今回視聴したのは、1985年の「ダウニングの陰謀」で、DVDにて拝見しました。
この映画、80年代のイギリス映画らしい地味なのに面白いといった作品で、最近、我々映画好きの間では、秘書ニーナ役のグレタ・スカッキが口を半開きにした時の表情が「小野田記美議員に似てね?」ってな感じで小さく話題になっています。
ほんで話の方ですが、冒頭、トルコでアメリカ大使館が爆破され、53人が死亡、アメリカは緊急厳戒態勢を発動したとのニュースが流れるシーンから始まります。
そしてその速報が流れる中、暗がりから一台の車が奥から手前に走ってくる様が映し出されます。
実はこのシーンが実に重要な意味を持っており、それもビジュアル的と謎解き的に、後の伏線回収で2重に威力を発揮する表現になっています。
んで、この車には二人の少年が乗っており、一人は黒人、もう一人は白人で、警察に追われて逃走を図りますが追い詰められ、白人少年は捕まり、黒人少年は飛行場のような施設のフェンスを乗り越え逃走に成功します。
その後場面が変わり、新聞社のカメラマンがマーカム議員(イギリス)ともう一人の男(後に東独クライスト少佐と判明)の写真を撮るというシーンになり、しかもその様子を近くで確認している禿げ掛けた白人男性が映し出されます。
この写真ですが、直ぐにその白人男性とリース含めた数人の男たちが集まって、写真を基に明らかな悪だくみをし始め、何かが発動した様が描かれます。
この悪だくみですが、この時点で内容は分かりませんが、直後に新聞記者のベイリスとニックの二人が映画的に意味ありげに登場し、上司のリースに呼ばれたベイリスは悪だくみに参加させられ、ニックは特ダネを催促され、二人はそれぞれ悪だくみと特ダネの仕事を始めます。
つまり、新聞社の上役であるリース達が、イギリスの議員であるマーカムと東ドイツのクライスト少佐が繋がっており、スパイ行為を行っているといった報道を画策していたという訳で、これに二人の新聞記者が駆り出され、記事をでっち上げるといった展開になります。
といった感じで、ベイリスは知ってはいけない悪だくみを知って苦悩し、何も知らないニックは普通に優秀ぶりを発揮しスキャンダル記事として新聞の発行部数を伸ばすという所行を行います。
と、ここまでは映画によくある観客をミスリードさせる展開で、ここからはそのミスリードを謎解きとしてひも解いていく展開になります。
また、サスペンス要素も徐々に盛り上げていきますので、ニックが誰かに狙われている感も高まっていき、映画的に面白くなっていきます。
誰が味方で誰が敵なのか、そして最後のイギリスらしい落ちの付け方など堪能してください。
ただ注意点としてこの作品、登場人物が多く、誰が誰かしっかり名前と役職を認識しておかなければ分かりづらくなっていますのでそこを押さえることが必要です。
っていうか、そういう意味でも、真実を知ってからでも見ごたえあって楽しめるので、2回見ることをお勧めします。
ポイントは、
①ベイリスは何に苦悩していたのか
⓶冒頭のアメリカの緊急体制の意味や飛行場の役割など
③あの少年たちの行方
といったところでしょうか。
ってな感じなのですが、さてさて本作のMVPを決めたいと思います。
80年代のイギリスを舞台にしており、劇中、新聞社の壁に女性のヌード写真がものすごい数貼り付けられており、当時の男性たちはこういったことで癒しを受けつつ仕事に励んでいたのかと、今では考えられない庶民風俗に驚きと小ネタ感を感じて笑ってしまいました。
という訳で、MVPはこの写真たちにします。
こんな感じでした。
・猫のユーリさんの動画
・猫ユーリ博士の動画