私の娘は、小さい。それは年齢のことではなく、体型のことだ。小学生の頃から運動会ではいつも先頭だった。

娘が,身長に関するそういったことをいうたびに、私の母は

 『それはお母さんのせい、あんたがお腹の中にいる時、ろくな食事をしなかったから。』

責めるような目で私を見る。

何でも親の性にするんじゃないと思いながら 心あたりがある。


娘がお腹の中にいるとき、自分の体の中に一つの生命体が宿っている実感が、どうしてももてなかった。

好きな物を食べて、好きな所に出かけて、生まれた娘を見てもそれは変わらなかった。

 ある日、いつものように食事の仕度をしながら音楽を聴いると、ふと、後ろに目をやると、

音楽に合わせて娘が腰を上下に振っている。

私を見上げて、真剣なまなざしで、ヨチヨチ歩きの足をふんばって。

 思えば娘は、生まれる前から、ずっと、この子供のような母親に必死にしがみついてきた。

それは、川面に浮かぶ木の葉に、つかまるようなものだったろう。

 今でも、その光景を思い出す。そのたびに、

子供は、親を選べないビックリマークだから、堪忍な音譜と、心のなかでつぶやく。