1月20,21日と、以下の日程で四日市市議会一期生の視察に行ってきました。


■1月20日 「小中一貫教育の取り組み」について 〔静岡県浜松市〕、「海底設置型フラップゲート式可動防波堤」について 〔日立造船〕


■1月21日 「新地域公共交通総合連携計画」について 〔静岡県富士宮市〕


 今回のブログでは、富士宮市の『新地域公共交通総合連携計画』について書いていきます。


 富士山を抱える自治体で知られる富士宮市、人口13万人の街ですが、公共交通への取り組みについて大きな成果を出しています。


  「コミュニティバス」「デマンド型乗合タクシー」の2つの公共交通を市主導で整備し、全市的に公共交通施策を積極的に展開しているのです。


  「コミュニティバス(以下、宮バス)」と「デマンド型乗合タクシー(以下、宮タク)」、それぞれの施策を単独で成功させる事も難しい中、富士宮市では平成20年度から2つの施策が同時並行で展開され、実績を収めているのです。


【「宮バス」導入】


 民間バス業者が運行する循環バスへの補助金(年間最大430万円)が膨れ上がっていく中、平成20年度から市が主導で新たな循環バス(宮バス)を導入しました。


 宮バスでは「バス停オーナー制度」を用い、市民からバス停のオーナーを集い、協力金を頂くというシステムを採用しました。


 ルートも抜本的に見直し、市民の需要の多いルートに変更し、宮バススタート当初から、400万円以上の協力金が集まり、県からの補助金を加えると財政投入ゼロでのスタートとなりました。


 現在では、4ルートにルートを増やしていますが、財政投入は300万円程度で、当初の民間バスへの補助金額を下回っています。


 ちなみに、バス運行は民間企業に任せていますが、徹底的な競争入札を行い運行費も可能な限り抑えています。 


 一方で、四日市では民間バス路線3路線に対して、年間4,000万円を超える補助金を支出している状況です。


【「宮タク」導入の背景】


 平成20年度から、民間バス業者の運行する郊外向けのバス路線が、5路線廃止になりました。


 市はこれまでは、不採算路線に関しては補助金を増額し撤退を避けてきましたが、今回は新たな交通システムを構築すると決断し、高齢者が等が必要な時に必要な場所に移動出来る仕組みとなる宮タクを導入しました。


 自らの顧客の喪失に繋がりかねないタクシー業界を説得し、デマンド型の乗合タクシーを実現したのです。


 導入当初、従来のバス路線補助金が300万円程度だったものが、委託料を200万円程度に抑えられ乗客数も大幅に増加しました。

 

 宮タクエリアも年々拡大し、年間の利用者数が当初の倍の1万人に迫る一方で、税金投入額は400万円程度に収まっています。



 富士宮市は、宮バス、宮タクという2つの公共交通を市主導で成功させ、これらを連携させた『新地域公共交通総合連携計画』を策定し、更なる相乗効果を狙っています。


 市主導のチャレンジングで積極的な施策展開が地域の公共交通を切り拓くという素晴らしい事例を勉強することが出来ました。


 四日市市においても大変参考になり、今後の公共交通施策について希望を持てる有意義な視察になりました。