5月2日に四日市議会において『市外郭団体審議会』が開催されました。


『市外郭団体審議会』とは、市議会議員の中から選ばれた14名で構成され、四日市市が100%出資する外郭団体について協議又は調整を行う会議体です。


 外郭団体とは、市と密接な繋がりがあるものの市とは切り離された組織の事を言います。


四日市市における外郭団体は、「四日市市土地開発公社」「公益財団法人 四日市市文化まちづくり財団(旧 四日市市まちづくり振興事業団)」の2つになります。


 上記の2つの組織は、形式的には市とは切り離された組織ですので重要事項等の決定は各組織内で行われ、市議会から直接経営に対して発言出来る機会はありません。


 しかし、これらの組織は実質的に市と密接な関係がある為、市議会からもこれらの運営に物を言える機会を設けるという趣旨で『市外郭団体審議会』が設置されています。


 私は平成24年度に当会議の委員に就いており、5月2日に当任期中最後の「市外郭団体審議会」に出席しました。


 平成24年度最後の「市外郭団体審議会」では、『四日市市土地開発公社経営健全化計画(後期) 〔平成25年度~平成30年度〕』についての説明がありました。


 今回のブログでは、過去に大きな負債を抱え市の財政状況に大きな影響を及ぼしている『四日市市土地開発公社』の現状を書いていきます。


 四日市市土地開発公社は、土地の先行取得、そしてバブル崩壊による土地価格の大幅な下落により開発予定の無い多くの土地を保有する事になり、返済不能な多額な借入金を抱えてしまいました。


 経営が悪化し、平成20年度に平成30年度までの10年間に及ぶ「四日市市土地開発公社健全化計画」を策定することを決めました。


 その健全化計画の前半が平成24年度で終了し、後半の平成25年度から平成30年度の後半部分がこの度策定されました。


 その計画の概要を今回の市外郭団体審議会にて説明を受けました。


 平成20年度において土地開発公社は、225億円(金融機関184億円、市41億円)を超える借入金を抱えていました。

 

 土地開発公社は、返済能力が乏しい事から金融期間に対する借入金184億円の全額を市が肩代わりする事になり、四日市市は平成20年度から毎年13億円を超える土地開発公社の借入金返済を肩代わりしているのです。


 この年間13億円の借入金返済の肩代わりは、平成30年度まで続きます。


 また、市からの借入金は土地開発公社の土地が売却出来た際の「ある時払い」の返済を行っており、平成20年度に41億円あった借入金は平成25年度で26億円程度に減っております。


 しかし、今回示された「経営健全化計画(後半)」において、平成25年度時点での保有土地は31億円であり、その内売却可能の土地の簿価は6億円程度しかありませんでした。


 残り25億円程の土地は、経営健全化計画にて「売却予定のない長期保有土地」に分類されています。


 平成20~24年度の経営改善計画(前半)では平均で簿価の125%で土地を売却しており、仮に土地開発公社が現在保有する売却可能土地を全て125%で売却出来たとしても7~8億円の売却額にしかなりません。


 この事から、市が土地開発公社に貸し付けている貸付金の20億円弱は、土地開発公社の土地が計画通りに売却に至っても回収の可能性が極めて低い状況にあります。


 経営改善計画(後半)が予定通り達成出来ても、市の貸付金の20億円弱が焦げ付いてしまうという事実が判明しました。


 全国的に問題となった土地開発公社の負の遺産は、四日市市においてもまだまだ解決せず今後の市の財政にも大きな影響を与え続ける事になります。