「天宮治療院?」
女刑事は治療院の看板に余計訳が分からなくなっていた。
「ああ針、灸、接骨、整体とか何でもありの治療院だ、肩こりとか腰痛なんかでちょくちょく世話になってんだよ」
「はぁ・・・」
「ちゃんと有資格の先生だから大丈夫だって!」
鬼頭は含みのある笑みを浮かべながら、手招きをした。
「そうじゃなくて・・・」
呆れた様子の女刑事を尻目に鬼頭が院内に入ると、
不安な様子で女刑事もそれについて入った
「せんせー!」
鬼頭が院内に響き渡らんばかりの大声で叫んだ
「やぁ、鬼頭警部、どうしたんですか?」
その呼び掛けに応じ、奥の扉から線の細い白衣の男が姿を現す。
「今日は事件のことでね、高峰、こちらが院長の天宮 蒼先生だ」
「どうも、鬼頭の部下の高峰 瑠璃です」
女刑事は蒼と呼ばれるに男に名を名乗り、深々とお辞儀をした。
「奥へどうぞ」
瑠璃達が奥へ通されると蒼はお茶を出してくれた。
「うっ!」
そのあまりの苦味に、瑠璃は一瞬表情を歪めた。
「ハーブティーです。少し癖はありますがとても身体にいいんですよ。で、今日はどんな事件ですか?」
「まぁ平たく言えば刺殺なんだが、犯人は”怖い笑顔の男”・・・だそうだ。他の癖とか目的とか判るとうれしいんだがな!」
そう言いつつ、鬼頭は自分の携帯を開いた。
「診せてもらえますか?」
「ああ、これが傷口だ」
鬼頭は蒼に携帯で撮影した傷口を見せる。
「け、警部っ被害者を携帯で撮っちゃったんですか!?」
瑠璃は上司の非常識極まりない行為に驚き慌てている。