3月23日に平成28年2月定例月議会 本会議にて、「医療費助成費・障害者医療費に係る修正動議」が提出され、賛成多数で可決されました。


 「医療費助成費・障害者医療費に係る修正動議」は、1年半後の平成29年9月から精神障害者2級の医療費助成を開始するとしていた市の方針に異を唱える議員から提出されたものです。


 修正動議の内容は、精神障害者2級の通院医療費助成を当初計画よりも1年前倒しした平成28年9月から開始するべきとするもので、来年度半年分の精神障害者2級通院医療費助成予算2,800万円を増額修正(予算付け)を行うというものです。


 増額修正(予算付け)という言葉を見ると、障害者福祉の拡大という点で歓迎される方は多いと思います。


 しかし、この増額修正(予算付け)が、障害者福祉の現場に携わる職員と障害者団体との信頼を壊し、持続可能性が欠ける拙速な制度設計、運営に繋がり、ひいては障害者福祉の後退の可能性をはらんだものである事を十分理解しなければなりません。


 この話を掘り下げていく前に、四日市市の障害者医療費助成の現状について整理しておく必要があります。


 大きく分けて障害は、「身体障害」「知的障害」「精神障害」に分けることが出来ます。


 現在、三重県の予算で、「身体障害」は1~3級、「知的障害」はIQ35以下、「精神障害」は1級通院等について、支払った医療費の一部が助成されることとなっています。


 では、県の予算の対象となっていない障害者の医療費助成についてはどうなっているのかというと、各自治体(市町村)が独自の財源で医療費補助を行っているのです。


 四日市市は、県が医療費補助の対象としている上記に加え、「知的障害」はIQ70以下まで、「精神障害」については1級の入院までを市の方針で医療費助成の対象としています。


 「知的障害」についてIQ50~70を医療費助成の対象としている市は、三重県下12市では四日市市、名張市、伊賀市の3市に留まります。


 また、「精神障害」1級の入院を医療費助成の対象としている市は、三重県下12市では、四日市市、津市、桑名市、名張市の4市に留まります。


 こういった状況を考えると、四日市市は現時点で障害者医療費助成については三重県下の他市に比べて進んでいる市と言えます。


 ただ、「身体障害」については、四日市市は県補助(3級)から特段対象を拡大していません。


県下では、伊勢市、桑名市、亀山市、いなべ市が「身体障害」4級までを医療費助成の対象としています。


 また、「精神障害」については四日市市が対象としている1級の入院に加え、津市は2級入院、桑名市は2級の通院・入院、名張市は2,3級の入院・通院、伊賀市は1級の入院は対象外であるものの2級の通院を医療費助成の対象としています。


 つまり、数は多くは無いものの県下の市で「身体障害」「精神障害」について、四日市市よりも医療費助成対象を拡大している市があるという背景もあります。


 四日市市の今後の障害者医療費助成の方針はというと、『四日市市第3次障害者計画』によると平成30年度末までに精神障害者2級への医療費助成拡大の検討を行うとしており、障害者団体ともそういった方向性での合意は図られていました。


 この流れに大きな影響を与えたのが、昨年の2月定例月議会において提出された『身体障害者4級に対する医療費助成拡大』の請願です。


 この請願が議会にて賛成多数で可決された事が、今回の修正動議の提出に繋がってくるのです。

 

 次回のブログでは、この請願の採択がなぜ今回の修正動議に結び付いたのかを書いていきます。