5月21日の記者会見において、『四日市市ふるさと納税におけるこれまでの返礼品「松阪牛」の報道』についての四日市市の見解と対応を発表しました。

 

 以下が、記者会見での発表の要旨となります。

 

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 先般あった本市のふるさと納税の返礼品である「松阪牛」に関する報道について、本市の見解と対応を発表させていただきます。


 現在、本市は、ふるさと納税による9億円を超える赤字を解消すべく、市内事業者にご協力をお願いするとともに市の体制を強化して全力で取り組んでいます。
 

 その中で、松阪牛などのブランド牛を生産するために、四日市市内で黒毛和牛に種付けをし子牛を生産し、最終的にブランド牛の生産区域に移して肥育し出荷するまで一貫生産している事業者から、「当社の松阪牛を四日市市の返礼品として提供できないか」というご相談がありました。

 

 そこで、妊娠期間も含め全生産期間の2分の1以上を四日市市内で飼養している松阪牛を四日市市の返礼品として提供できるかどうか、国や県のふるさと納税の担当部署に確認したところ、「ふるさと納税の返礼品の地場産品基準に該当する」との回答をいただきました。
 

 事業者の思いを伺うと「ふるさと納税で苦戦する四日市市を応援したいという思いと、松阪牛などのブランド牛は、一般的には、子牛の生産地域で子牛を生産している生産者と、それらを導入してブランド牛の区域内で肥育する生産者との協業作業で成り立っているにもかかわらずスポットライトはブランド牛の肥育地域に当たりがちであり、子牛の生産地にもスポットライトが当たるようになればよいという思い、更に松阪牛のPRの一助にもなればとの思いから、子牛の生産地域である四日市市から返礼品として提供したい。」とのことでした。

 

 市としては、事業者からご協力いただけるという話でもありますし、シティプロモーションの視点では、四日市市というと全国的には「コンビナート」というイメージが先行しますが、「自然豊かで農業や畜産業もあり産業バランスのとれた豊かな街」というイメージをふるさと納税を通じて全国に発信できるチャンスという思いもあり、返礼品として取り扱うこととしました。

 

 ふるさと納税の制度は、地域の産業に焦点を当てており、決して最終生産地や最終工程の自治体のみが返礼品を独占できる訳ではなく、生産過程、製造過程において、仮に上流工程であっても、付加価値や飼育期間等、その商品、製品に一定程度の貢献をしていれば、その自治体の返礼品として認められることになっています。

 

 ですから、今回、松阪牛の出荷までの期間の内、1/2以上の期間を四日市市で育てられる牛においては、総務省が認める基準に該当するのです。

 

 そして、今回の報道により、本市の返礼品の松阪牛が、「松阪牛ではない」と誤解されたかのようなお問い合わせが一部ありましたが、本市が返礼品として提供している松阪牛は、四日市市内の牧場で子牛を生産し、松阪牛の生産区域である明和町において肥育され、松阪牛個体識別システムに登録されている松阪牛です。

 

 繰り返しにはなりますが、国が定めるふるさと納税の返礼品の地場産品基準に該当したものであることを改めてお伝えさせていただきます。
 

 しかしながら、先般の報道以降、返礼品を提供する事業者から「子牛を育てる区域外の生産地域にもスポットライトが当たればよいという思いと少しでも松阪牛をPRしたい思いで返礼品として提供したが、松阪牛の区域内の市町がネガティブな思いを抱かれるのであれば、市町間での対立は本意ではないので提供を辞退したい」との申し出があり、また報道後、松阪市長からも直接、私にご相談がありました。

 

 本市としては、畜産業は誇るべき地場産業であり、総務省の地場産品基準に該当したものであるものの、この度の事業者のご意向を慮るとともに、自治体間での対立は本意ではないことから、「松阪牛」を返礼品としての提供を取りやめることといたします。

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 なお、昨年度における返礼品「松阪牛」は寄付件数と寄付額は33件、60万円(全体:9,353件、3億1,824万円)でした。