昨日(1月21日)、公認会計士協会 中日本五会研修大会に参加して来ました。


 中日本五会研修大会とは、公認会計士協会の地方会「近畿会」「東海会」「北陸会」「京滋会」「兵庫会」の五会が毎年開催している研修大会です。


 今回の研修大会では、、『自治体会計と監査』が統一論題の一つとして
取り上げられました。


公認会計士協会としても、自治体会計や監査は重要な位置付けとな
っている事を感じました。



森智広のブログ



 その研修内容も踏まえて、現在、自治体会計や監査が有する問題点や課題を簡単に説明させて頂きます。

〔用語等も簡易なものを使用しています〕



 まず、従来から自治体は、歳入歳出をベースとした決算を行っていました。


企業会計と比較し、「①現金主義であること」「②単体決算」等の問題がありました。


①現金主義とは、現金の出し入れのみを記録し把握する会計で、資産の把握や未払金、未収金等の概念はありませんでした。


②単体決算とは、一般会計、特別会計、公営事業会計、第三セクター等、単独で決算を行い地方自治体全体の決算が作成されていませんでした。



 こういった問題点を解消する為に、地方自治体でも民間企業と同様に財務書類の作成が推し進められました。


 現在では、四日市市もそうですが、「貸借対照表」「行政コスト計算書」「資金収支計算書」「純資産変動計算書」が作成されています。


 財務書類の作成は、公会計〔自治体会計〕にとって大きな事ですが、


公会計の改革はまだまだ発展途上といえます。


 現在、公会計〔自治体会計〕は以下の課題を抱えています。


Ⅰ.現在、財務書類を作成する基準は複数存在し、各自治体がそれぞれ選択した作成基準を利用している。

 ⇒これでは、財務書類の自治体間比較が十分に出来ません。


Ⅱ.財務書類の作成は進められているが、その活用は進んでいない。

 ⇒本来であれば、財務書類のデータは経営分析に使われ、今後の自治体運営に活かしていかねばならないが、現在は財務書類を作る事が目的となってそのデータが活かされていない。


Ⅲ.開示・監査体制が整備されていない。

 ⇒財務書類の開示については明確なルールが無く、各自治体の裁量で開示が行われている。従って、自治体間で開示データに大きな乖離がある。

  歳入歳出決算書は監査対象であるが、財務書類は法制化されていない為、監査対象ではない。




 また、監査制度についてもいくつかの課題を挙げておきます。


【監査委員監査】

・自治体職員のOBが委員に選任されるケースが多く、慣れ合い監査になってしまう。


【外部監査】

・十分な監査経験や知識を持たないものが監査人となっているケースがある。


【全体】

・明確な監査基準が存在しない。



 現在、国において地方自治体の監査制度の抜本的見直しが行われています。


自治体会計、自治体監査共に多くの課題を抱えている現状があります。


 しかし、少しずつですが前進している事も確かです。


 市議会議員として四日市市が、公会計改革の先進都市となる為に、内側から様々な視点で提言していきたいと思います。



 それと、私の持論ですが、会計のプロフェッショナルである公認会計士が中心になって自治体監査の制度作りを推し進め、そして、監査人として自治体監査に積極的に関わっていくべきであると考えます。


 それが、会計士に与えられた新たな使命であるとも考えます。


 今回のブログは少し難しい話になってしまい反省しています。


次回以降はもっと分かりやすく、自治体会計について説明できればと思います。