例えば、医療特区として、日本国内でまだ認められていない手術や、遅くてコストが高いといわれる日本の治験に対して、海外では認められていながら日本で使用できないような新薬の利用を認める等、これまでは海外での治療に多額の負担を強いられてきた多くの患者さんを救うことが出来ますし、近年では医療と観光をセットにした医療ツーリズムも注目をされ、医療を新たな産業と捉えられる事ができるのではないでしょうか。

今年4月より、旅行会社大手のJTBは、医療ツーリズムを専門に扱う部署「ジャパンメディカル&ヘルスツーリズムセンター」をスタートさせ、医療機関が医療ツーリズムを目的に訪れる外国人を受け入れる際の受け入れサポートサービスを行っています。

タイではタクシン政権以降、医療ハブ化政策を外貨獲得として進め、民間の活力を活用し、世界最高級病院と名高い「バムルンラード国際病院」では、中東の富裕層など海外から多くの患者が訪れ、2,000年に5,000人だった患者数は、近年では10万人と言われています。

また、カジノを誘致することも昨年も陳情に上がりましたが、現在、世界では130以上のカジノがあり、世界の富裕層の社交場となっております。外貨獲得、これから自治体が少子高齢化に対応する独自財源が求められる中で、有効だと考えられます

国際化に対応した流通網のインフラ整備費の財源としても、新たな独自財源の創出、空港利用者を対象とした新たな税の創出も考えられると思います。いかがでしょうか?

「特区」の効果には、マスコミなどによる地域の知名度の向上や地域内連携の強化も挙げられる中、地域主権時代の自治体のあり方として、大田区の地域特性、大田区産業 ものづくりの底力、地域力を最大限に引き出す為の手法として、特区をぜひ活用していただき、大田区が、全国、世界にも誇るようなオンリーワンを自治体として強い意思を持って打ち出して行って欲しいと感じます。

大田区は、様々な地域資源を持ちながら、活かされていないと感じる宝も多くあると感じております。その一つが臨海部です。

先日、都がまとめている「地域産業資源活用事業の促進に関する基本的な構想」という資料を見て愕然としました。

大田区の欄に、農林水産物―なしーと記載されていたのです。

全国に名高い、江戸前の魚といえば、かつては羽田沖の海の幸を指していました。

臨海部には、大きな魅力と産業 観光資源の可能性がありながら、海を有する自治体として、臨海部を十分に活かしていない状況があります。

大田区の空港臨海部の将来像として、“空港臨海部グランドビジョン2030”が発表されました。その中でも、「世界に開かれた東京の空の玄関口としての活気ある町」への期待、国際都市大田への期待が高いと書かれています。

空港臨海部グランドビジョンは「世界を魅了するあたらしい国際空港・臨海都市」と素晴らしい絵が描かれておりますが、いつまでに、誰が(主体的に)、どの様に実現してゆくかの道筋は明らかではなく、庁内研究で発表された大田区における「国際都市」のあり方として“地域力を核とした国際都市”という言葉はあるものの、地域力の主体である住民参加のあり方が何も示されていません。

それは、今年の秋に控えた羽田空港国際化イベントについて、その全容は区議会にも、地域にも、まったく見えていないという点が上げられます。

地域力が核なのであれば、イベントのコンセプト作りから、あらゆる区内・区民団体、NPO、公募区民も交えた実働部隊としての実行委員会を立ち上げ、国際化したらどの様な大田区を見に来て欲しいのか、区民が主役になって、区民が主体的に関わってゆく仕組みが必要だと感じます。

イベントに限らず、今後、地域力を核とした国際都市を目指した地域 区民の参加について、区はどの様にすすめてゆきますか?具体的な取り組みや計画をお示しください。

また、これまでの観光施策がイベント重視であり、今後は持続可能な観光として、地域にいかに産業を作るかが重要です。

観光行政は、資金を投入しても区民が益を受けることには繋がらないとのジレンマもあり、行政が税金を投入するのではなく、産業を誘致し、地域に賑わいと仕事を生み出すような仕組みづくりが必要であると考えます。

通過型観光から滞在型観光地になりうるかー大田区を目的地として観光に来る観光客は少ないとしても、羽田空港旅客に対して、羽田を利用したのならば必ず立ち寄りたい!というようなまちづくりが求められています。

「見る 食べる 参加する 」が観光の3大要素といわれています。

 見るー羽田の町は、美しい海辺の夕日や、防波堤からの懐かしい昭和の景色は釣りバカ日誌のロケ地にも使われ、何とも懐かしい情緒をかもし出しています。

以前常任委員会の地域産業で視察に行った大分県豊後高田市では、昭和の街並みを再現したことにより、閑散としていた商店街に多くの観光客を呼び戻すことに成功しました。また、以前視察に行った出雲市では、松江の堀に屋形船を復活させ、白壁に瓦屋根の風情ある城下町の佇まいが人を呼ぶ街並みを形成していました。

大田区内にも、地域ごとの特色を出すことで地域が歴史的に持っている資源に磨きをかけることが出来ると考えます。

かつてはキネマの天地と云われた、どこか懐かしい下町らしさを蒲田ロマンとして。池上駅から本門寺までを門前町としての風情、羽田ではかつて猟師町として栄えた江戸文化の粋がぴったりだと感じます。

地域商店街と連携をし、改修のための助成金制度等、街並み誘導型の景観作りはできないでしょうか?

食の面では、まさに蒲田は世界中の食を安く楽しむことができる食の街ですし、羽田はかつて、全国でも有数の漁業で栄えた海のリゾート地でありました。

先月、川崎で潮干狩りで賑わう様子がニュースで流れていました。

現在も、羽田沖では多くのアサリが取れ、今年も地元の漁師の方とテトラポットに打ち上げられる多くのゴミー時折、日本のものではないようなゴミもたどり着くのですが…を拾いに行った帰りに、山のようなアサリと青柳を取ってきました。

とても豊かな漁場がすぐ近くにあるんです。この東京に!

しかし、現状では潮干狩りの出来る砂浜は大田区には整備をされていません。

ふるさとの浜辺は、小豆島から運ばれた白砂がひかれておりますが、海老取川河口には、泥がたまり、防水上の視点からも大変危険です。多摩川からの豊かな土であると聞きました。


海老取り川の浚渫も兼ね、空港跡地岸等に、潮干狩りの出来る砂浜を整備してはいかがでしょうか?その際、潮干狩りの入場料を設定し、砂浜の維持管理費をまかなう等、産業としての視点が必要であると感じます。都との連携が欠かせないとは思いますが、大田区の財産として、ぜひ実現していただきたいです。

また、暫定係留場は都の管轄ですが、船着場としてはお手洗いや水道も完備されておらず、大田区で舟を所有している人も、横須賀のマリーナを利用している状況があるなど、海に面していながら、舟で楽しむ場所がないというのは残念なことです。

今後の、舟利用の方向性、係留施設等の整備についていかがお考えですか?

観光の視点からの水上バス、水上タクシーの可能性 羽田と大田市場 羽田と浅草方面等 観光ルートとして検討はされておりますでしょうか?

緊急・災害時の遊漁船組合との防災協定も必要だと考えますが、いかがですか?

2015 年には、東京国体が開かれ、京浜島でのカヌー競技開催が決定しております。江東区ではすでに昨年5月より、選手育成を目的として23区で初めて中学校にカヌー部が創設され、今年1月の千葉県知事杯カヌー競技大会に出場し、区、教育委員会が全面的に応援しています。大会が開催される地元大田区にあって、まだ東京国体のカヌー競技が区内で行われることの周知も低い事は残念です。

現在は、区内のカヌー協会も設立されようとしています。

他区に比べ、多摩川、ふるさとの浜辺と、カヌーの練習場所にも恵まれている大田区です。


ぜひ、地域の中学校でもカヌー部をつくり、2015年の国体に大田区の地元から出場するような選手を育てることが出来れば、子どもたちがスポーツを通じて夢をつかむ可能性を広げ、素晴らしいと思いますが、いかがですか?


また、ボート免許の試験場は都では2箇所しかありません。ぜひ、海辺の都市として、積極的に地域 区民が海と親しむ環境作り、舟を身近に利用できるような整備を行うべきだと考えますが、いかがですか?


羽田旅客へのアンケートの中に、時間があれば行ってみたい場所として、商業施設と共に高い要望があるのがテーマパーク・スパという要望です。大田区には、都心には珍しい天然温泉 黒湯があります。

町の中の銭湯に足を運んでいただければ一番いいのですが、飛行機の乗り継ぎの2,3時間をいかに大田区で過ごしてもらい、そういったお客さんを呼び込むことでいかに地域が潤うかーということが問われます。

大きな施設でなくても、大田区の物産や文化を集め、大田区の銭湯組合の方に運営していただくような温泉施設を望む声もありますがいかがですか?