大阪万博がピンチらしい、と聞きましての続きです。

 

どうピンチなのか、はっきり詳しいことはまだわからないんですが、
パビリオンの建設申請がいまだゼロ、だとのこと。

 

 

これ、まぎらわしいんですが、私はこのニュースを聞いたとき、
建設申請というのは、最初、「建築確認申請」のことかと思ったんですね。

建築確認申請というのは、建築の設計図が完成してそれを役所に確認してもらうという手続きです。

つまり、パビリオンの平面図、間取りとか、立面図、見た目の形とか高さとか、そういったものが決まっていて、
工事にかかる前に建築基準法に準拠しているよ、と、
この場合は不特定多数の人が出入りする集会所とか、博物館とか、

そういった類の建物のルールに従っているよ、構造強度も十分あるし、耐火性能や耐震性能もあるよ、
ということを示して確認してもらう。

そういう手続きです。

だから、万博の開催までまだ600日もあるんだし、そこまで慌てる話かな?と思ったんです。

ところが、ニュースをよくよく聞いてみると、

建築確認申請のことではない。

もっと前段階のいわば参加表明みたいなもの、それが出ていないというわけです。



ニュース記事では以下のように書かれていました。

各国が、自らパビリオンを建設する場合の流れです。
各国はまず、それぞれコンペを行うなどして、万博や独自のテーマに沿ってデザインや設計を決めます。
そのうえで、パビリオンの「基本設計書」を博覧会協会に提出します。
協会から承認が得られれば、開催地の大阪市に対して、設計図や工程表などをまとめた「基本計画書」を提出します。
建築基準法に違反しない設計になっているかなどが確認されれば、出展する国は、正式に「仮設建築物」の建設許可を市に申請し、学識経験者でつくる建築審査会の同意が得られると、許可が通知されます。
このあと、さらに詳しい「実施設計書」を博覧会協会に提出して承認が得られると建設に着手します。

とあります。


パビリオンがF1でいうレースカーそのものなら、車が出来ていないのではなく、
そもそもの、F1にチームとして参加するかどうか、それが届いていないという状態。

ということみたいなんですね。

 



ええっ?そうなの? 確か参加表明は153か国とか言ってなかったでしたっけ?
で、なんでパビリオンが必要かというと、「各国は文化と技術を展示する」ということらしいです。

そうなの?文化と技術を展示するためなのか、知らんかった。

EXPO70のイメージではなにか世界中のいろんな国々が、地域の民族衣装を着て、地域の食べ物とか風俗とかの扮装をして、
世界旅行をしなくても、なんだか世界旅行をした気にさせるお祭りの屋台村みたいなイメージでしたよね。

そもそもパビリオンってなんなのか?
パビリオン(pavillion)とは、展示会や博覧会に用いられる仮設の建築物、テント、展示館のこと


つまり、お祭りの仮設構造物、それがパビリオン。
その建物に凝るというのも1970年にもっとも進んだんですね。


以前、こんな記事を書いておりました。
 

 

 

 

というわけで、各国が思い思いに凝ったパビリオンを建ててくれるもの!と今回の大阪万博でも勝手に踏んでいたようなんですが、

その証拠に、各パビリオンについてAタイプ、Bタイプ、Cタイプって勝手にタイプを決めていたようなんです。

Aタイプっていうのが、敷地を貸すから各国は建物の形状やデザインに、それぞれの地域や国の個性を大いに発揮して、もう斬新っていうか、目立つもの自腹で設計して、自腹で建ててくれ!というもの。
これ、家づくりの現場で例えてみるとわかりやすいですが、住宅分譲地でいえば自由設計、お好きな工務店でどうぞ!というヤツです。
これには50か国くらいがエントリーしているといわれていますが、いまだに建設申請がない。

Bタイプっていうのが、一国一棟で日本側でパビリオン準備するから、どうしたいか言ってくれ!設計とか工事は日本側でやるけど注文建築に応じるますよ、という土地売買の不動産屋さんに紐づいた建築条件付きみたいなやつです。

 

Cタイプっていうのが、日本側で建物準備して中をテナント形式で割り振りするから、そこに共同で入ってね、という賃貸住宅形式。
内装で各国は個性出してね、という商業モール的な感じです。

なるほどー。

とりあえず、このAタイプっていう自由設計、お好きな工務店でどうぞ、というものにエントリーしている各国が、全然どんな建築やるつもりなのか、万博協会に申請していない、ということみたいですね。

なぜ、そこに積極性がないんでしょう?
それはですね、もうお祭りで各国の文化を知らしめる個性的な建築なんか、
まったく必要ない時代だからではないでしょうか?

1970年代ならば、まず、そんなに世界中の国々のことを各国ともどもよく知らなかったですよね。
兼高かおる世界の旅みたいなテレビ番組が成り立っていた時代です。

 

もう、ヨーロッパだアメリカだ南米だ、なんていう場所に飛行機でじゃんじゃか行けるような人はまったくいない時代でしたから、大阪万博で初めて「外人を見た、外人を見れる」というだけでも、日本人は大興奮の巻だった頃ですよね。

第二次世界大戦後に次々と独立を果たしたアジアや中東の国々、アフリカの国々、南米の国々、そういったところから未知の文化がやってくる。

しかも、戦後の近代建築運動や最新の構造技術で見たこともない空間や形状をもった建築が同時に展示される、そいう会だったわけです。


ところが、時代は50年を経て、日本から小中学校で留学してたり、会社の慰安旅行でヨーロッパ旅行いったり、バブル期の海外格安ツアー、バックパッカーの貧乏旅行、日本企業の海外赴任も当たり前といった経緯を経て、今はインターネットで各国のリアルな風俗を刻々と見ることもできる、外国人と話すこともできる、通信販売でなんでも買うことができる、そんな時代です。

万博とか関係なく、円安と日本のデフレの影響で世界中から「日本は安くて美味しい国」と、家族連れでやってきて新幹線もバスもタクシーもパンパンです。

そんな時代に
 

そもそも、そんな各国独自のパビリオンって必要なんでしょうかね。

各国のモチベーションの低さも当然といえば当然なんではなないでしょうか

③に続く