RC打ち放しでローコストにするには、の続きです。

まず、一般的な意匠設計事務所にとっては「ええっ!」と思われるでしょうが
設計図の立面図や展開図に型枠割り付けをしない!
ということが一番大事な点です。


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最初に住宅規模で精緻なコンクリート打ち放しを始められた鈴木侚さんや
現場に所員全員投入されるという安藤忠雄さんのように、型枠の組み方まで
すべて読んで割り付け図を製作されるのならまだいいんでしょうが

「なぜ型枠の筋が出るのか」、「なぜセパ穴の位置が決まるのか」を知らないまま、
デザイン印象だけで勝手にセンター割り付けとか、
端端ピッタリのセパ穴寸法勝手決め、とかをしてしまうと、

実は型枠の合わせ目寸法などで現場で無駄が出ていたり、
鉄筋の位置と交錯するポイントだったりして直しが生じてしまうからです。

型枠ベニヤは基本910ミリ×1820ミリなんですが、
微妙に削って調整させたりするとその分手間を食います。

そのため、立面図や展開図で型枠の割り付けもセパの位置も、
具体的に指示しないで現場で組みやすい位置、
どこから始めてどこで半端が出るかだけを型枠大工さんから
提案してもらいましょう。
で、「セパ穴の水平垂直そろえだけはキチンと頼むね。全部600使っていいよ」
でいいです。

実際に割り付け図など書かなくても、
現場はそれなりにキチっとやってくれると思います。
もちろん、設計事務所側で型枠割り付け図を作成してもいいんですが、
よっぽど型枠工事に精通していない限り、所詮素人のマンガといっしょでしょう。

しかも、組み方を考慮していない割り付け図を設計事務所が出した瞬間に、
「あっ、分かってないのに、そこまでうるさいんだ。怖えから、じゃあ2割増し」
という工事会社の判断になります。

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型枠ベニヤの幅を606×1820にすると、現場での振り回しと運びが楽なので
型枠大工さんが一人でもなんとかなります。
型枠大工さんが一人もしくは手元で二人の少人数で型枠工事をやってもらう
もうひとつの利点が型枠の転用がしやすいということです。
模型工作なんかでもそうですが、人が触ったものを時間が経って別の人が触ると
部品がどこに行ったかなにがなんだか分からなくなって、結局新しい材料で再度
つくり直しにしたくなるでしょう?それといっしょです。

コンクリート工事は型をつくって流し込む鋳物といっしょなのです。
鋳物でも一番高いのは鋳型の成型ですよね、だから型枠工事は高いし精度と
段取りがよくないとダメなんです。

床の開口にも梁をもうけない工夫。
これは、梁型をもうけないことで、鉄筋の組み立てを簡便にする目的です。

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梁の鉄筋というのは、四隅に太い主筋というのが流れていて、
それを四角いフレーム状のあばら筋といわれる鉄筋をかぶせて、
細い針金でひとつひとつ結びつけて長い立体的な角柱を数メートルに渡り組み上げ
た重量は数百キロくらいになっています。
それを床型枠の溝に落とし込むという作業が必要になります。
大きな梁だとクレーン吊りが必要になるくらいなので、
梁型と柱型をなくし、床スラブと壁だけで構造設計することは、
非常にコストメリットがある処理なのです。

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屋上の状況ですが、緩く傾斜をつけて自然排水することで防水工事を省いています。
防水工事もなかなか大変な工事なのですが、ここでは塗布防水で終わらせています。

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とかいろいろと詳しく解説していきます。

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