四日市市が『平成25年度税制改正に関する緊急要望書』を提出したことは先日のブログで書きました。
(⇒http://ameblo.jp/mori-tomohiro/entry-11405791570.html )
このテーマのブログで私が皆さんにお伝えしたいのは、今後地域主権がより一層推し進められていく中、地方自治体の財源をどう確保していくかを地方は地方で真剣に考えていかねばならないという事です。
市議会での議論では、圧倒的に歳出の方に焦点が当てられ議論がなされます。
しかし、自治体を運営していく上で、入りの部分つまり歳入をどう確保していくか、どう拡大していくかも、非常に重要な観点であります。
今回のブログでは、地方の財源確保をどう図るのかという視点で書いています。
先日のブログに書いた様に、現在経済産業省は、
①自動車重量税、自動車取得税の廃止
②「機械及び装置」の償却資産に対する固定資産税の廃止
(新規設備投資分を非課税、最低限度額部分の廃止)
を税制調査会に提案しています。
この提案が四日市市に与えるインパクトは、
・自動車重量譲与税 6億円程度
・自動車取得税交付金 3億円程度
の合計10億円程度になります。
つまり、これが実現すれば四日市市は年間10億円の税収が無くなることになります。
【自動車重量税、自動車取得税の廃止】
現在、「エコカー補助金」の終了を受けて国の施策として「新エコカー減税」が行われています。
「新エコカー減税」は自動車重量税、自動車取得税等の減税が対象となっていますが、更にこれを廃止にするというものです。
これは、国内消費拡大の為に、自動車業界からの強い要望が背景にあります。
【「機械及び装置」の償却資産に対する固定資産税の廃止
(新規設備投資分を非課税、最低限度額部分の廃止)】
これは主要な国において、「機械及び装置」の償却資産に固定資産税を課しているのは日本のみという実態があります。
つまり「機械及び装置」について海外で設備投資すると固定資産税は発生しない一方で、日本で設備投資すると固定資産税が発生するという事になります。
この状況は、国内の設備投資の国外流出に拍車を掛けているという見方もあります。
これは国内産業の空洞化を防ぐ為の提案と言えます。
私自身、国の産業政策について異を唱えるものではありません。
国内産業の支援という形で有用な施策であるのであれば、こういった施策を遂行していくべきと考えます。
ただ、これらの提案は地方の財源に影響を与えます。
国の産業政策の流れで地方財源を奪うのであれば、別の形で地方財源を確保してもらう必要があります。
例えば、現在国政で議論されている消費税の地方税化もその一つです。
(ここで、消費税の議論に入っていくのは本旨からずれますので、やめておきます。)
また、上記の税制改正の効果で法人税の増加が見込めるのであれば、法人税の一部の地方税化も考えられます。
これは、地方財源確保の一例にすぎませんが、こういった地方財源確保の観点も加味した総合的な税制改正を国に求めていかねばなりません。
地方は自らの生き残りの為に、もっと積極的に声を上げていく必要があります。
国にはこういった視点を持って、議論を進めて行って頂きたいです。
ちなみに、今回紹介した経済産業省の税制調査会への提案は、昨年度も提案されており昨年度は受け入れられませんでした。
今年度においても現在経済産業省の提案が受け入れられるかどうかは未定ですが、仮に税務調査会でこの提案が受け入れられた際には、四日市市は地方税確保の観点からしっかり国に対して働きかけを行う必要があります。
最後に・・・
蛇足かもしれませんが、『「機械及び装置」の償却資産に対する固定資産税の廃止』の影響を最も受ける地方自治体は東京23区、その次(2番目)が『四日市市』となります。
つまり四日市市は全国で2番目に「機械及び装置」についての設備投資額が大きいという事になります。
その部分について、課税出来なくなる事は大変大きな事です。
工業都市である四日市市、産業の空洞化も避けなければならない一方で、自主財源となる固定資産税の減収にも留意しなければならないという複雑な立場にいる訳です。