現在、開会している四日市市議会2月定例月議会において、令和7年度当初予算案として「新図書館等拠点施設整備事業費」3,470万円を上程しています。

 

 四日市市は、市民の皆さんから大きな期待を頂いている『新図書館』の早期整備に向けて、候補地を三滝通りと諏訪新道の交差点の四日市市役所側〔市役所北側〕の民有地とし、手続きを進めています。

 

 そもそも『新図書館』整備の議論は、平成16年8月に実施した「市民アンケート」での市民要望などをまとめ、平成17年3月に提言された「市民に求められる図書館の将来像」から始まり、約20年前から議論が続いています。

 

 現在整備を進めている『新図書館』は、中心市街地に根差した多様な活動やイベントの場、それらを支援する幅広いサポート機能や情報発信機能、幅広い年齢層の人々を惹きつける魅力的な空間「サードプレイス」として、本来の図書機能だけでなく、子育て、生涯学習、社会教育等の機能を有した、新たな発見、出会いや価値が生まれる空間の創造を目指しています。

 

 また、『新図書館』を中心市街地に設けることにより、公共交通を使う学生等、幅広い年代にも多く利用して頂ける様になります。

 

 全国各地で誕生している新たな図書館は、地域の文化度を上げ、多くの方が気軽に立ち寄れ、集い、自分らしい時間を過ごすことの出来る特別な空間となっており、まちの賑わい創出にも大きく寄与しています。

 

 民間団体や市が実施している学生や市民の皆さんが参加する新図書館に関するシンポジウムやワークショップ等においても、早期の整備を望む声を多く頂いています。

 

 こういった多くの声に、私たち行政は応えていく責務があります。

 

 現在の候補地「市役所北側民有地」で、整備を進めていくとしても最短で令和11年度内での供用開始となり今から4年以上の期間を要することになるため、着実な事業進捗が不可欠です。

 

 そんな中、議会から、現在の候補地について一部、批判的な声が挙がっているのも事実です。

 

 その意見の一つ一つに答えていきたいと思います。

 

 最も大きな声として、候補地の敷地の一部の購入がかなわず、借地になることに対する指摘です。

 

 ただ全国的に見ても都市部、特に市街地での一定程度の土地取得は非常に難しくなっており、例えば、近隣の図書館をみても一宮市の「一宮市立中央図書館」、北名古屋市の「北名古屋市図書館」、先日発表された名古屋市の新図書館等は、民間の土地の借地等で対応しており、借地で土地活用を図るケースは多々あります。

 

 現実的に、四日市市の中心部で現在、図書館+立体駐車場を整備出来る土地を全て購入出来る場所を見つけることは極めて難しい状況です。

 

 仮に、現在、中心部に市が所有する土地(公有地)での新図書館整備を考えるとすると、「市役所東広場」「じばさん」が候補地として考えられます。

 

 ただし、「市役所東広場」にて図書館建設を行う場合、敷地面積が十分でなく、駐車場が整備出来ません。

 

 新図書館は、車利用を平日200台程度、休日を365台程度と見込んでおり、隣地の中央駐車場の利用が考えられますが、平日は既に列が出来るほど混雑していることから中央駐車場の利用は難しく、休日も中央駐車場の利用台数を超える車が見込まれます。

 

 平日・休日の中央駐車場に停められない車の民間駐車場利用〔2時間無料チケットの配布〕を想定すると年間約2.6億円の駐車場利用料が発生することになります。

 

 そして、「じばさん」においても同様で、敷地が十分でなく、駐車場が整備出来ないことから、民間駐車場の利用で年間約2.6億円を超える駐車場利用料が発生することになります。

 

 耐用年数を70年とし、計算すると「市役所東広場」「じばさん」では、70年間で182億円の駐車場利用料が必要になります。

 

 一方、現候補地である「市役所北側民有地」での図書館整備となると、十分な面積を確保することが出来、図書館と隣接した立体駐車場を整備することが出来ます。

 

 こちらでの整備で特に必要となってくる、駐車場整備費、用地買収費、建物補償費、70年分の借地料を合計すると50億円程度となり、「市役所北側民有地」の方が一部借地が入るものの、70年間で130億円程度コストが抑えられることになります。

 

 更に、「市役所北側民有地」は駐車場を図書館と直結して整備出来るので、車利用の方にとっても「市役所北側民有地」での整備の方が格段に利便性が高いと言えます。

 

 また、「JR四日市駅前」への新図書館整備という意見もありますが、JR四日市駅前は、現時点で令和13年度の開学を目指し、大学設置に向けた計画策定を行っています。

 

 仮に、この大学の施設と一緒に図書館を整備するとなると、建物の規模が大きくなることから工事期間が今より延びることになり令和13年度の開学は困難となり、令和14年度以降に大幅にずれ込んでいくことになりますし、それに伴い、新図書館の開館も大幅に遅れていくことになります。

 

 加えて、建物が高層化されることになり、建設費の増加にも繋がります。

 

 今後、JR四日市駅周辺は賑わいが出てくると思いますが、されど、三重県最大の乗降者数を誇る近鉄四日市駅から徒歩で気軽に新図書館に通える距離ではなくなる為、学生等のことを考えると望ましいとは言えません。

 

 その他にも、一部郊外に新図書館をという意見もありますが、上記で述べた様に、出来る限り多くの方々が通いやすいという点から、公共交通機関が充実した中心市街地で整備をするべきと考えますし、中心市街地の範囲から外れる場所への図書館設置は国の支援制度の活用が出来ず、30~50億円の支援が受けられないという経済的なデメリットも出てきます。

 

 こういったことを踏まえ、総合的に判断すると、「市役所北側民有地」が様々な面から、整備地として最も優位性が高いといえます。

 

 議論が始まり約20年、様々な事象があり今に至りますが、市民の皆さんの期待に応え、まちの価値を高めていく新図書館をこのタイミングで着実に進めてかなければならないと考えています。

 

 物事を前に進めていく、それが政治の役割であります。

 

 言い換えると、現在の候補地「市役所北側民有地」にて図書館を整備出来なければ、経済的な負担が増す場所、利便性が低下する場所に候補地を変更せざるを得なくなり、四日市市の新図書館事業は更に10~20年遅れる可能性が出てきます。

 

 明日から、四日市市議会の令和7年度一般会計当初予算案の審議が大詰めを迎えます。

 

 しっかりと説明責任を果たしていきたいと思います。