ソロモンの偽証 前篇 後編 | mori17さんのブログ

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今回視聴したのは、2015年の「ソロモンの偽証 前篇」「ソロモンの偽証 後篇」で、DVDにて拝見しました。

 

ソロモンの偽証 前篇・事件 [DVD]

ソロモンの偽証 後篇・裁判 [DVD]

 

この作品、原作はかなり人気の小説のようですが、読んでいません。

 

なのでいきなりDVDにて視聴となりました。

 

もしかしたら、2021年に発生した”旭川の女子中学生いじめ凍死事件”を題材にしたのかと思いましたが、本作は2015年ということで、先に映画化されており、時代を先取りした内容となっています。

 

タイトルのソロモンとはソロモン王のことで、”ソロモンの審判”という有名な逸話を文字って”ソロモンの偽証”としたと思われます。(多分)

 

何が偽証なのかというと、作中で生徒が先生と警察の対応にブチ切れて「お前らの言うことは信じられへん!」となるのですが、要するに先生、警察、マスコミなどの大人に対して「誤魔化している!」との思いと、「自分たちが自分の心を誤魔化す」の2つで、”誤魔化す=偽証”になったようです。(多分)

 

しかも1990年を舞台にしているので、この時代で大人が信じられないとは、尾崎豊の歌みたいな感じですが、別に盗んだバイクで何もしません。(笑)

 

話の方は、主人公の涼子がとある中学校へ赴任してくるところから始まります。

 

ほんで校長先生と世間話を始めるのですが、この世間話によると、この中学校は涼子先生が卒業した母校で、実は在学中にある伝説を残していたとのことで、その伝説を校長が詳しく聞きたいと所望されるので、仕方なく昔話を始め、過去のシーンが始まります。

 

それは中学2年のクリスマスの日、大雪のなか涼子が同級生の野田くんと登校したところ、雪に埋もれて死んでいる柏木くんの遺体を発見したというもの。

 

警察も来て調べたところ事件性はなく自殺と断定されます。

 

しかし直ぐに自殺ではなく、大出くんによる殺人であると告発状が学校などに届けられ、そこから推理するに、どうしても大出くんを有罪にしたい誰かの仕業であるとして、学校側も警察も騙されへんぞとばかりに、このことは世間に伏せたまま生徒にカウンセリングと称して生徒からヒヤリングを開始します。

 

すると告発状のことがマスコミに漏れ、殺人事件であるこのことを隠ぺいしていると大騒ぎになってしまいます。

 

しかし、親に対する保護者会にて、警察による論理的な解説により「やっぱり自殺・・・」という事に落ち着き、一応の決着がついたかに見えました。

 

しかし生徒たちに対して、納得のいく説明もなく、それどころかさらに生徒側から死人が出て、校長先生も担任教師も退職することになり、しかも噂話が生徒の中で蔓延していきグチョグチョになっていき、ただ時間だけが過ぎていきます。

 

実は生徒の中には、今回の件で他の人には知られていない秘密を抱えた者が何人かおり、それをスッキリさせるために主人公の涼子が立ち上がることになります。

 

何をするのかというと、大人は信じられないから、子供=生徒たちで裁判を開き、真実を明らかにするというものでした。

 

当然、大人たちはそんなこと許すわけもなく却下しますが、食い下がると暴力教師が思わず手を出してしまい、この暴力を逆手にとって裁判の許可を得ることに成功します。

 

更には裁判を行うにあたって、自分たちが判事、検事、弁護人、陪審員などを担当し、細かいところまで人を集め実施することになり、かなりの人数の生徒が理解を示し参加してくれることで裁判へ向けて準備が始まります。

 

しかし、誰を被告として何を争うのかですが、殺人を犯したと告発された大出くんが有罪か無罪かという内容の裁判になり、それに合わせて被告人や証人の参加、証拠集めをしなければならず、そもそもグチャグチャの中、被告人も証人も裁判への参加を拒否するなど、ど~すんの状態でドン詰まりとなり、始まる前から黄色信号点灯となってしまいます。

 

さあ、無事裁判が開かれ、生徒たちが知りたかった真実が分かるのか?といった感じで進んでいきます。

 

ほんで結論から言うと、裁判は開かれ、そして当初予定していなかったあることがピックアップされ、段々と告白タイムになっていき、最後にはあるオチへと繋がっていきます。

 

この最初に死んだ柏木くんですが、不登校という状況以外はほぼほぼ過去が語られなかったため、なぜあんな行動をしたのかよくわからず、とにかく自分の考えに賛同してくれる人がいなかったためにああいう最後の行動をしたということで、そのため残された生徒たちは、訳も分からず罪を背負って贖罪のために裁判を開くことになったわけで、あれじゃあ、引っ込みのつかなくなった太宰治というか、中二病患者というか、変人中学生になってしまいます。

 

ただ、大出くんによっていじめに遭っていたとしたら辻褄が合うので、納得がいきます。

 

というのは、この裁判の根本にあったのは生徒間のいじめ問題とできるからです。

 

恐らく柏木くんがソロモン王くらいの知恵者?で、でもまだ成熟しきっていないが故に、頭の中の理想と現実とのズレに対し、悲観し、そのためあのような行動に出たと推測されます。

 

ここからはいじめという体で話を進めますが、そうなると、そもそも大出くんがいじめをしていた理由というのが、家庭内における親からの虐待に対するうっ憤晴らしで、いじめられた方は誰かにすがろうとしますがうまくいかず、こういった事態へ発展していったということになります。

 

つまり、DVからイジメに発展し、自分を守るために友人を利用するも、友情は崩壊し絶望を迎えるということです。

 

この場合、柏木卓也と神原和彦との関係性では、柏木くんが死んで神原くんが取り残され、浅井松子と三宅樹理の関係性では浅井さんが死んで三宅さんが取り残され、主人公と柏木卓也の関係性では柏木くんが死んで主人公が取り残され、生き残ったそれぞれが罪を背負うことになります。

 

友達と親友の違いとは、友達がうまくいっても嫉妬しない間柄が親友との話があり、柏木君と神原くんの関係では、友達の神原くんが幸福感を抱いた時に、幸福感などない自分と比べ、そこに嫉妬心が芽生えてしまい、自分だけが取り残されたため人生に絶望し、死を選択したいうものでした。

 

浅井松子と三宅樹理の関係性では、三宅さんは浅井さんを下に見ており、三宅さんが浅井さんに嘘をついたことが浅井さんにバレ、自分を守るために益々他人のせいにすることで浅井さんに嫌われ、走りだした浅井さんは事故死してしまい、自分のせいであるという自分に対する嫌悪感の中で、どうしようもなくなり嘘をつき通そうとします。

 

主人公と柏木卓也の関係性では、主人公が目の前で発生しているいじめを見過ごしたところを柏木くんに見られ、いじめをやめようと普段言っている自分なのに、いざそういう状況になると逃げだす卑怯者と罵られ、しかもその後に柏木くんが死んでしまい、罪悪感を感じながら裁判に臨みます。

 

バックボーンとしてDVに毒親とアル中が描かれており、取り残された神原くんと三宅さんと主人公は、それぞれ嘘をついて裁判に臨み、いじめが根本にあることを神原くんが追求しながらも、勇気をもって自分の罪を告白したその姿勢、そこに主人公からも告白が重なり、神原くんも主人公もお互いが救われ、三宅さんも救われることになります。

 

自分に浅井さんのような勇気さえあれば…後悔は残れど、それでも私たちは生きてゆく…未来に立ち向かう勇気をもって…

 

不条理に対して抵抗した後に連帯が生まれなければ解放へと繋がらず、そこには絶望しかなかったわけで、これに対し主人公たちは不条理、抵抗、連帯と進め、さらに解放へと進みました。

 

っていうか神原くんは、柏木くんに対し友情がめんどくさくなって彼を死に追いやったことに対し罪を感じ、その罰をあれだけ望んだのに、主人公から浅井さん譲りの勇気を貰って、というよりもともと過去も受け入れて生きていく勇気を持っていたことに気が付き、未来へ歩き出すことで罪も反省も全てを受け入れます。

 

つまり、この勇気をもっていじめと戦う宣言したことが贖罪なのであり、これは懺悔行為だったわけです。

 

懺悔:自分の造った罪や悪を深く受け止めて二度としないこと

 

このことが教訓となり、イジメのバックボーンとなりうる家庭環境から見直し、勇気をもっていじめに立ち向かうことが継承されたことで、この中学校では20年以上たった今でもいじめが無いままであると思われる締め方をします。

 

チョッと強引な気がしますが良しとしましょう。(笑)

 

この勇気を持って戦っていく姿勢を贖罪とするオチは、「バトルロワイヤル」がそうでしたが、やはり中学生くらいの年齢で、何かを失って大人になるという王道パターンであり、日本エンタメではなくてはならないテーマとなっています。

 

演技プランとしては、同じ中学生を描いた「バトルロワイヤル」の藤原竜也なみに大げさな演技で描いていたら、かなり違和感ある作品になっていたのでしょうが、今回は大人チームは控えめ表現に抑えて、生徒チームは「中学生日記」の上位互換として演技させることで、これを見事に回避させています。

 

しかも、ちゃんと不細工やデブ、眼鏡といった陰キャもピックアップし、それぞれが良い演技を披露したところがかなりの高評価でした。

 

こんな感じでした。

 

 

・猫のユーリさんの動画

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・猫ユーリ博士の動画

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