練習が終わって 外に出ると
 
街灯の上に月が浮いていた。

上弦の月だった。

上弦の月は深夜に見える。

月を見ると 父を思い出す。

子供のころ 夏休みの自由研究で 月の観測を 一ヶ月

父とやったことがある。

ただ 月の満ち欠けと 傾きだけを 書いた


色も黒と黄色のみの 地味な観察ノートは

何の評価も得られず 小さな賞も もらえなかった。

展示室の隅に ごみのように置かれていたそれを持って帰って

そのことを 父に言うと

(大事なことなんだけどね~)

そういって苦笑いした。

不満だった私は その言葉が理解できなかった。

理解できなかったコトは 納得してしまったことよりも

体に突き刺さった 小骨のように覚えていて 繰り返し思い出す。

(大事なこと) 

人に気づいてもらえなくても 認めてもらわなくても

大事なもの 大切なもの

それは変わらない。

父は 

今の私のために 

その言葉を言ってくれたのだろうか。