今回視聴したのは、2006年の「クレヨンしんちゃん 踊れアミーゴ」で、DVDにて観賞しました。
この作品、冒頭から昭和のホラー系手法を使って、恐怖を煽ってきます。
なかなか良く出来ています。
例えば、一番最初に満員電車を見せておいてから、人で賑わう春日部の商店街が映され、よくある風景を見せながら酔っ払いが豹変する描写、そして幼稚園の先生たちがいつものようにくだを巻く様子から多すぎるコンニャク、何やら背後に怪しい人影、そしてそこから一変し、夜道の描写ではあれだけ賑わっていた商店街のさびれ方、空席の電車など一気に空気感を変え、遮断機を渡ったとたんに別世界へと迷い込んだように自分に襲われる恐怖。
まるで、「うる星やつら ビューティフルドリーマー」でも見せられているのかといった秀逸表現です。
ここまでは、「普通➡おかしい➡普通➡おかしい」を繰り返すことでホップ・ステップ・ジャンプのごとく恐怖を煽っていきます。
ただ、これはクレしん作品なので、普通がオゲレツネタになるので、ここからは「下品➡おかしい➡下品➡おかしい」といった表現に変化し、この辺は子供たちに配慮したというか、クレしんの範囲内で如何に面白く表現するか監督の腕のみせどころといったところでしょうか。
そしてオープニングで一区切りしてからは、しんちゃん達による、いつの間にか人が入れ替わるという都市伝説による今回映画の主旨が説明され、また煽り展開が進んでいきます。
これに対しサンバがピックアップされ、DVDの裏面に書いてあった「オラの踊りでお助けするゾ!」といったしんちゃんのセリフから、サンバで事件を解決すると思っていたら、逆に入れ替わった人たちがサンバを踊り狂うといった狂気が描かれます。
「戦争論」によると、「人の暴力性を抑えるために祭りが機能していた」といった話があり、しかし今作ではサンバを逆利用することで、人の狂気をサンバで表現しているのです。
そして、ここで謎の女性が登場し野原一家を助けることでまた一つ恐怖のギアが上がり、野原家がターゲットにされ、ゾンビ映画のごとく生き残りをかけた展開へと発展していきます。
更には、「本物の自分vs偽物の自分」対決において、「俺が本物だvs俺の方が本物だ」、「お前が偽物だvsお前こそ偽物だ」というエンタメの王道が描かれ、それに対する野原家の下品な見分け方といった、ファイヤーからのちんちんカイカイな下品は身を助くっぷりは絶妙で思わず笑顔になってしまいます。
んで、話は進みネタバラシからのボスとの対決となるのですが、ここで描かれるサンバ対決では、音楽の使い方がイマイチでもう一つ盛り上がりに欠けます。
サンバドラムとサンバホイッスルはどこいった~!
エンディングでは使ってましたけど、なんだかな~
まあ、なぜここでもう一つギアが上げられなかったのかという残念感はありますが、でもゾンビネタが随所で大炸裂して面白かったので、プラスマイナスゼロで問題なしといったところでしょうか。
さて今回のMVPですが、これは当初はサンバリズムの腰振りが甘いなと思っていたら、最後の対決でしんちゃんの応援により自分を取り戻したお姉さんが、高速サンバリズムを奏でだしたシーンにします。
以前に見た、浅草橋の公園でサンバの練習をしていたブラジル人たちを思い出します。
しかもその人たちは練習なのに、本番で着用する衣装でムホホな感じであの高速ダンスを踊っており、目が点になったのを思い出します。
あれ、ってことは真のMVPは浅草橋のサンバ軍団ってことになりますね。
こんな感じでした。
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