国の骨組みを決める「税制改正」。


 税制改正は、毎年その時々の情勢に応じて、政府が基本方針を決め、与党の承認を経て国会の審議に諮られ、可決成立そして適用となります。


 納税する側(国民)にとって、税制改正は納税額の変動をもたらすので大きな関心事となります。


しかし、影響を受けるのは納税者だけではありません。


税金を納められる側にも大きな影響があるのです。


 税制改正は国会で決められるものなので、地方自治体においては税制改正の議論に加わることは出来ません。


 ただ、税制改正は地方財源となる地方税についても影響を与える為、地方の税収に対しても大きな影響を与えるのです。


 12月17日に行われた予算常任委員会全体会協議会において、財政経営部から本市における『中期財政収支見通しの推計』の説明があり、平成31年度までの財政収支の見通しが示されました。


 当説明により税制改正が、今後の本市の税収に大きな減収インパクトを与えることが分かってきました。


 インパクト大きいの以下の2点の説明を行います。


①法人住民税法人税割の税率引き下げ


②固定資産税の減免


 ①法人住民税法人税割の税率引き下げ


 地域間の税源の偏在性を是正し、財政力格差の縮小を図る為、平成26年度から国税となる『地方法人税』が設けられ、その一方で地方税である法人住民税法人税割の税率が引き下げられました。


 簡単に説明すると、地方税から国税への一部の財源の移譲です。


 四日市市の法人市民税法人税割の税率はこれまで13.5%でしたが、平成26年度10月1日以降開始の事業年度の決算においては10.9%と引き下げられ、更に今後7.2%まで引き下がられる予定です。


 ②固定資産税の減免


 固定資産税は全額地方の税収となる地方税です。


税制改正は、その固定資産税の償却資産部分に踏み込みました。


 平成28~30年度において、中小企業の設備投資を促進する為、新規取得した生産性向上に資する機械装置についての固定資産税の1/2を減免されます。


 以前のブログでも紹介しましたが、四日市市は「機械及び装置」の償却資産に対する固定資産税の額が全国で東京23区に次ぐ2番目に高いのです。


 税制改正は、全国でトップレベルの「機械及び装置」の償却資産に対する固定資産税収入がある本市を直撃しているのです。


 これらの税制改正の影響で、本市は平成31年度に32億円の減収になると試算しています。


 国は一連の税制改正による減収分の75%を地方交付税にて交付するとしていますが、本市の直接的な税収源が失われていくことは事実です。 


 今後の消費税率の引き上げによって更なる地方財源が増える事が期待されますが、軽減税率の影響でどの程度地方財源が影響を受けるのかも注視しなければなりません。


 議会では歳出(税金の使われ方)に議論が集中しますが、こういった本市の市政運営の礎となる財政基盤についてしっかりと学び、理解する事も必要です。


 税制改正が地方自治体の財政運営方針に大きな影響を及ぼしていることも、皆さんに認識して頂ければと思います。



 そして、国の税制の流れをどう本市の健全運営につなげていくかを議論していかねばなりません。


 加えて、必要に応じ、国に対して地方自治体としての強い意志を伝えていかねばなりません。