北海道百年記念塔がどうなってしまうのか…と心配をよそに、

北海道は、解体工事の入札を始めやがりました。

http://www.pref.hokkaido.lg.jp/kn/kkr/R2puropo_hyakunenkinentou.htm

 

 

解体工事そのものではなく、
「北海道百年記念塔解体工事実施設計に係る公募型プロポーザル方式による設計者の選定」というタイトルですので、


解体工事をやるための設計、ということです。
 

壊すための設計?
なんで壊すのに設計がいるの?と思われるでしょう?

実は必要なのです。

 

それは、なぜかというと、建築物だから、デッカイから、重機は重いから、

壊しながら動くから、動きながら壊すから、壊す建物の中で壊すから、
そして作業範囲としては狭いから、高所だから、モノが落ちるから、
作業員が危険だから、周囲の方々も危険だから、

 

つまり、危険だから、です。

 

ビルの上で重機がその場を壊しているのを見たことないでしょうか?

これ、中国の現場なんですけど、周囲に足場も養生もなく重機が載って壊していますよね。
周りに瓦礫をまき散らして、それを防ぐシートもない、この解体現場周囲にいるだけで危険です。

 

これは、日本の現場です。

都会のど真ん中ですから厳重に周囲を覆ってありますよね。

でも、屋上に重機が上がっていることは変わりはありません。

 

重機を載せても大丈夫な強度かどうか、そこから壊せば危険はないか、そういった綿密な計算もおこなわなければ、建築は壊せないんです。

壊し方を間違うとジェンガのように崩れることだってありますからね。

 

壊す順番、瓦礫の搬出、足場の解体、上からだんだん下に降りていくなんていうのは、考えてみれば机と椅子を積み重ねた上から、

だんだん椅子を外して降りていくのと同じような、難しい技術なんです。
 

 

 

私のツイッター友達の解体工事業者の小林さんなんかは、3DのCGまで作成して解体工事の段取りを考えておられます。

https://twitter.com/KOJI_KOBAYASHI_/status/1321024600273137665

 

 

そういう意味では、北海道百年記念塔は、壊すにも大変に苦労する代物なんです。

なにせ、高いですからね。

 

そして、足場もないでしょう?

 

壊すにしてもどうやって壊すのか、もちろん作るときもどうやって作るのか、苦心惨憺されています。

そして、それがデザインの肝になっている。

 

北海道百年記念館のデザインはどこが素晴らしいのか、その解説をしたいと思います。

それは、ただ単に造形の良さだけでなく、構造と作られ方、にあるのです。

 

そこで、北海道百年記念館の設計デザインコンペの案に戻ってみましょう。

これは2位の案でした。

 

 

スーパーヒーロー黒川紀章さんの案です。

なんと!黒川紀章さんも優美な、台地から萌え出たような富士山カーブの造形です。

 

 

 

そして、こっちがジャイアントキリング、井口健。
 

 

おっ!こうしてみるとずいぶんスリムですよね。

 

今回、北海道百年記念塔について調べていて、意外と多くのコアな100年塔ファンがいらっしゃることがわかりました。
 

まず、このブログが詳しいです。
「けんちく が いっぱい」さん。コンペの経緯から現在の百年塔の状況まで掲載。

特に画像を縦に並べた写真を見てください。

http://1955nonnon.jugem.jp/?eid=7

 

 

「札幌ノスタルジック建築散歩」
設計者の井口さんのエピソードも含め、編集力の高いページ。
このブログは札幌にある貴重な建築作品を紹介、特に上遠野徹さんの特設ページに感動です。

https://sapporowalk.sakura.ne.jp/suteki/2018/20180130/

 

 

このページも百年塔における素晴らしい資料性。
札幌工業高校の卒業生の方による設計者の井口さんエピソードも。

http://fujityu.sakura.ne.jp/10ki/kine-conp1/kine-conp3.html

 

 
「建築そして旅」さんの

 

そのほかにも多くの百年塔ファンの方々のページがあるんです。

 

つづく