子どものころ

2階の教室の窓から 紙飛行機を 飛ばした。

退屈な授業から 抜け出したくて

ノートのきれっぱしで作った紙飛行機

息苦しい場所にいる自分の代わりに

ゆるやかに 風にのって 

白く どこまでも飛んでゆくはずだったのに

まっさかさまに落下して

見えなくなってしまった。

それでも 先生の目を盗んで 何度も

飛ばしたような。

遠足の前の 照る照る坊主も

たなばたの短冊も

流れ星のたびに夢中で祈った言葉も

なぜ あんなにたくさんの 願いがあり

すらすらと 祈ることが出来たのだろう。

祈りの言葉は 

ただ自分のために

ささやかでも 自分自身の 明日に

つながるものだった。

今日 私の誕生日だった。

ろうそくの炎を 吹き消す前に


毎年 家族や 愛する人たちのために

唱えた言葉を

 今年 

自分だけのために祈った。

自分の明日と 喜び 

ただ 

それだけを祈った。

光の中を 白く ゆれながら

落ちていった紙飛行機

あの輝きを 

翼を広げたいと願った あの日を

あこがれという 想いの重さに

絶えかねて落ちた あの紙飛行機の

一瞬のきらめきを

忘れていたことに 

私は 

気がついた。