9月に行われた「産業生活常任委員会」にて、『(仮称)四日市市客引き行為等防止に関する条例素案の見直し』についての協議会が行われました。


 四日市市は、平成24年に地元の自治会や商店街組織で構成されている「諏訪栄・西新地地区防犯協議会」から、中心市街地でキャバクラ等への客引きを規制する為の市条例制定の要望を受け、『(仮称)四日市市客引き行為等防止に関する条例制定』へ動き出しました。


 翌年の平成25年には、産業生活常任委員会協議会で規制内容案、予定等が説明され、客待ちを禁止する区域でのアンケート調査、パブリックコメントを実施し、条例制定に向けての手続きが着実に進められていました。


 しかし、平成25年12月に県警から既に存在する「県条例」と新たに制定する「市条例」との間に、重複部分が存在するとの指摘等を受け、これまで当指摘への対応を行っており条例制定が大幅に遅れていました。


 県条例と市条例の重複という当指摘を詳細に説明すると、三重県には既に「迷惑防止条例」が制定しており、一部風俗店に対する客引き・誘引・客待ちを禁止しています。


*客引き:相手方を特定して、営業に係る客となるように誘う行為。


*誘引:人に呼び掛け、又はビラその他の文書図画を配布し、若しくは提示する行為


*客待ち:客引き等をする目的で、当該行為の相手方となるべき者を待つ行為


 しかし、県条例が定める「接待を伴う飲食営業に関する規制の誘引・客待ち」の禁止は、接触を伴う営業に限られています。


 つまり、キャバクラなどの身体への接触が無いお店への「客引き」は県条例で規制されているのですが、「誘引や客待ち」については県条例では規制対象外となるのです。



 当初、市条例は全ての業態に対応出来る条例制定を目指していましたが、県警からの指摘により県条例で対応出来ない業態をカバーする形での条例制定へと軌道修正が行われたのです。



 そして、県警と一定の整理が出来た事から、この度再び『(仮称)四日市市客引き行為等防止に関する条例』制定に向けて動き出した訳です。


 四日市市は、今年の11月定例月議会において当条例案を議会に上程し、可決されれば来年平成28年7月からの施行を目指しています。


 という話なのですが、当ブログをお読みになって大半の方は違和感を持たれたのではないでしょうか。


 そうです。


 四日市市でも、県条例によって、既に一部の風俗店については客引き・誘引・客待ちの行為は禁止されているのです。


 また、キャバクラ等の身体への接触が無いお店に対しても客引きについては禁止されています。


 そして、県条例に違反した者に対して最大で50万円の罰金を科せられる様にもなっているのです。


 言い換えると、現在四日市市の中心市街地で行われている「客引き・誘引・客待ち」行為の一定の割合は既にある県条例の規制対象なのです。


 つまり、三重県が自らが制定した「迷惑防止条例」に基づき、しっかりと迷惑行為の規制を行っていれば、現状の様にはなっていないという事です。


 完全に形骸化している三重県の「迷惑防止条例」。


 四日市市が制定する条例は県条例の穴を埋めるものですが、県条例自体に大きな穴が開いており、市条例の担う役割が重要になってきます。