「舞台スキルを企業の人づくり・創造力づくりに活かす」
以前、FBに舞台やスタンダップコメディー研修がアメリカの企業やMLBで積極的に取り入れられているとその事例も含めて書いたら、その後、興味を持った経営者や舞台主宰からその話をもっとききたいと創造会ランチのお誘いを受けました。
今回は、その時の話をまとめてみました。
企業だけでなく教育でも活用できるお話です。
いつも美味しいものを食べつつ創造会するのが好きなんです。
会議室では、緻密な戦略会議はできますが、創造溢れる創造会議は、美味しいものを食べながらの方が大胆な発想が生まれます。
時々あらぬ方向に話が脱線するので、そこからの創造もまた楽しいのです。
今回の創造会ランチの会場は、恵比寿の天空の寿司屋さん、ちょっと豪華です。
お寿司は、会話が弾んで食べるスピードが落ちても冷めないので、話が長くなりそうなときはちょうどいいんです。
今回は、お座敷を取ってくれました。
社長と美しすぎる秘書も同席です。
ちなみに秘書は、「私は以前大学で演劇部、舞台に出ていました。劇団にも入っていたんです。舞台を社員教育に活かす話と聞いて楽しみにしてきました。」と大きな瞳で微笑みながら自己紹介してくれました。
笑顔の陰に見え隠れする演劇経験者の誇りがキラリと感じられ、それを聞いた私の心は「お、経験者だ、これは手厳しいかもしれない・・」と叫んでいました。
さて、本題です。今回は、前説が短かったです。
お寿司六貫積まれた一の膳が配膳されました。私の好きな脂ののったカンパチもあります。心の奥でラッキーと思いました。
ところがそれをパクリと食べようとしたところ、先に社長がトロを口いっぱいほおばったまま質問してきました。
「内村さんのブログ読んだよ、新人メジャーリーガーの教育の話し面白いよ。
でもね、社員教育に演劇をどのように活かせるのか、そして、創造力教育にどう生かせるのか、イメージが湧かないんだ。
今日は、それを聞きに来たんだ。」
と、社長が秘書とアイコンタクトをしました。
このアイコンタクトの意味は「経験者を連れてきたから、私の話すいつもの荒唐無稽な話を、しっかりと検証するぞ」という圧迫面接みたいなものと感じました。
といっても、まずは答えるよりはカンパチが先なので、まずはカンパチをがぶり。それから答えました。
私が答えるまで、静寂が流れます。第一声は何なのか聞き耳を立てている感じです。
私の持論である答えをストレートにいいました。
「企業活動と舞台づくりは同じなんです」と。
社長も秘書も口に運ぼうとしていたお寿司の手を止めて
「え?!」。
「はい、企業活動と舞台づくりは同じなんです」ともう一度言いました。
社長が、イカを一貫咀嚼している間「うーん」と考え、秘書が上がりを飲んで、自分の経験から企業と舞台と何が同じなんだろうと考えていました。
社長が「うーん、企業活動と舞台は似ているところがあまりないと思うが・・」と返しました。
秘書もうなずいています。
この瞬間、この創造会ランチで私は、二対一の不利な戦局に詰め寄られました。
会議の時、このような詰め寄られた場合の打開策は、相手の土俵に乗ることなんです。
諸葛孔明なら「懐に飛び込む戦略」とでも言ったかもしれません。
私は一の膳を平らげて社長お得意の企業経営理論という社長の土俵から答えました。
「企業活動は、計画、実行、管理、プロモーション、流通といった様々な活動に分かれていながらも、それぞれが一つになり会社という舞台となって動いています。それも日々変化する即興舞台なんです。」
最初に舞台経験のある秘書が「あ!」と声を上げました。
続けて、社長が「即興舞台かぁ、面白いこと言うね。」と。
とりあえず関心を示してもらったところで話をつづけました。
「企業活動も舞台づくりも同じということは、お互いの目指すゴールや戦略の多くは共通しているのです。」
社長が「前に話を聞いた、ゴールはお客様の財布の紐だよね」
「その話、社長に言われて読みました」と秘書。
そして、社長も秘書も、次の運ばれた二の膳に箸をつけずに、私の話に聞き入り始めました。
私は、二の膳のアナゴを早く食べたいと心の中で叫びながら続けました。
「まずは、会社も舞台もチームとして機能しています。
どちらも時代の変化や情報、ライフスタイルに適応して、創造と革新をしていかなければお客様は離れてしまいます。」
「つまり、企業も舞台もお客様の期待を裏切らず、創造を裏切りつづけるという、究極の使命があるんです」
ここまで話して、アナゴを食べたかったので、食べる時間を作る為にお二人に質問しました。
「では、企業も舞台も究極の使命を達成し続ける為に、必要な事とは何でしょう?」
「まずは、経営戦略を考えることだろうな」と社長。
秘書が「経営戦略は、舞台ではそれは脚本になりますね」
続けて社長「やっぱり人材の発掘・教育も必要だな」
「あ、それは、オーディションや稽古ですね」と秘書。
続けて、社長と秘書で
工場生産=舞台制作、プロモーション=集客、等々、社長と秘書の名コンビが企業と舞台活動のリンクするところを上げていきました。
二の膳を食べ終わった私が「どうですか、このように会社と舞台活動は同じことがたくさんあるんです。」
社長がまだ納得いかないように「会社と舞台が活動が同じだということが分かった、でもそれは、会社の経営スキルを舞台に活かせばいいことで、舞台づくりから何を学ぶんだい」と核心の質問をしてきた。
私は「お、結論から入る社長の真骨頂ですね。さっそく核心の質問ですね」と社長を持ち上げつつ、
そこで、舞台経験のある秘書さんに質問しました。
「舞台経験のある秘書さんが、会社に入って舞台経験があってよかったなと思う瞬間ありましたか?」
秘書さんか上がりを飲みながら少し考え答えました。
「コミュニケーションがうまくなったと思います。社員同士、お得意様との会話もスムーズになりました。
人前での表現力も少し自信がでました。あと少し自負になりますが、企画と演出力も舞台を経験したので自信があります。」
社長は「お、そうなんだ、舞台スキルはそんな効果があるんだ」と関心の一言。
私は、「秘書さんの舞台経験からの話で、もう答えが出ました。
大学の経営学やビジネススクールで一般に教えられている経営力、戦略力、解析力のスキルだけでは、会社の活動はできないんです。そのスキルをいかに高めても、物事がスピーディーに流動する今のビジネスの世界では成功は保証されないんです。
どんなに素晴らしい頭脳が集まっても経営が上手くいかない、これは最近の大企業の苦しみがそれを物語っていますよね。
舞台には、コミュニケーション、クリエイティブ、チームワーク、そして、インプロビゼーションのすべてのスキルを学べる要素があるんです。」
ここで「ほぉ、もっと詳しく教えてもらいたいな」と社長、そして仲居さんに甘味のあんみつとコーヒーを注文しました。
私は心の中で「やったー」と小躍り。
「ビジネススクールで教えるのをハードスキルとすれば、舞台スキルはソフトスキルのオンパレードなんです。
①社員・顧客との素晴らしい連携を創るために必要な会話をする、話を聞く、信頼を得るコミュニケーション能力、
②ストーリーを企画し、より魅力的に魅せる演出のクリエイティブ能力、
③様々な英知を集めカタチを創るチームワーク能力、
④そして、特に一番大切なのがインプロビゼーションの即興能力、
これらが演劇を活用したセミナーで体験できるのです。」
秘書さんが「一番大切なインプロ 即興能力とはどのような事でしょうか・・」とすぐ反応しました。
さすが演劇経験者です。役者さんが稽古でやっている即興能力upのトレーニングが、どのように社員教育に活かせるのか、頭の中でパズルのように考え始めていたから出た質問でした。
「一番大切と言ったのは、最初にビジネスの世界は即興演劇ですと言いました。そのことに関係しているんです。
ビジネスは、毎日のように変化しています、予測不能の事が日々起きます。
これは、舞台でも同じです。毎日何かハプニングが起きています。
でも、役者さんはそのハプニングに瞬時に対応して、他の役のリスクやつながりを瞬時に判断してお客様に知られないように舞台を続けています。
ビジネスの世界ではどうでしょうか、ハプニングが起こった時、瞬時にインプロでカバーできるでしょうか・・。マニュアルがないとできないのではないでしょうか。
そのハプニングに躊躇していると、その瞬間にお客様は離れて行ってしまうのです。あなたの評価が下がってしまうのです。
瞬時に自分のリスク、相手のリスクをサポートしてハプニングを修正し、ビジネスをポジティブに展開し続ける力を舞台セミナーでは身に着けることができるのです。」
一気にしゃべったところで、あんみつとコーヒーが届きました。
「やったー」と小さなガッツポーズ。
それを見た秘書さんがクスって笑ってくれました。
社長が口の周りに餡をつけながら
「そうなんだ、なんとなく舞台のスキルを企業セミナーで学ぶ意味が分かってきたな、経営のハードスキルは学んできたし、経営コンサルとからはその指南ばっかりだ、ソフトスキルについてはまだまだやっていないなぁ、これからの時代、即興力が大切というのもよくわかるなぁ」とポツリ。
秘書さんも「ぜひ、舞台スキルのセミナーやってみたいです。」
さて、今日の話はここまでです。
次回は(いつになるか不定期ですが)演劇を企業セミナーに取り入れていくカタチについてまとめたいと思います。
どのように演劇セミナーをやっていればいいのか、それは企業それぞれに社員セミナーでのゴールの設定で違ってきます。
そして、企業向けに演劇セミナーをやってみたいという演劇関係者の方いらっしゃれば、私の仕事柄、企業の様々な悩みを知っていることを参考に、演劇スキルをどのように企業セミナーにしてカタチにしていくかを創造会ランチで共に考えましょう。
長文をお読みいただいて感謝です。 企画屋稼業 内村