さて、「ザ・ファブル」なんですが、このマンガ非常に空間の密度が濃いんですよね。
むちゃくちゃ書き込んでいるわけでもないんですが、
なんだか、密室というか室内でいろいろ展開する。
というより、ミニマムかつミニマルな部屋の中で厳しい会話が展開する。
主人公の佐藤明の真黒住宅の研究から入ろうと思ったんですが、それよりもずっと気になることがあったんです。
第一話からなんですが、
初っぱな、こんな異様な部屋で始まります。
3畳ほどの部屋に囲炉裏が切ってあり、自在鉤まで吊ってありますよね。
どんだけマニアやねん、と思いました。
それだけじゃない。
不思議なのは!
狭!
ここ、主人公たちのアジトみたいなんですけど、なんで、こんだけ狭いねん、と。
4畳しかない。
こんな狭い部屋で、ガンガンに囲炉裏焚いていますけど。
大丈夫なんか?
心配になります。
なぜなら、換気です。
このアジトを図面化してみました。
この時点ではファブルたちは東京にいるので、
畳は、関東間のまあ普通の大きさとして、880×1760の大きさとみてます。
これ、相当狭いですよね。
以前、もう10年前になりますが、分析してみた田中の部屋と同じサイズです。
しかも、この部屋、出入り口がない。
ていうか、サッシのところから出入りするしかない部屋なんです。
で、この部屋でガンガンに囲炉裏に火をくべてますよね。
大丈夫なのか?
と、
部屋の気積、空気の体積をチェックしてみました。
一般的な部屋の天井高さだとすると、16立方メートルしかない。
人体からの二酸化炭素の発生量は約0.02立法メートル/毎時といわれています。
3人いるとその3倍の二酸化炭素が発生していることになります。
二酸化炭層濃度は、
通常、健全な状態を維持するには1000ppm以下にしなくてはならないといわれており、
その上限値は3500ppmとされています。
1ppmというのは、下記の図のように1立米メートルあたりに1cm角分が存在する濃度のことです。
上限は、100センチ×100センチ×100センチがいっぱいになることだから、
100万ppmというのが全部埋まった状態を表しています。
なので、1000ppmというと多そうに感じますが、100万VS千なので、1000分1ということになりますね。
では、1ppmを立法メートルに直すとどうなるかというと、0.0000001立法メートルです。
次に、人体からの二酸化炭素の発生量は約0.02立法メートル/毎時といわれていましたから、
単位が立法メートルなのでppmに揃えると、どうなるかというと、空気全体が1立法メートルしかない場合、
2万ppmということになる。
2万を1000ppmに抑えるためには、全体の空気量を20倍にしないといけませんから、
10立法メートルに増やせば2回換気でもよいということになります。
この部屋は16立法メートルありますが、ボスとアキラとヨーコの3人なので、排出する二酸化炭素量は0.06立法メートル/毎時
これは1立米あたりだと6万ppmですが、60分の1にしたい場合、16立法メートルあるから、1時間に4回換気の必要があります。
ながなが書いてしまいましたが、
わたくしが言いたいことは、ボス!ときどき窓開けろよ!です。
しかし!
問題は、これなんです。
炭火?
これはマズイです。
炭火からはですねえ、非常に危険なガス、一酸化炭素が出ます。
一酸化炭素だと、200ppmからヤバいといわれていまして、1000ppmだと十数分で死亡します。
なので、このファブルたちのアジトのような4畳の部屋で、サッシで閉めきって炭火の囲炉裏はあり得ないんです。
もう、換気扇がガンガン回っているか、天井がないか、ぐらいの対処が必要です。
なので、
パット見では、パチパチと炭が爆ぜて、煙がもうもうと出ているように見えますが、
これは炭火ではありません。
ではなにか?というと
この小さな部屋に集められた、日本刀とか行灯とか、掛け軸とか、ボスのマニアックさからいって、
ファブルたちは、お茶をならっている。
茶道の経験者である。
おそらく、
この茶室の炉や火鉢では、
茶室界では有名な野々田、
電気の炉や火鉢では、トップブランドの、野々田の電熱式ヒーターを使っていると思われます。
つづく
次は真黒住宅のアキラの家やります。
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