四日市市は、現在、近鉄四日市駅周辺からJR四日市駅までの中央通りを中心とした約1.6kmのエリアを対象とし進めている『中心市街地再開発プロジェクト』の事業の一つとして、『新図書館』の整備があります。

 

 これまで、新図書館の整備を近鉄グループが有する「スターアイランド跡地」とし、近鉄グループが予定していた複合ビルに新図書館を組み込むことで協議を進めてきました。

 

 近鉄グループは地上32階、高さ約147mの建物を予定しており、1,2階には本市が整備する「観光機能」、近鉄グループが整備する「利便施設」が入り、3~8階に「図書館」が配置される予定でした。

 

 なお、9~32階は民間の「マンション」等が予定されていました。

 

 そして、昨年度、近鉄グループが複合ビル全体、四日市市が図書館部分の基本設計を行い、整備費用の算定を行っていました。

 

 その近鉄グループが行った複合ビル全体の整備費用が、4月に四日市市に示されました。

 

 近鉄グループからは、昨今の建設工事費の高騰、建設会社10数社に見積依頼を掛けたところ、応諾が1社となったことから、結果として建物全体の整備費が約390億円、工期が49ヵ月要する見込みになるとの報告がありました。

 

 併せて、この約390億円については概算工事費であり、近鉄グループによる精査が行われる前段階の金額ではあるが、近鉄側が当初想定した建物全体の整備費用約210億円及び工期37ヵ月を大きく超えていることから、『事業延期』の申し入れがありました。

 

 なお、事業延期の再開判断は、本市と近鉄グループで定期的に打ち合わせを行いながら、建設費の動向や、建設工事費に対する見積りへの応諾が複数社に増える等、事業環境に応じて判断していく方針であるが、正確な再開時期は未定とのことでした。

 

 近鉄グループからは、本市図書館等に係る床価格及び土地の賃借料等を含む総事業費の提示は行われませんでしたが、新図書館等の整備費用が約210億円(床価格の提示に当たっては、別途、近鉄グループの経費及び利益が上乗せされます。)を見込むと報告を受けました。

 

 一方で、本市において基本設計を行っている内装や設備等の概算工事費が約60億円となり、それを合わせると新図書館等の整備に係る概算工事費が約270億円を超える見込みとなり、本市が想定した内装や設備等を含む概算工事費120億円~150億円を大きく超えるものとなることが分かりました。

 

 これを受け、本市で今後の対応を検討した結果、事業延期は、期限を設けない延期であることから、多くの市民の皆さんが期待されている新図書館の整備再開時期を明らかに出来ないまま、確約も無く事業環境の改善を待たなければいけないこと、更に、仮に建設工事費の高騰が落ち着いたとしても本市が想定する金額に収まる可能性が極めて低いことから、本市から近鉄グループに対し事業の中止を申し入れました。

 

 これにより、本市と近鉄グループとの複合ビルの開発事業は無くなったものの、新図書館整備は推し進めていく必要がある為、スターアイランド跡地における市単独での新図書館等の整備を見据え、近鉄グループに対し、用地の取得、借地について働き掛けを行いました。

 

 しかし、近鉄グループに用地の売却又は貸しつけに応じて頂けず、協議が整わず、今回のスターアイランド跡地における新図書館等の整備断念となりました。

 

 ただし、中心市街地における新図書館の整備は市民の皆さんの期待が大きく、これまで多くのワークショップの開催等で学生や多くの方々から新しい図書館へのアイデアや待ち望む声を頂いていることから、「中心市街地再開発プロジェクト」の一環としての『新図書館』整備の方針を維持し、直ちに中心市街地における新図書館の設置場所の再検討を開始し、出来るだけ速やかに新図書館整備を進めていきたいと考えています。 

 

 今回のスターアイランド跡地における新図書館整備が実現しなかったことは大変残念でなりませんが、改めて、四日市市のまちを見つめ、市民の皆さんが利用しやすく、まちの発展に寄与する候補地を探していきます。