さて、いよいよ佳境に入ってきた感の大阪万博です。
万博協会の十倉雅和会長(経団連会長)と石毛博行事務総長が記者会見されました。

 

 

その内容ですが、すべて泣き言です。



泣き言の1
タイプAパビリオン(通常の万博で見られるような各国が自国のPRや文化表現を担って、デザインと技術の粋を競う、いわゆるパビリオン)の建設が進まないので、
タイプXパビリオン(プレファブで協会が準備する箱型の長屋形式という万博史上前代未聞の、簡易かつ同じ形状のパビリオンとはいえない倉庫のようなもの)で承諾どころか、関心すらもってもらえいない。

泣き言の2

会場建設費が相当に上積みされる見込み(1800億円から2300億円超え)である。が、経済界ではなんとか集められるかも。

泣き言の3
金額上昇を見通せなかったのは申し訳ないが、不可抗力みたいなところが随分ある。

 

以上です。

内容を要約すると、

泣き言の1は「万博工事は遅れる、建設開始の見通しも立っていない」
泣き言の2は「万博の費用は増える、これ以上は集められないかもしれない」
そして泣き言の3は「今後も費用の増大は見通せないがこっちのせいじゃない」
という趣旨です。

十倉会長はお気の毒としかいいようがない。
 

そうです、そのとおり、みなさんのせいではありません。
夢洲という土地のせいです。
夢洲に決めた人間のせいで、万博のパビリオンが建たないし、費用が天井知らずなのです。

にも拘わらず、IRが決まった!と、なんかいい感じ風のニュースもありました。
 

 

なるほど、決まったのか、よかったね。
ただなあ、報道の表現も苦しそう。
「本契約にあたる実施協定」を締結。

要は本契約ではない。
契約のほうから来ました、というなにかを締結。

婚約発表か!と思ったら、婚約にあたる実施協定。
って言われたら、どう思います?婚約じゃないのどうなの?となりますよね。
そういう契約です。

確か、もう9月末までしかIRの進出企業MGMの返答期限だったと聞いてましたからね。
反故にされるんじゃないの?と思ってましたよ。

どんな契約を巻いているの大阪のHPにあります。

https://www.pref.osaka.lg.jp/attach/40016/00458617/siryo210.pdf


この契約を見ると、本当に契約になってんの?という内容です。
特に、こんな恐ろしい記述がある。


MGM側の言い分

「判断基準日において、事業前提条件が成就していないものと判断。」

「条件が成就していない現状においては、最終的な事業実施判断を行うことができる状況にない。」

今の時点でIRやるかどうか決めることはできない。、なぜなら前提条件が決まってないから。
前提が確定していない今は決められないということだよ。

そう言ってます。同じことを二回も書いてあります。

それに対し、大阪府は、「相応の合理性がある」つまり、MGMさんは正しい、と言ってます。そしてMGMさんは「事業実現に向けた強い意志を有し」ている、と勝手に占っているというか、MGMが言ってもいないことを勝手に書いています。

これ、結婚詐欺にひっかかってるようなもんじゃないですかね。

大阪府:婚約してよ!
MGM:婚約する前提が決まっていない!なので今は婚約する気はない。
大阪府:MGMからは私と結婚したいっていう強い意志を感じるわ

 

勝手に感じてんじゃねえ!って突っ込みを入れたくなりますね。

で、大阪府は違約金なしでいつでも撤退できる条件にして引っ張りました。

 

「じゃあ、期限は今日までだったけど婚約は3年先まで伸ばしてあげる、それに断っても訴えないから、婚約しないってだけは言わないで!
親や友達には婚約者がいるって言ってあるの!」

ね?詐欺に引っ掛かってるとしか思えないですよね。

で、こういう追加条項を付け加えている。
 

恐怖契約の1
土地に関して、IR建設のための「土壌汚染対策や液状化対策」はMGM側が実施するけれども、それで増えちゃった金は大阪市が負担すること!
恐怖契約の2
また、あり得ないヤバいものが地中から出てきたときも、その費用は大阪市が負担すこと!
恐怖契約の3
大阪市が夢洲の埋め立てに使ったものがいいかげんで、地盤沈下したときの「地盤沈下対策」の費用も大阪市が負担すること!
おまけ
IRは、万博パビリオンと違って、杭は抜かなくていいよな!

 

凄い、片務契約です。

まず恐怖契約の1、ですがこの契約の何がヤバいかというと、MGMが必要と判断しておこなう「土壌汚染対策や液状化対策」は公共工事じゃないから、入札とか査定とかなく言い値です。なんか時給が日本の倍で為替も円安に振れている状況の中で、米国から土壌調査会社や工事業者やエンジニアを呼んできて好き勝手な工事を何十兆円超えてやられても、それは大阪市の支払いな!と書いてあるんですよ。

で、2と3については、まあ、むしろ大阪市としてはわかってることなんですよね。
早くPCBとか除去したり、沈下が激しくあり得ることを事前にMGMに告知しといた方がいいと思うんですけどね。

まあ、私は今はIR計画を追究してるわけじゃないんで、万博のパビリオンの検証をしてるんで、今日はこれくらいにしといてやりますが、嘘ついてたらいつでも調べられるからね!と言っておきます。


さて、今のところパビリオンデザインを発表している国々の中で、私が一番注目しているのが、何を隠そうスペイン館なんです。

これこれ!

かっこよくないですか?

もっともEXPO70っぽい、人類の進歩と調和っぽい、アポロ計画っぽい、
なんだかわからないメカっぽいフォルムと、宇宙工場を思わせる浮いた形態、
まさにSFマガジン!って感じの、小松左京やハインラインやJPホーガンって感じです。

そして意味ありげな赤いランプが点滅しています。
 

FRPOという建築事務所が設計したものです。

 

彼らはドバイでも同様にやらかしてんですよ。
ドーン、ソックスダクトかミサイルか!ていうフォルムが宙に浮いている。

そして、建設重機と同じイエロー主体。
なんかわからん、かっこええ。

このドバイのときよりも、大阪万博で彼らがもってきたアイデアはすごいんですよ!
それはですね、現地調達。

プレファブを超えたアイデア。
建設用タワークレーンを日本側で準備しといてくれ!
そこにバルーンユニットをつないで建築にするから!



カッコいい
まさに、現代的なアイデア。
アイデアだけを日本に送ると、建築構造は現地で出来ている。
仮設と本設の垣根を超え、建設重機や建設作業行為のグローバル性を活かそうというもの。
タワークレーンが三基、腕を拡げて設置すると建築ができる!
建設のパフォーマンスアートといってもいいでしょう。



すげえ!マジかっこいい。

EXPO70の菊竹さんとか黒川紀章さんや、レンゾ・ピアノみたいだ。
いや、それ超えてるかもしれん。

俺なら、もうこのスペイン館に賞をあげる!



カッコいい、アタマいい、工事早い、人類の進歩と調和、SFちっく。
ホントに天才だ!万博パビリオンというのはこういうのみたいんんだよ!
というお手本みたいな建築です。



ところがなんです。


ところがなんだーーーーーーーーー!!

 



タワークレーンにも基礎が必要なんだーーーーーーー!!!




朝日建設さんの現場日誌より
https://www.asahi21.co.jp/blog/horinouchi/cat4/index_2.html

 

 

 

もちろん、軟弱地盤なら杭も必要なんだー!!!

 

 

 


 

スペイン館、いけるんだろうか?

こんな合理的なデザインなのに非合理な条件

杭を50メートル打って引き抜くののか?
地下を2.5メートル以上掘削してはいけない?
タワークレーンの基礎だけで2.5は超えちゃうよなあ…。


ここまで、デザインが出来上がっているのに

まだ建設申請していないってことは、
やっぱこの夢洲というクソな敷地のせいなのか、


クソ敷地のせいで万博パビリオンが建たないのか!

誰があんなクソな土地に決めたんだ!!

今すぐ場所変えしよう!

つづく